73 / 259
7-12(悠人視点)
しおりを挟む
これからステージだ。歓声の中、ステージへ進んでポジショニングをした。司会者が話している音声が反響して聞こえづらい。夏樹のお母さんが動画を撮ってくれているから、後で見せてもらえる。それを見て、今後の練習内容とステージに生かそうと、メンバーで話したところだ。
ドキドキしていると、司会者から自分達のバンド名が紹介された。
「次のバンドは……、IRON ANGEL!」
名前が告げられた瞬間、ステージの照明が暗く落ちた。手元のベースに影が出来た。そして、目を閉じて、次の照明効果を待った。
トクトクトク……。心臓の鼓動が耳へ響いている。歓声の中にいるのに、こうして聞こえるのが不思議だ。
すると、ステージが赤い光に包まれた。ドラム音が鳴り響いたことで、ベースの演奏を始めた。ギターの音色が会場中に響き渡った。演奏を聴いてくれている人に、お礼を言おう。そう決めて選んだセリフが、夏樹によって、ステージから響き渡った。
「炎天下の中……ありがとうございますー!!」
ドスのきいた声が張り上げられた。夏樹が赤い衣装をひるがえして、ステージサイドから移動して、ステージ中央へやって来た。ドラム音とギターフレーズが刻まれ、赤い光に包まれたステージに白いストロボ照明という演出がされた。それを俺は背中から感じた。
目の前には赤い生地に黒い花が咲いている。夏樹の浴衣だ。観客が空に突き上げた腕が揺れている。その上に広がっているのは、夏の青空と観客だ。その声援に向けて、夏樹と一緒にマイク越しに声を張り上げた。
「アイアン・エンジェル!!開幕―!!」
「かいまくーー!」
俺達のかけ声の後、ステージには大きな白い煙が吹きあった。さらに大きくなった声援に応えて、夏樹が大きく腕を広げた。その手にはうちわが握られていて、緊張感と笑いで気持ちが、開放感に包まれた。
一曲目は激しい曲調だ。スピーカーからの音が反響して残っている。ここまで大きな会場で演奏するのは初めてだ。夏樹が聴いているのは、ベースのリズムだ。ここでズレるとヴォーカルに影響する。しっかりと土台を支えよう。
「差し伸べてくれた手がーー、すれ違いのーー」
激しいリズムに合わせて、夏樹がステージを飛び跳ねて動いた。ここからが苦手とする部分だ。ギターソロの間でボーカルとの息を合わせるタイミングだ。桜木さんが藤沢と向かい合わせで弾き始めた。ギターのソロの一回目に入る部分だ。
「歪む視界ーー、吐くため息ーーー」
藤沢のソロが始まると同時に夏樹のそばへ行った。お互いの声は聞こえないから、アイコンタクトで伝えた。
(夏樹!手元を見て!リズムを合わせて!)
(うん!)
足元は見れないため向かい合わせになった。お互いに体でリズムを取ると、観客から歓声があがった。パフォーマンスだと受け取ってくれたようだ。うまくいったことで微笑み合った。
もう大丈夫だと感じたタイミングで定位置に戻った。藤沢のソロが終わり、ドラムとベースに合わせて歌声が張り上げられた。
「同じ空をみてーー、angel ofーー」
桜木さんのギターソロに差し掛かり、俺達の演奏が一気に最後まで駆け抜けた。ドラムとベース、ギターが鳴り響いて演奏が終わった。
(やった、成功した!)
一曲目が終わった。二曲目のバラードに入る前に、数分間のブレイクタイムがある。司会者が話し始めて、観客が沸いた。その間に奥へ引っ込んで、メンバー全員が水を飲んだ。夏樹が荒い呼吸を繰り返しているから、周りをメンバーが囲んだ。タオルで汗を拭き、彼に水を飲ませて背中をさすった。
「夏樹、大丈夫か?具合が……」
「大丈夫!すっごい楽しいから!」
その笑顔は無理をしていないと分かった。両目がキラキラと輝いていたから、みんなにも笑顔が戻った。
ドキドキしていると、司会者から自分達のバンド名が紹介された。
「次のバンドは……、IRON ANGEL!」
名前が告げられた瞬間、ステージの照明が暗く落ちた。手元のベースに影が出来た。そして、目を閉じて、次の照明効果を待った。
トクトクトク……。心臓の鼓動が耳へ響いている。歓声の中にいるのに、こうして聞こえるのが不思議だ。
すると、ステージが赤い光に包まれた。ドラム音が鳴り響いたことで、ベースの演奏を始めた。ギターの音色が会場中に響き渡った。演奏を聴いてくれている人に、お礼を言おう。そう決めて選んだセリフが、夏樹によって、ステージから響き渡った。
「炎天下の中……ありがとうございますー!!」
ドスのきいた声が張り上げられた。夏樹が赤い衣装をひるがえして、ステージサイドから移動して、ステージ中央へやって来た。ドラム音とギターフレーズが刻まれ、赤い光に包まれたステージに白いストロボ照明という演出がされた。それを俺は背中から感じた。
目の前には赤い生地に黒い花が咲いている。夏樹の浴衣だ。観客が空に突き上げた腕が揺れている。その上に広がっているのは、夏の青空と観客だ。その声援に向けて、夏樹と一緒にマイク越しに声を張り上げた。
「アイアン・エンジェル!!開幕―!!」
「かいまくーー!」
俺達のかけ声の後、ステージには大きな白い煙が吹きあった。さらに大きくなった声援に応えて、夏樹が大きく腕を広げた。その手にはうちわが握られていて、緊張感と笑いで気持ちが、開放感に包まれた。
一曲目は激しい曲調だ。スピーカーからの音が反響して残っている。ここまで大きな会場で演奏するのは初めてだ。夏樹が聴いているのは、ベースのリズムだ。ここでズレるとヴォーカルに影響する。しっかりと土台を支えよう。
「差し伸べてくれた手がーー、すれ違いのーー」
激しいリズムに合わせて、夏樹がステージを飛び跳ねて動いた。ここからが苦手とする部分だ。ギターソロの間でボーカルとの息を合わせるタイミングだ。桜木さんが藤沢と向かい合わせで弾き始めた。ギターのソロの一回目に入る部分だ。
「歪む視界ーー、吐くため息ーーー」
藤沢のソロが始まると同時に夏樹のそばへ行った。お互いの声は聞こえないから、アイコンタクトで伝えた。
(夏樹!手元を見て!リズムを合わせて!)
(うん!)
足元は見れないため向かい合わせになった。お互いに体でリズムを取ると、観客から歓声があがった。パフォーマンスだと受け取ってくれたようだ。うまくいったことで微笑み合った。
もう大丈夫だと感じたタイミングで定位置に戻った。藤沢のソロが終わり、ドラムとベースに合わせて歌声が張り上げられた。
「同じ空をみてーー、angel ofーー」
桜木さんのギターソロに差し掛かり、俺達の演奏が一気に最後まで駆け抜けた。ドラムとベース、ギターが鳴り響いて演奏が終わった。
(やった、成功した!)
一曲目が終わった。二曲目のバラードに入る前に、数分間のブレイクタイムがある。司会者が話し始めて、観客が沸いた。その間に奥へ引っ込んで、メンバー全員が水を飲んだ。夏樹が荒い呼吸を繰り返しているから、周りをメンバーが囲んだ。タオルで汗を拭き、彼に水を飲ませて背中をさすった。
「夏樹、大丈夫か?具合が……」
「大丈夫!すっごい楽しいから!」
その笑顔は無理をしていないと分かった。両目がキラキラと輝いていたから、みんなにも笑顔が戻った。
0
あなたにおすすめの小説
愛されSubは尽くしたい
リミル
BL
【Dom/Subユニバース】
玩具メーカーの取締役開発部長Dom(37)×元子役の大学生Sub(20)
かつて天才子役として名を馳せていた天使 汐は、収録中にSub drop(サブドロップ)に陥り、生死の境をさまよう。
不安定になっていた汐を救ったのは、スーツ姿の男だった。
素性や名前も知らない。でも、優しく撫でて「いい子」だと言ってくれた記憶は残っている。
父親の紹介で、自身の欲求を満たしてくれるDomを頼るものの、誰も彼も汐をひたすらに甘やかしてくる。こんなにも尽くしたい気持ちがあるのに。
ある夜、通っているサロンで不正にCommand(コマンド)を使われ、心身ともにダメージを負った汐を助けたのは、年上の男だ。
それは偶然にも15年前、瀕死の汐を救った相手──深見 誠吾だった。
運命的な出会いに、「恋人にもパートナーにもなって欲しい」と求めるも、深見にきっぱりと断られてしまい──!?
一筋縄ではいかない17才差の、再会から始まるラブ!
Illust » 41x様
新緑の少年
東城
BL
大雨の中、車で帰宅中の主人公は道に倒れている少年を発見する。
家に連れて帰り事情を聞くと、少年は母親を刺したと言う。
警察に連絡し同伴で県警に行くが、少年の身の上話に同情し主人公は少年を一時的に引き取ることに。
悪い子ではなく複雑な家庭環境で追い詰められての犯行だった。
日々の生活の中で交流を深める二人だが、ちょっとしたトラブルに見舞われてしまう。
少年と関わるうちに恋心のような慈愛のような不思議な感情に戸惑う主人公。
少年は主人公に対して、保護者のような気持ちを抱いていた。
ハッピーエンドの物語。
laugh~笑っていて欲しいんだ、ずっと~
seaco
BL
バー「BIRTH」で働くイケメン久我 侑利(くが ゆうり)は、雨続きで利用したコインランドリーで辛い過去を持つ美人系男子の羽柴 慶(はしば けい)と出会う。
少しずつお互いに気になり始めて、侑利の家に居候する事になる慶。
辛い過去や、新しい出会い、イケメン×無自覚美形の日常の色々な出来事。
登場人物多数。
基本的に「侑利目線」ですが、話が進むにつれて他の登場人物目線も出て来ます。その場合はその都度、誰目線かも書いて行きます。何も無いのは全て「侑利目線」です。
また、予告なく絡みシーンが出て来る事がありますが、グロいものではありません(^^;
初めての投稿作品なので…表現などおかしい所もあるかと思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです。
ひろいひろわれ こいこわれ ~華燭~
九條 連
BL
さまざまな問題を乗り越え、ヴィンセントの許で穏やかな日常を送る莉音に、ある日、1通のハガキが届く。
それは、母の新盆に合わせて上京する旨を記した、父方の祖父母からの報せだった。
遠く離れた九州の地に住む祖父母の来訪を歓迎する莉音とヴィンセントだったが、ふたりの関係を祖父に知られてしまったことをきっかけに事態は急変する。
莉音と祖父、そして莉音とヴィンセントのあいだにも暗雲が立ちこめ――
『ひろいひろわれ こいこわれ』続編
地味メガネだと思ってた同僚が、眼鏡を外したら国宝級でした~無愛想な美人と、チャラ営業のすれ違い恋愛
中岡 始
BL
誰にも気づかれたくない。
誰の心にも触れたくない。
無表情と無関心を盾に、オフィスの隅で静かに生きる天王寺悠(てんのうじ・ゆう)。
その存在に、誰も興味を持たなかった――彼を除いて。
明るく人懐こい営業マン・梅田隼人(うめだ・はやと)は、
偶然見た「眼鏡を外した天王寺」の姿に、衝撃を受ける。
無機質な顔の奥に隠れていたのは、
誰よりも美しく、誰よりも脆い、ひとりの青年だった。
気づいてしまったから、もう目を逸らせない。
知りたくなったから、もう引き返せない。
すれ違いと無関心、
優しさと孤独、
微かな笑顔と、隠された心。
これは、
触れれば壊れそうな彼に、
それでも手を伸ばしてしまった、
不器用な男たちの恋のはなし。
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
僕の恋人は、超イケメン!!
八乙女 忍
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?
ヤンキーDKの献身
ナムラケイ
BL
スパダリ高校生×こじらせ公務員のBLです。
ケンカ上等、金髪ヤンキー高校生の三沢空乃は、築51年のオンボロアパートで一人暮らしを始めることに。隣人の近間行人は、お堅い公務員かと思いきや、夜な夜な違う男と寝ているビッチ系ネコで…。
性描写があるものには、タイトルに★をつけています。
行人の兄が主人公の「戦闘機乗りの劣情」(完結済み)も掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる