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向かった先は、コンサート会場内にある広場だった。夜から別のイベントが始めるため、この辺りは人が多い。カフェも人が多くて、ゆっくり話せないだろう。そういう理由で、このまま外で話すことになった。自分としては有難い。店の中だと逃げ場がないような気持ちになりそうだったからだ。
母は仕事の電話が入ったと言い、今、俺達から離れた場所で話している。父は出店で飲み物を買って来てくれた。ますます別人を見ているかのようだ。
「げえええっ。変わった行動を取るなよーー」
「悠人……。お父さんだってジュースを買いたい。どっちがいい?アイス珈琲か紅茶だ。グレープフルーツもあるぞ?」
「ひいいいっ。鳥肌が立ったよーー」
「そうか……」
父がほんの少しだけ笑うと、噴水のそばに腰かけて珈琲を飲み始めた。そんな俺達のやり取りを見ていた早瀬から、離れた場所へ誘導された。話したいことがあるのだという。
「悠人君。俺の方からご両親に大事な話をするからね」
「どんな内容?」
「君にかけられている、大きな呪いを解くことだよ。俺が何を言っても信じてほしい。みんなのことを傷つけるために言うんじゃないからね?」
「うん。分かった」
早瀬の目が真剣で、何を話すのか気になった。引っ込んでいろとは言わない。今は甘えると話し合ったからだ。すると、その時、父から呼ばれた。母の電話が終わったそうだ。
今、母が電話を終えて俺達のそばに来た。噴水の前だ。水音が響き渡っているのに、両親からの話し声だけはクリアに聞こえている。母の口から出てきたのは、今までの謝罪と離婚しても両親であることには変わりがないこと、何かあれば相談して来いという内容だった。父の口から出てきたのは、これから父自身がどういう生活をしていくかと、早瀬との暮らしを選ぶのは反対しないことと音楽をやめろとは言わないことだった。それに加えて、月に1度は泊まりに来いというものだった。
父の方の話は具体的だと思った。しかし、母は違う。他人行儀だと思えた。俺とは心の距離があると感じた。
両親からの話を冷静に話を聞くことが出来た。そして、両親の考え方の違いも理解できた。自分に対する気持ちも同じだ。こうしてステージを見に来てくれた。そのことだけで十分だ。今から2人に対して思っていることをストレートに出そう。
「お父さん、お母さん。俺から伝えたいことがあるんだ」
「どうした?」
「……」
「裕理さんとの生活は幸せなんだ。他の人からすれば当たり前のことでも、俺にとっては違う。お父さん達と暮らせていたら、それが当たり前に思っていたと思う。今、幸せだって気づかなかったかもしれない。だから、もう謝らなくていい。いい未来があったんだから。お父さん達にも幸せになってほしい。お母さん、俺のことを産んでくれて、ありがとう」
両親がいなければ、俺はこの世にいない。今の楽しい生活を知らずにいたはずだ。プラスマイナスゼロということだ。それがやっと分かった。
母は仕事の電話が入ったと言い、今、俺達から離れた場所で話している。父は出店で飲み物を買って来てくれた。ますます別人を見ているかのようだ。
「げえええっ。変わった行動を取るなよーー」
「悠人……。お父さんだってジュースを買いたい。どっちがいい?アイス珈琲か紅茶だ。グレープフルーツもあるぞ?」
「ひいいいっ。鳥肌が立ったよーー」
「そうか……」
父がほんの少しだけ笑うと、噴水のそばに腰かけて珈琲を飲み始めた。そんな俺達のやり取りを見ていた早瀬から、離れた場所へ誘導された。話したいことがあるのだという。
「悠人君。俺の方からご両親に大事な話をするからね」
「どんな内容?」
「君にかけられている、大きな呪いを解くことだよ。俺が何を言っても信じてほしい。みんなのことを傷つけるために言うんじゃないからね?」
「うん。分かった」
早瀬の目が真剣で、何を話すのか気になった。引っ込んでいろとは言わない。今は甘えると話し合ったからだ。すると、その時、父から呼ばれた。母の電話が終わったそうだ。
今、母が電話を終えて俺達のそばに来た。噴水の前だ。水音が響き渡っているのに、両親からの話し声だけはクリアに聞こえている。母の口から出てきたのは、今までの謝罪と離婚しても両親であることには変わりがないこと、何かあれば相談して来いという内容だった。父の口から出てきたのは、これから父自身がどういう生活をしていくかと、早瀬との暮らしを選ぶのは反対しないことと音楽をやめろとは言わないことだった。それに加えて、月に1度は泊まりに来いというものだった。
父の方の話は具体的だと思った。しかし、母は違う。他人行儀だと思えた。俺とは心の距離があると感じた。
両親からの話を冷静に話を聞くことが出来た。そして、両親の考え方の違いも理解できた。自分に対する気持ちも同じだ。こうしてステージを見に来てくれた。そのことだけで十分だ。今から2人に対して思っていることをストレートに出そう。
「お父さん、お母さん。俺から伝えたいことがあるんだ」
「どうした?」
「……」
「裕理さんとの生活は幸せなんだ。他の人からすれば当たり前のことでも、俺にとっては違う。お父さん達と暮らせていたら、それが当たり前に思っていたと思う。今、幸せだって気づかなかったかもしれない。だから、もう謝らなくていい。いい未来があったんだから。お父さん達にも幸せになってほしい。お母さん、俺のことを産んでくれて、ありがとう」
両親がいなければ、俺はこの世にいない。今の楽しい生活を知らずにいたはずだ。プラスマイナスゼロということだ。それがやっと分かった。
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