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ガチャ。玄関のドアを閉めた後、早瀬から褒められた。
「お茶出しが慌てずに出来たね。家でやっていたんだろう?」
「そうだよ。おばあちゃんが教えてくれたんだ。お客さんが来た時はやってたんだ。懐かしかったよ。ああいうのって、なくなったからさ」
「そうか。嫌だなと思わなくなったか」
「へへへ。その通りだよ」
リビングへ戻った時に、大学の成績表のことを思い出した。今回のことですっかり忘れていた。昨日、届いていたはずだ。
「裕理さん。成績表が届いているんだ」
「見せてくれる?」
「うん。パソコン、取って来る」
「君専用のタブレット端末を用意しようか?スマホじゃ見えづらいし、タブレットの方がすぐに見れるよ」
「ううん。勿体ないよ」
「いや、用意する。今度の休みに選びに行こう」
本当に強引な人だ。さっさと決めてしまった。こういうところが好きだけれど、俺の意見を聞いてもらえないような気までする。まだ大学生だから仕方がないのだと思った。
リビングのテーブルにパソコンを置いて、自分のページを開いた。成績表やレポート課題の評価を全て、早瀬に見せる約束をしているから抵抗はない。
「うーんとね。これが……」
「どれ……」
「点数は分からないんだよ。優、良、可、不可の4段階」
「これじゃないか?……ああ、よく頑張ったね」
「わああー、『優』だったよ」
予想外に良かったから、嬉しくて堪らない。今までは良い点数を取っても、親が納得するだけだったから、嬉しくなかった。今は早瀬が喜んでいるし、自分自身も前向きにやった結果だと思うから嬉しい。
「ご褒美が必要だね。何か欲しいものはないのか?」
「タブレットを買ってくれるんだろ?」
「それは必要なものだ。ご褒美は別だ。何でもいいよ。マンションを買ってくれ以外で」
「へへへ。そんなの言うわけないじゃん」
欲しいものは特に思いつかない。ギターはバイト代で新しいものを買ったばかりだ。機材は早瀬の物を使っているから、音楽関係では思いつかない。
「すぐに思いつかないからいいよ」
「急がなくてもいいんだよ?タブレットを買うついでに買い物に出かけよう。店に行けば欲しいものが見つかるだろう」
「いいってば」
「少しは我が儘を言ってほしい。寂しいよ」
「そっか……。じゃあ、甘えるよ。お菓子が欲しい」
「こら。それは普段の買い物だ」
「そう?」
「そうだよ」
早瀬は笑っているけれど、何だか機嫌が悪い。最近になり、俺が遠慮をすると、こういう反応を見せて来る。
(夏樹が言ってたなあ。黒崎さんが寂しそうにするから、ある程度は甘えているって。そのわりには……、仕掛け絵本を何冊も買ってもらっているって言っていたけど……)
夏樹の話を思い出して、笑いが込み上げてきた。すると、早瀬から頬を突かれた。
「あるカップルを思い出したんだろう?圭一さんの気持ちが分かるようになった。プレゼントを押し付けたくなるそうだよ。今の俺も同じだ」
「自覚していたんだ?」
「それはそうだよ」
頭をポンポンと叩かれて、この話題は終わった。やっぱりいらないと言うと、喧嘩になる。
2日後。だんだんと早瀬の怪我が良くなり、予定どおり出勤することになった。今回の看病が嬉しかったそうで、そのお礼がしたいと言い、早瀬からさらに甘やかさるようになった。
「お茶出しが慌てずに出来たね。家でやっていたんだろう?」
「そうだよ。おばあちゃんが教えてくれたんだ。お客さんが来た時はやってたんだ。懐かしかったよ。ああいうのって、なくなったからさ」
「そうか。嫌だなと思わなくなったか」
「へへへ。その通りだよ」
リビングへ戻った時に、大学の成績表のことを思い出した。今回のことですっかり忘れていた。昨日、届いていたはずだ。
「裕理さん。成績表が届いているんだ」
「見せてくれる?」
「うん。パソコン、取って来る」
「君専用のタブレット端末を用意しようか?スマホじゃ見えづらいし、タブレットの方がすぐに見れるよ」
「ううん。勿体ないよ」
「いや、用意する。今度の休みに選びに行こう」
本当に強引な人だ。さっさと決めてしまった。こういうところが好きだけれど、俺の意見を聞いてもらえないような気までする。まだ大学生だから仕方がないのだと思った。
リビングのテーブルにパソコンを置いて、自分のページを開いた。成績表やレポート課題の評価を全て、早瀬に見せる約束をしているから抵抗はない。
「うーんとね。これが……」
「どれ……」
「点数は分からないんだよ。優、良、可、不可の4段階」
「これじゃないか?……ああ、よく頑張ったね」
「わああー、『優』だったよ」
予想外に良かったから、嬉しくて堪らない。今までは良い点数を取っても、親が納得するだけだったから、嬉しくなかった。今は早瀬が喜んでいるし、自分自身も前向きにやった結果だと思うから嬉しい。
「ご褒美が必要だね。何か欲しいものはないのか?」
「タブレットを買ってくれるんだろ?」
「それは必要なものだ。ご褒美は別だ。何でもいいよ。マンションを買ってくれ以外で」
「へへへ。そんなの言うわけないじゃん」
欲しいものは特に思いつかない。ギターはバイト代で新しいものを買ったばかりだ。機材は早瀬の物を使っているから、音楽関係では思いつかない。
「すぐに思いつかないからいいよ」
「急がなくてもいいんだよ?タブレットを買うついでに買い物に出かけよう。店に行けば欲しいものが見つかるだろう」
「いいってば」
「少しは我が儘を言ってほしい。寂しいよ」
「そっか……。じゃあ、甘えるよ。お菓子が欲しい」
「こら。それは普段の買い物だ」
「そう?」
「そうだよ」
早瀬は笑っているけれど、何だか機嫌が悪い。最近になり、俺が遠慮をすると、こういう反応を見せて来る。
(夏樹が言ってたなあ。黒崎さんが寂しそうにするから、ある程度は甘えているって。そのわりには……、仕掛け絵本を何冊も買ってもらっているって言っていたけど……)
夏樹の話を思い出して、笑いが込み上げてきた。すると、早瀬から頬を突かれた。
「あるカップルを思い出したんだろう?圭一さんの気持ちが分かるようになった。プレゼントを押し付けたくなるそうだよ。今の俺も同じだ」
「自覚していたんだ?」
「それはそうだよ」
頭をポンポンと叩かれて、この話題は終わった。やっぱりいらないと言うと、喧嘩になる。
2日後。だんだんと早瀬の怪我が良くなり、予定どおり出勤することになった。今回の看病が嬉しかったそうで、そのお礼がしたいと言い、早瀬からさらに甘やかさるようになった。
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