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今、二葉がママと黒崎との3人で話している。こうして待っている間も、二葉のことが心配で気になって仕方がない。大丈夫だろうか。お義父さんが父親だと察する気がする。いきなりのことに驚くだろうと思う。
店の庭の木や植え込まれている花を眺めた。どのテーブルも、カーネーションが飾られている。この席は赤だ。隣はピンク。黒崎たちのテーブルには、白い花が飾られている。
この後で実家へ行き、みんなで食事に出かける。母には本をプレゼントする。毎年の母の日には、俺と伊吹と万理がプレゼントした本が3冊、本棚に追加されている。今年も増えるだろう。
(あ、二葉ちゃん……)
話が終わったのだろう。二葉がこっちへ戻って来た。しっかりと前を向いているけれど、肩が震えていた。
「話を聞いてきたわ」
「コーヒーが冷めたね。すみません、モカブレンドをお願いします」
「何の話かと思って、ビクビクしていたの。よかったーー」
「二葉ちゃん……」
「私、黒崎製菓主催のビジネスコンテストに入賞したの。長期インターンシップをやっているから、参加しないかっていう話だった。遠くて通えないから、都内に引っ越して、向こうの大学へ入り直すことになるの。その費用は援助したいって話で……。朝陽が医学部へ進学したがっているから、助かるかなって。レストラン経営に興味があるから面白そう……」
「そっか……。レストランが好きなの?」
「うん。お母さんから話を聞いていたの。お兄さんに一人でご飯を食べさせてしまったって。それがキッカケだったの。誰かと楽しく食事ができる場所があるといいなって……」
「黒崎さんと同じだよ。デート相手と食事をしたのは、寂しいからだったよ。たぶん……」
「デートの理由がね……。モテるのは良いけど、自分から評判を落とさなくてもいいのにね?ああー、ごめんなさい」
「ははは。二葉ちゃんのことが好きだよ。そういう性格が」
「ありがとう。友達が少ないから嬉しい。親友は都内の大学へ行ったし。行ってもいいかなって思っているのよ。いたたたー、打ったー」
二葉が椅子の足に爪先をぶつけた。スカートを履いているのに、足を膝に乗せて顔をしかめた。そして、俺からの視線に気づいて、慌てて降ろした。思いきり動揺している。そして、肩を震わせて嗚咽を漏らし始めた。
「ごめんね……っ」
「俺は大丈夫だよ」
「本当のお父さんが誰なのか、分かっているの。さっきの話には出て来なかった。聞いたところで会う気はないから。黒崎社長には会ってもね。それでいいの……」
二葉へ腕を伸ばすと、両手を伸ばしてきた。俺のことを見上げている両目が真っ赤になっていた。俺は彼女の体に両腕を回して、背中をポンポンと叩き続けた。まるで、万理のようだ。温かい体が震えなくなるまで、ずっと抱きしめていた。
店の庭の木や植え込まれている花を眺めた。どのテーブルも、カーネーションが飾られている。この席は赤だ。隣はピンク。黒崎たちのテーブルには、白い花が飾られている。
この後で実家へ行き、みんなで食事に出かける。母には本をプレゼントする。毎年の母の日には、俺と伊吹と万理がプレゼントした本が3冊、本棚に追加されている。今年も増えるだろう。
(あ、二葉ちゃん……)
話が終わったのだろう。二葉がこっちへ戻って来た。しっかりと前を向いているけれど、肩が震えていた。
「話を聞いてきたわ」
「コーヒーが冷めたね。すみません、モカブレンドをお願いします」
「何の話かと思って、ビクビクしていたの。よかったーー」
「二葉ちゃん……」
「私、黒崎製菓主催のビジネスコンテストに入賞したの。長期インターンシップをやっているから、参加しないかっていう話だった。遠くて通えないから、都内に引っ越して、向こうの大学へ入り直すことになるの。その費用は援助したいって話で……。朝陽が医学部へ進学したがっているから、助かるかなって。レストラン経営に興味があるから面白そう……」
「そっか……。レストランが好きなの?」
「うん。お母さんから話を聞いていたの。お兄さんに一人でご飯を食べさせてしまったって。それがキッカケだったの。誰かと楽しく食事ができる場所があるといいなって……」
「黒崎さんと同じだよ。デート相手と食事をしたのは、寂しいからだったよ。たぶん……」
「デートの理由がね……。モテるのは良いけど、自分から評判を落とさなくてもいいのにね?ああー、ごめんなさい」
「ははは。二葉ちゃんのことが好きだよ。そういう性格が」
「ありがとう。友達が少ないから嬉しい。親友は都内の大学へ行ったし。行ってもいいかなって思っているのよ。いたたたー、打ったー」
二葉が椅子の足に爪先をぶつけた。スカートを履いているのに、足を膝に乗せて顔をしかめた。そして、俺からの視線に気づいて、慌てて降ろした。思いきり動揺している。そして、肩を震わせて嗚咽を漏らし始めた。
「ごめんね……っ」
「俺は大丈夫だよ」
「本当のお父さんが誰なのか、分かっているの。さっきの話には出て来なかった。聞いたところで会う気はないから。黒崎社長には会ってもね。それでいいの……」
二葉へ腕を伸ばすと、両手を伸ばしてきた。俺のことを見上げている両目が真っ赤になっていた。俺は彼女の体に両腕を回して、背中をポンポンと叩き続けた。まるで、万理のようだ。温かい体が震えなくなるまで、ずっと抱きしめていた。
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