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22-1 新居にて
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6月1日、土曜日。午前9時。
キッチンでお茶を煎れた後、リビングにいる黒崎に声をかけた。朝ご飯の片付けを終えたところだ。黒崎から、そろそろ休んでおけと言われた。先月から忙しく動き回っている気がする。黒崎と2人で、そろそろゆっくりしようと話し合った。引っ越しの準備が無事に済み、一昨日、この家に引っ越してきたからだ。
「ふーーー。やっと片付いたなあ……」
リビングのテラスから庭を眺めて、大きく伸びをした。前のマンションは短い間しか住んでいなかったから、ほとんど荷物が増えておらず、掃除が楽だった。だから、ここに引っ越すための荷物整理も早く済んだ。
でも、俺も黒崎もさすがに疲れている。今日と明日はダラダラ過ごそうと話し合った。それなのに、黒崎が書類を読み続けている。今日は書斎に籠らないそうだ。なるべく俺との時間を取るためだ。喋らなくても構わない。こうして近くにいて、顔が見られるから寂しくない。
「やっと落ち着いたね」
「後は細かい荷ほどきだ」
「休憩しようよ。腰が痛くなるよ?」
「ああ……」
黒崎が押し黙った。昨日の朝、軽いギックリ腰を起こした。疲れが溜まってのことなのに、彼がショックを受けていた。筋トレで鍛えた筋肉の持ち主なのに、まさか自分がと言っていた。寝転がっていればいいのにと思った。
昨夜はベッドでイチャついてきたから、自分の部屋へ逃げてやった。大人しくするからと迎えに来たから、一緒に寝てあげた。部屋には布団を用意してある。喧嘩をするに決まっている。そうなった時には自分の部屋で寝られるようにしておいた。それを聞いた黒崎がため息をついていた。喧嘩が長引きそうだと言いながら。お互いに素直に謝れば仲直りできるけれど、時間がかかるのが俺達だ。想像よりも早く自分の部屋で寝る日が来るかも知れないと思った。
「このままだと、イチャつけないよ?しっかり休んでおいてよーー」
「一週間もお預けだ」
「風邪を引いたとき、腰痛のとき、いろんな理由があるんだってば。寝ていてよ……」
「……脱がせる。寝ておけ」
黒崎から体を押されて、ソファーへ寝転がった。そのまま覆いかぶさって来て、Tシャツの中に手を入れて来た。わき腹や胸元、鎖骨までキスをされていった。抵抗させないように脱がしている。そうはいかない。両足で押しのけてやった。
それでも彼は引き下がらないし、視線を絡み合わせてきた。可愛い、抱きたい、苛めないでくれ。耳元で低い声が響いた。激しくしない。優しくすると言われた。そして、重なり合った体が熱くなり、ため息が漏れた。
「見せてくれ。明るい場所がいい」
「エロいよ。言い方もだよ」
身じろぎすると、背後から抱きしめられて服を脱がされた。背中にキスをされて声が漏れて、どうしようもない状態になった。黒崎が嬉しそうな笑い声を立てた。そして、仰向けにされた後、両足を割って覆いかぶさってきた。肩へ両腕を回してキスをしてやった。
「これで我慢しろよ。明日ね……」
「逆効果だ。そう可愛らしいことをするな。自覚しているのか?」
「何のことだよ?」
至近距離で見つめ合いながら、寝返りを打って、黒崎の腕の中に入った。身体の力が入らず、重く感じる腕を持ち上げて、耳たぶを引っ張ってやった。
「お仕置きだよ……」
「それが誘っている。期待に応えてやろう。……もっと力を抜いてくれ」
「うん……」
「このまま寝ていろ」
「あ……っ」
両足を持ち上げられた。内ももに熱い息がかかって足が跳ねた。見るのが恥ずかしいことをされている。目を閉じるとますます感覚が鋭くなるから、どうしようもない。クッションを抱え込んで、気を紛らわせた。
テラス越しに庭が見えている。穏やかな光景の中、俺達は反対のことをやっている。ますます恥ずかしい。許してもらえなくて、小さな悲鳴を上げ続けた。
「……声が掠れているぞ」
「誰のせいだよ……。こほっ、けほっ」
「すまない。こうしていよう」
黒崎が起き上がった。ラグの上に落ちているタオルケットを取り、優しくかけてくれた。どこかへ行くのかな?じっと見ていると、微笑み返された。すけべじじいではない。そして、添い寝をされ始めた。
「今日はやめておく。腰が理由じゃない。少し寝ておけ」
「ううん。……キスをしてよ」
「こら、誘惑するな……」
「……黒崎さん?……おーい。疲れているよね。……よいしょっと」
「なつ……き」
黒崎が寝息を立て始めた。ゆっくりと起き上がり、タオルケットをかけた。軽く胸元を叩くと、何かを呟きながら身じろいだ。まるで小さな子供だ。可愛いのは黒崎の方だ。起こさないようにソファーから降りて、キッチンへ向かった。片づけを進めておくために。
キッチンでお茶を煎れた後、リビングにいる黒崎に声をかけた。朝ご飯の片付けを終えたところだ。黒崎から、そろそろ休んでおけと言われた。先月から忙しく動き回っている気がする。黒崎と2人で、そろそろゆっくりしようと話し合った。引っ越しの準備が無事に済み、一昨日、この家に引っ越してきたからだ。
「ふーーー。やっと片付いたなあ……」
リビングのテラスから庭を眺めて、大きく伸びをした。前のマンションは短い間しか住んでいなかったから、ほとんど荷物が増えておらず、掃除が楽だった。だから、ここに引っ越すための荷物整理も早く済んだ。
でも、俺も黒崎もさすがに疲れている。今日と明日はダラダラ過ごそうと話し合った。それなのに、黒崎が書類を読み続けている。今日は書斎に籠らないそうだ。なるべく俺との時間を取るためだ。喋らなくても構わない。こうして近くにいて、顔が見られるから寂しくない。
「やっと落ち着いたね」
「後は細かい荷ほどきだ」
「休憩しようよ。腰が痛くなるよ?」
「ああ……」
黒崎が押し黙った。昨日の朝、軽いギックリ腰を起こした。疲れが溜まってのことなのに、彼がショックを受けていた。筋トレで鍛えた筋肉の持ち主なのに、まさか自分がと言っていた。寝転がっていればいいのにと思った。
昨夜はベッドでイチャついてきたから、自分の部屋へ逃げてやった。大人しくするからと迎えに来たから、一緒に寝てあげた。部屋には布団を用意してある。喧嘩をするに決まっている。そうなった時には自分の部屋で寝られるようにしておいた。それを聞いた黒崎がため息をついていた。喧嘩が長引きそうだと言いながら。お互いに素直に謝れば仲直りできるけれど、時間がかかるのが俺達だ。想像よりも早く自分の部屋で寝る日が来るかも知れないと思った。
「このままだと、イチャつけないよ?しっかり休んでおいてよーー」
「一週間もお預けだ」
「風邪を引いたとき、腰痛のとき、いろんな理由があるんだってば。寝ていてよ……」
「……脱がせる。寝ておけ」
黒崎から体を押されて、ソファーへ寝転がった。そのまま覆いかぶさって来て、Tシャツの中に手を入れて来た。わき腹や胸元、鎖骨までキスをされていった。抵抗させないように脱がしている。そうはいかない。両足で押しのけてやった。
それでも彼は引き下がらないし、視線を絡み合わせてきた。可愛い、抱きたい、苛めないでくれ。耳元で低い声が響いた。激しくしない。優しくすると言われた。そして、重なり合った体が熱くなり、ため息が漏れた。
「見せてくれ。明るい場所がいい」
「エロいよ。言い方もだよ」
身じろぎすると、背後から抱きしめられて服を脱がされた。背中にキスをされて声が漏れて、どうしようもない状態になった。黒崎が嬉しそうな笑い声を立てた。そして、仰向けにされた後、両足を割って覆いかぶさってきた。肩へ両腕を回してキスをしてやった。
「これで我慢しろよ。明日ね……」
「逆効果だ。そう可愛らしいことをするな。自覚しているのか?」
「何のことだよ?」
至近距離で見つめ合いながら、寝返りを打って、黒崎の腕の中に入った。身体の力が入らず、重く感じる腕を持ち上げて、耳たぶを引っ張ってやった。
「お仕置きだよ……」
「それが誘っている。期待に応えてやろう。……もっと力を抜いてくれ」
「うん……」
「このまま寝ていろ」
「あ……っ」
両足を持ち上げられた。内ももに熱い息がかかって足が跳ねた。見るのが恥ずかしいことをされている。目を閉じるとますます感覚が鋭くなるから、どうしようもない。クッションを抱え込んで、気を紛らわせた。
テラス越しに庭が見えている。穏やかな光景の中、俺達は反対のことをやっている。ますます恥ずかしい。許してもらえなくて、小さな悲鳴を上げ続けた。
「……声が掠れているぞ」
「誰のせいだよ……。こほっ、けほっ」
「すまない。こうしていよう」
黒崎が起き上がった。ラグの上に落ちているタオルケットを取り、優しくかけてくれた。どこかへ行くのかな?じっと見ていると、微笑み返された。すけべじじいではない。そして、添い寝をされ始めた。
「今日はやめておく。腰が理由じゃない。少し寝ておけ」
「ううん。……キスをしてよ」
「こら、誘惑するな……」
「……黒崎さん?……おーい。疲れているよね。……よいしょっと」
「なつ……き」
黒崎が寝息を立て始めた。ゆっくりと起き上がり、タオルケットをかけた。軽く胸元を叩くと、何かを呟きながら身じろいだ。まるで小さな子供だ。可愛いのは黒崎の方だ。起こさないようにソファーから降りて、キッチンへ向かった。片づけを進めておくために。
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