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お義父さんが届けてくれた写真もある。黒崎のお兄さん達が写っているものだ。これからここに暮らすのだから、いつか会う日が来ると思う。先に写真を見たいと思っていた。
「どうして残っているんだ……。捨てたはずだ」
「当時のお手伝いさんが、保管してくれていたそうだよ。お義父さんがそうしたみたい。懐かしくなるはずだからって言っていたよ。兄弟全員の集合写真、あんたに見せてくれって言っていたよ」
「ああ、法事の時だ。面白がって見せに来たんだろう。親父には釘を刺しておく」
これは誤解をさせた。自分の方から頼んだと付け足した。学生時代の黒崎の写真が見たかった。でも、数枚しかないようだ。
「ああ、あまり写真は撮っていない。秘書時代は撮ったが、家には持ち帰っていない。会社にあるだろう」
「見たいのになあ。……そうだ、あんたが寝ている間に、知らない人が訪ねて来たよ。お義父さんへ電話をかけて、こっちへ来てもらったよ」
「誰だった?」
「島川さんって言っていたよ。お義父さんからは出なくて良いからって言われて、挨拶をしていないんだ」
「それで構わない。兄の一人だ」
「出たら良かったなあ」
「まだだめだ」
「ちゃんと言いつけを守ったよ。そんな顔をするなよ~」
「全てシャットアウトするのは難しい。ただし、お前には何も言わせない」
「ありがとう。これでも強いんだよ?」
「そうだったな。先に写真を見ておきたい」
さっそくリビングへ移動した。ちょうど淹れたばかりの珈琲を飲みながら、大判の写真を取り出した。そこに写っているのは、スーツ姿の男性達と、白っぽい着物姿の女性達だ。10人以上がいる中で、黒崎が中央に座っていた。
「大学入学の祝いの席の写真だ。親父の息子が勢ぞろいしている。拓海兄さんがいないから、男8人だ。女性は従姉妹達だ」
「そうだったんだ……。お母さん達は写っていないの?」
「集まりの時には息子の母親は出席しない。黒崎家の血縁関係だけだ。そもそも話すことがない。兄弟しか顔が分からない」
「……マジで?」
「そういう家だ」
あっさりした返事に驚いて、珈琲をこぼしてしまった。それを布巾で拭いている間、黒崎から微笑まれた。無理をしていないのか?そういう顔をしている。変に怖がらずに済んだのは理由がある。写真の中の従姉妹達が笑っていたからだ。しかも、黒崎が着ているスーツの襟元を直してあげている写真もあった。
「初めて見た写真だ。この人は12歳年上だ。彼女は同じ年だ」
「誰だろう?って思わないぐらいには会ったことがあるんだね」
「ああ。秘書をするまでは毎年集まっていた。今は会っていない」
「もし会ったら、あんたの印象が変わったことに驚かれるかな?」
「そうかもしれない。笑っているのか?無理をしていないか?」
写真を見ていると、俺が暮らしてきた世界とは違う雰囲気が漂っている。黒崎と出会った時にも、同じことを感じた。この雰囲気に慣れなければならないだろう。前は不安に思っていたけれど、今は違うと思った。もっと前向きになれている。
気持ちを切り替えて、黒崎宛のラブレターカードを取り出して広げてやった。その結果、俺の機嫌が悪くなってしまった。数が多すぎるからだ。その間、黒崎から頭を撫でられた。機嫌を取られている。そういう俺のことをなだめるようにしている黒崎がそばにいる。だから大丈夫だと思った。
「どうして残っているんだ……。捨てたはずだ」
「当時のお手伝いさんが、保管してくれていたそうだよ。お義父さんがそうしたみたい。懐かしくなるはずだからって言っていたよ。兄弟全員の集合写真、あんたに見せてくれって言っていたよ」
「ああ、法事の時だ。面白がって見せに来たんだろう。親父には釘を刺しておく」
これは誤解をさせた。自分の方から頼んだと付け足した。学生時代の黒崎の写真が見たかった。でも、数枚しかないようだ。
「ああ、あまり写真は撮っていない。秘書時代は撮ったが、家には持ち帰っていない。会社にあるだろう」
「見たいのになあ。……そうだ、あんたが寝ている間に、知らない人が訪ねて来たよ。お義父さんへ電話をかけて、こっちへ来てもらったよ」
「誰だった?」
「島川さんって言っていたよ。お義父さんからは出なくて良いからって言われて、挨拶をしていないんだ」
「それで構わない。兄の一人だ」
「出たら良かったなあ」
「まだだめだ」
「ちゃんと言いつけを守ったよ。そんな顔をするなよ~」
「全てシャットアウトするのは難しい。ただし、お前には何も言わせない」
「ありがとう。これでも強いんだよ?」
「そうだったな。先に写真を見ておきたい」
さっそくリビングへ移動した。ちょうど淹れたばかりの珈琲を飲みながら、大判の写真を取り出した。そこに写っているのは、スーツ姿の男性達と、白っぽい着物姿の女性達だ。10人以上がいる中で、黒崎が中央に座っていた。
「大学入学の祝いの席の写真だ。親父の息子が勢ぞろいしている。拓海兄さんがいないから、男8人だ。女性は従姉妹達だ」
「そうだったんだ……。お母さん達は写っていないの?」
「集まりの時には息子の母親は出席しない。黒崎家の血縁関係だけだ。そもそも話すことがない。兄弟しか顔が分からない」
「……マジで?」
「そういう家だ」
あっさりした返事に驚いて、珈琲をこぼしてしまった。それを布巾で拭いている間、黒崎から微笑まれた。無理をしていないのか?そういう顔をしている。変に怖がらずに済んだのは理由がある。写真の中の従姉妹達が笑っていたからだ。しかも、黒崎が着ているスーツの襟元を直してあげている写真もあった。
「初めて見た写真だ。この人は12歳年上だ。彼女は同じ年だ」
「誰だろう?って思わないぐらいには会ったことがあるんだね」
「ああ。秘書をするまでは毎年集まっていた。今は会っていない」
「もし会ったら、あんたの印象が変わったことに驚かれるかな?」
「そうかもしれない。笑っているのか?無理をしていないか?」
写真を見ていると、俺が暮らしてきた世界とは違う雰囲気が漂っている。黒崎と出会った時にも、同じことを感じた。この雰囲気に慣れなければならないだろう。前は不安に思っていたけれど、今は違うと思った。もっと前向きになれている。
気持ちを切り替えて、黒崎宛のラブレターカードを取り出して広げてやった。その結果、俺の機嫌が悪くなってしまった。数が多すぎるからだ。その間、黒崎から頭を撫でられた。機嫌を取られている。そういう俺のことをなだめるようにしている黒崎がそばにいる。だから大丈夫だと思った。
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