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23-1 黒崎の出張
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6月3日、月曜日。午前5時。
朝ごはんの支度をしているところだ。ダイニングに置いてある小さなテレビへ視線を向けた。天気予報を見るためだ。今日は黒崎が出張へ出る。1泊2日だから、明日の夜には帰ってくる。それなのに、早くも寂しくなっている。
「明日も天気がいいのか。よかった。今までも出張はあったけど、今月は多いなあ。そろそろ起こそう」
黒崎のことを起こす時間になった。寝室のドアを開けて、ベッドに近づいた。彼がシーツを被って寝ていた。よっぽど疲れているようだ。
黒崎は俺と暮らすまでの一人暮らし時代は朝5時半時まで寝ていたけれど、今では5時に起きるようになった。睡眠時間は4時間なのは変化ない。寝なくてもいいから、ベッドで横になるように言うと、寝てくれるようになった。以前よりも長く寝転がっているから、体の疲れが少しでも取れるのでは無いかと思っている。
「黒崎さ~ん。起きる時間だよ。しじみの味噌汁を用意したから飲んでよ」
「美味そうだ……」
「美味しいよ。あっさりした料理も出来ているよ。スタミナをつけてね」
「ここで食べる……」
「黒崎さ~ん。今日は可燃ごみ日だよ。出してきてよ」
「今度にする……」
「家事をするんだよね?」
「こっちへ入って来い」
「え?わあ~っ」
黒崎の腕が伸びてきて、ベッドの中へ引きずり込まれてしまった。黒崎の匂いがした。落ち着く匂いだ。いつもならそう思うが、今朝は事情が違う。
「シップくさいよ~」
「別のメーカーを買って来たんだろう?我慢しろ」
「臭わないって、表示されていたんだよ~」
スケベじじいの下から這い出して、ベッドから降りた。今からスーツ選びをする必要がある。黒崎が眠たそうにしているのを眺めつつ、クローゼットを開き、紺とグレーが混ざった深い色のスーツを選んだ。
「チェダーチーズ・アマトリチャーナだよ。黒崎さんのカッコ良さが際立つよ」
「アッタンリーニだ。それは料理の名前だ」
「シャツはこれ。カルボナーラにするよ」
「サルバトーレだ」
「ネクタイはね……。これにする。ドルチェだよ」
「ドレイクだ。起きる……」
俺の冗談が目覚ましかわりになったようだ。黒崎が着ていたTシャツを脱いだ。カッコいい体に、目が釘付けになった。いくらでも見ているのに、不意を突かれると弱い。
「どうしたんだ?」
「湿布が効いて良かったなって思っただけだよ」
黒崎が笑った気配を感じた後、抱き寄せられた裸の胸からの体温を感じて、昨夜のことを思い出してしまった。甘い囁きが再現された。でも、こうしている時間は無い。黒崎の腰を軽く叩いてやると、彼が起き上がった。
「夏樹。今週のバンドの練習の予定を教えてくれ」
「木曜日にあるよ。夕方から2時間だよ」
「その日なら帰りに迎えに行ける」
「ありがとう。無理はしないでよ?」
大学の授業やバンド練習で、高校時代より忙しくなった。どれも楽しいから、新しい生活に馴染んでいる。
お義父さんにも変化が起きた。友達が遊びに来るようになり、家の周りが明るくなった気がする。人の出入りがあると違うのだと思った。
黒崎の方も慌ただしい。俺が心配すると、社長時代は定休日がなかった分、今は時間の余裕があるから心配するなと彼が苦笑した。忙しさはそのうち落ち着くそうだ。そう言いながら頬をつねって来た指先が優しくて、笑顔を返した。
朝ごはんの支度をしているところだ。ダイニングに置いてある小さなテレビへ視線を向けた。天気予報を見るためだ。今日は黒崎が出張へ出る。1泊2日だから、明日の夜には帰ってくる。それなのに、早くも寂しくなっている。
「明日も天気がいいのか。よかった。今までも出張はあったけど、今月は多いなあ。そろそろ起こそう」
黒崎のことを起こす時間になった。寝室のドアを開けて、ベッドに近づいた。彼がシーツを被って寝ていた。よっぽど疲れているようだ。
黒崎は俺と暮らすまでの一人暮らし時代は朝5時半時まで寝ていたけれど、今では5時に起きるようになった。睡眠時間は4時間なのは変化ない。寝なくてもいいから、ベッドで横になるように言うと、寝てくれるようになった。以前よりも長く寝転がっているから、体の疲れが少しでも取れるのでは無いかと思っている。
「黒崎さ~ん。起きる時間だよ。しじみの味噌汁を用意したから飲んでよ」
「美味そうだ……」
「美味しいよ。あっさりした料理も出来ているよ。スタミナをつけてね」
「ここで食べる……」
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「今度にする……」
「家事をするんだよね?」
「こっちへ入って来い」
「え?わあ~っ」
黒崎の腕が伸びてきて、ベッドの中へ引きずり込まれてしまった。黒崎の匂いがした。落ち着く匂いだ。いつもならそう思うが、今朝は事情が違う。
「シップくさいよ~」
「別のメーカーを買って来たんだろう?我慢しろ」
「臭わないって、表示されていたんだよ~」
スケベじじいの下から這い出して、ベッドから降りた。今からスーツ選びをする必要がある。黒崎が眠たそうにしているのを眺めつつ、クローゼットを開き、紺とグレーが混ざった深い色のスーツを選んだ。
「チェダーチーズ・アマトリチャーナだよ。黒崎さんのカッコ良さが際立つよ」
「アッタンリーニだ。それは料理の名前だ」
「シャツはこれ。カルボナーラにするよ」
「サルバトーレだ」
「ネクタイはね……。これにする。ドルチェだよ」
「ドレイクだ。起きる……」
俺の冗談が目覚ましかわりになったようだ。黒崎が着ていたTシャツを脱いだ。カッコいい体に、目が釘付けになった。いくらでも見ているのに、不意を突かれると弱い。
「どうしたんだ?」
「湿布が効いて良かったなって思っただけだよ」
黒崎が笑った気配を感じた後、抱き寄せられた裸の胸からの体温を感じて、昨夜のことを思い出してしまった。甘い囁きが再現された。でも、こうしている時間は無い。黒崎の腰を軽く叩いてやると、彼が起き上がった。
「夏樹。今週のバンドの練習の予定を教えてくれ」
「木曜日にあるよ。夕方から2時間だよ」
「その日なら帰りに迎えに行ける」
「ありがとう。無理はしないでよ?」
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お義父さんにも変化が起きた。友達が遊びに来るようになり、家の周りが明るくなった気がする。人の出入りがあると違うのだと思った。
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