159 / 283
23-2
しおりを挟む
7時半。
黒崎家の門の前に、タクシーが停まった。これから黒崎が出張するためだ。すると、スーツ姿の黒崎が玄関を出てきた。それと同時に、ご近所さんからのため息が聞こえた。こうして毎朝、黒崎の出勤を見送ってくれる。朝の散歩のついでや出勤の途中で、全てが女性だ。
運転手さんがスーツケースをトランクに入れた。黒崎がキスをしてくれようとしていたけれど、さすがに人が見ているから素直に諦めた。
「いってらっしゃい」
「いってくる。今日の授業は2時限と3時限目だけだったな。大学到着時、学食、帰宅前、帰宅後に連絡しろ」
「うん。ラインを入れるよ」
「山崎さんに声を掛けてから大学へ行け。具合が悪くなるといけない。帰った後は敷地内から出るな」
「うん。今日はお義父さんの家で泊まるよ。晩ご飯もご馳走になるから」
「夜更かしするな」
「うん。大丈夫だよ。恥ずかしいよ……」
「行ってくる。いい子にしていろよ」
「うん」
頬に温かい感触があった。黒崎が軽いキスをしてくれたのに、すぐに気づかなかった。俺達の様子を見て、近所の山本さんが微笑んでいた。そして、佳代子さんが黒崎に手を振った。みんなに見送られている。俺も黒崎のことを、手を振って見送った。
黒崎家の門の前に、タクシーが停まった。これから黒崎が出張するためだ。すると、スーツ姿の黒崎が玄関を出てきた。それと同時に、ご近所さんからのため息が聞こえた。こうして毎朝、黒崎の出勤を見送ってくれる。朝の散歩のついでや出勤の途中で、全てが女性だ。
運転手さんがスーツケースをトランクに入れた。黒崎がキスをしてくれようとしていたけれど、さすがに人が見ているから素直に諦めた。
「いってらっしゃい」
「いってくる。今日の授業は2時限と3時限目だけだったな。大学到着時、学食、帰宅前、帰宅後に連絡しろ」
「うん。ラインを入れるよ」
「山崎さんに声を掛けてから大学へ行け。具合が悪くなるといけない。帰った後は敷地内から出るな」
「うん。今日はお義父さんの家で泊まるよ。晩ご飯もご馳走になるから」
「夜更かしするな」
「うん。大丈夫だよ。恥ずかしいよ……」
「行ってくる。いい子にしていろよ」
「うん」
頬に温かい感触があった。黒崎が軽いキスをしてくれたのに、すぐに気づかなかった。俺達の様子を見て、近所の山本さんが微笑んでいた。そして、佳代子さんが黒崎に手を振った。みんなに見送られている。俺も黒崎のことを、手を振って見送った。
0
あなたにおすすめの小説
嘘つき王と影の騎士
篠雨
BL
「俺の役割は、貴方を守ることだ。……例え、貴方自身からも」
国の平穏を一身に背負い、十二年間「聖王」という偶像を演じ続けてきたセシル。
酷使し続けた心身はすでに限界を迎え、その命の灯火は今にも消えようとしていた。
そんな折、現れたのは異世界からの「転移者」。
代わりを見つけた国は、用済みとなったセシルからすべてを剥奪し、最果ての地へと追放する。
死を待つためだけに辿り着いた冬の山。
絶望に沈むセシルの前に現れたのは、かつて冷徹に王を監視し続けていた近衛騎士団長、アルヴィスだった。
守るべき王も、守るべき国も失ったはずの二人が過ごす、狭い小屋での夜。
無価値になり、壊れかけた自分を、なぜこの男は、そんな瞳で見つめるのか。
なぜ、そんなにも強く、抱きしめるのか。
これは、すべてを失った「聖王」が、一人の男の熱に暴かれ、再生していくまでの物語。
イケメンモデルと新人マネージャーが結ばれるまでの話
タタミ
BL
新坂真澄…27歳。トップモデル。端正な顔立ちと抜群のスタイルでブレイク中。瀬戸のことが好きだが、隠している。
瀬戸幸人…24歳。マネージャー。最近新坂の担当になった社会人2年目。新坂に仲良くしてもらって懐いているが、好意には気付いていない。
笹川尚也…27歳。チーフマネージャー。新坂とは学生時代からの友人関係。新坂のことは大抵なんでも分かる。
とある執事の日常 ~お嬢様の中身は恐らくギャル~
冬兎
ファンタジー
うちのお嬢様は絶対におかしい。
「道路やばくない? 整備しよ」
「孤児院とか作ったら?」
「困ってる人助けるのなんか当たり前っしょ」
貴族令嬢らしからぬ口調で突拍子もない提案を次々とぶつけてくるお嬢様、レティシア・リオネール。執事の俺、クラウスは今日も彼女の無茶振りに振り回される。
不思議なことに、お嬢様の理想論は必ず実現し効果を発揮する。
孤児院は完成し、医療制度は整い、領地は驚異的に発展していく。
元勇者の伯爵様、脳筋騎士団長、くのいちメイド長、双子の妹たち――
濃すぎる面々に囲まれながら、俺は今日もお嬢様の思いつきを形にしていく。
気づけば、振り回されることに悦びを感じ始めている俺はもう手遅れかもしれない。
R8.1.20 投稿開始
悠と榎本
暁エネル
BL
中学校の入学式で 衝撃を受けた このドキドキは何なのか
そいつの事を 無意識に探してしまう
見ているだけで 良かったものの
2年生になり まさかの同じクラスに 俺は どうしたら・・・
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
純白のレゾン
雨水林檎
BL
《日常系BL風味義理親子(もしくは兄弟)な物語》
この関係は出会った時からだと、数えてみればもう十年余。
親子のようにもしくは兄弟のようなささいな理由を含めて、少しの雑音を聴きながら今日も二人でただ生きています。
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。
紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※表紙をAI君に描いてもらいました。(2026.2.21)
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる