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それはなぜかと言うと、俺とみんなが話しているのを、黒崎が黙って見ていたからだ。俺が高校生の時なら、友達以外と話すなと言っていた人だ。さすがにそういうことはもう言わなくなった。当時のことを思い出して、また笑いがこみ上げてきた。
「黒崎さーんっ。うひゃひゃ……っ」
「何だ?」
「さすがに子供達と話すなって言わなかったね。医学生とも話したけど、あんた、止めなかったね……」
「当たり前だ」
「成長したね。大学へ入る前は、同じマンションの男の人と話すのもダメだったのに。開明高校の先生と、あんたが知っている友達に限定……、いたた」
「これでも我慢している」
「うひゃひゃー」
少し寂しい気分になったのは内緒だ。抱き寄せられた腕に力が込められて、黒崎の背中に両腕を回した。
「あら……、いいわね」
「ふふふ……」
するとその時だ。そばを通りかかった女性達からクスクスと笑われてしまった。すっかり忘れていた。ここは中庭だし、通っている人の多い出入り口の近くだ。黒崎が腕を離して歩き出したから、慌てて追いかけた。
「ちょっと待ってよ~」
「……さっさと来い」
「なんだよ?あんたが抱きついて来たんじゃん~」
「……おいて行くぞ」
黒崎が早足で進んで粋、エレベーターのボタンを押した。本当に置いて行かれそうだ。いくら照れくさくても、意地悪過ぎるだろう。
「待ってよ~」
「おい、こら……っ」
「わわ……とととっ」
追いつこうと小走りになった。いつものくせで、黒崎へダイブしようとして踏みとどまった。このままだと額が当たってしまう。まだ痛いから仕方がない。抱きつくのを我慢した。
「早くダイブ出来るように治すよ」
「危ないからやめろ。……来たぞ」
黒崎から肩を抱かれてエレベーターに乗り込んだ。誰も乗っていなかった。行き先の4階のボタンを押した後、抱き寄せられて、頬に息が掛かった。
「ん……」
「……心配している」
「うん……」
軽いキスをされた。監視カメラが作動しているのは分かっているけれど、今は気にせずに、もう一度キスをした。痛い場所に触れないようにと、気をつけて触れられたのが分かった。泣きたくなるぐらいに優しくて、この場所へ帰って来られて良かったと、心から思った。
「黒崎さーんっ。うひゃひゃ……っ」
「何だ?」
「さすがに子供達と話すなって言わなかったね。医学生とも話したけど、あんた、止めなかったね……」
「当たり前だ」
「成長したね。大学へ入る前は、同じマンションの男の人と話すのもダメだったのに。開明高校の先生と、あんたが知っている友達に限定……、いたた」
「これでも我慢している」
「うひゃひゃー」
少し寂しい気分になったのは内緒だ。抱き寄せられた腕に力が込められて、黒崎の背中に両腕を回した。
「あら……、いいわね」
「ふふふ……」
するとその時だ。そばを通りかかった女性達からクスクスと笑われてしまった。すっかり忘れていた。ここは中庭だし、通っている人の多い出入り口の近くだ。黒崎が腕を離して歩き出したから、慌てて追いかけた。
「ちょっと待ってよ~」
「……さっさと来い」
「なんだよ?あんたが抱きついて来たんじゃん~」
「……おいて行くぞ」
黒崎が早足で進んで粋、エレベーターのボタンを押した。本当に置いて行かれそうだ。いくら照れくさくても、意地悪過ぎるだろう。
「待ってよ~」
「おい、こら……っ」
「わわ……とととっ」
追いつこうと小走りになった。いつものくせで、黒崎へダイブしようとして踏みとどまった。このままだと額が当たってしまう。まだ痛いから仕方がない。抱きつくのを我慢した。
「早くダイブ出来るように治すよ」
「危ないからやめろ。……来たぞ」
黒崎から肩を抱かれてエレベーターに乗り込んだ。誰も乗っていなかった。行き先の4階のボタンを押した後、抱き寄せられて、頬に息が掛かった。
「ん……」
「……心配している」
「うん……」
軽いキスをされた。監視カメラが作動しているのは分かっているけれど、今は気にせずに、もう一度キスをした。痛い場所に触れないようにと、気をつけて触れられたのが分かった。泣きたくなるぐらいに優しくて、この場所へ帰って来られて良かったと、心から思った。
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