アイアンエンジェル~あの日の旋律

夏目奈緖

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3-3(黒崎視点)

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 夏樹が洗面所に行った。付き添うわないと言いながらも近くで彼のことを待った。しかし、電話が入り、車のそばで話すことにした。今日ばかりは仕事を持ち込まないつもりだったが、今回の電話の相手は別だ。夏樹の担任の田中先生だからだ。

 田中先生が同僚の西原先生と結婚する。西原はかつでデートをしていた相手だった。その西原と田中先生からうちの社が経営しているレストランで結婚式を挙げたいという話が出たとき、夏樹の顔が浮かんだ。夏樹には西原とのことを話していない。体の関係はなかったとは言え、断ろうかと思ったほどだ。しかし、夏樹にとっては恩師だ。沙耶に相談すると、綺麗に片付けた方がいいから是非とも引き受けるべきだと言われ、俺が結婚式のプランを立てる担当になった。まるで姉や妹が結婚する感覚になった。

 俺が友人の結婚式のプランを立てることは初めてではない。評判が良く、頼まれることが増えてきていた。夏樹が田中先生に話したのがきっかけなようだ。西原が妊娠しており、出産前に式を挙げることになり、急ぐ必要があり、式場を探していたそうだ。さっそく田中先生からの電話に出た。
 
(もしもし。田中です。休みの日に申し訳ありません)
「いえ。構いません。内装を変更して、噴水のイメージを照明で作ります」
(急な事なのに、ありがとうございます)
「いえ。こちらこそ」
(中山君から聞きました。伯楽テーマパークへ出かけているんでしょう?) 
「ええ。今、パーキングに寄っています。夏樹はトイレへ行っています。……清真女子の生徒がこちらに?バスが停まっています。剣道部の関連ですか。……ああ、夏樹が別の方向へ行ったので、一旦失礼します」

 明日また電話すると伝えて通話を終えた。今日のパーキングは混んでいるようだ。トイレの出入りが多い。夏樹のことを呼んだが、気付かなかったらしい。別の方向へ行っている。

(ああ、厄介な男がいる。そういうことか……)

 どういう巡り合うだろうか。彼のことを一人にさせると何かが起こる。しかし、今回ばかりは事情が異なる。制服姿の女子生徒が男2人から絡まれ、夏樹が助けに行ったようだ。清真女子は開明高校の系列校だ。生徒会つながりで知り合いがいるそうだ。万理の親友も通っていることも聞いたこともある。

 今までの自分ならすぐに追いかけていったが、今回は近くで見守ることにした。相手を近づけさせない話し方を夏樹には伝えてある。体術もだ。練習の成果を見ておきたいと思った。そうしないと夏樹が拗ねるからだ。
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