31 / 283
4-5
しおりを挟む
翌日、午前9時。
今日も黒崎が休みを取ってくれた。書斎と寝室で仕事をしているから、看病とあわせて忙しいのが見ても分かる。俺が遠慮がちにしていると、黒崎から、かえって能率があがるのだと言われた。
高校が自由登校になり、家で一人で過ごす日々が始まり、黒崎としては心配だという。もしも倒れた時にどうするかと考えると心配になるそうだ。だから、学校があると良かったと言っていた。
黒崎がアイスティーを持って来てくれた。伊吹から送られたレシピを参考に用意したものだ。電話もかかってきていたそうだ。特に言い合いをすることもなく、義理の兄弟として根気よく伊吹の話を聞いたそうだ。
その伊吹が、今日の午後、出張のついでにうちに寄ってくれる話になった。黒崎とは良い関係を作りたいと電話で言っていた。そこそこ悪くない人だと思っていることを正直に話してくれた。黒崎の返事は、もちろんOKだった。
「熱はどうだった?」
「37.2だよ。けっこう下がったよ……」
「そうか。検査結果を見るか?」
「うん……」
病院で血液検査を受けた。黒崎の反応を見ると良くなさそうだ。ベッドに腰掛けて、軽く頬をつねられた。
「血糖値が基準以下だそうだ。それに加えて、貧血気味だと説明を受けた。俺が遅い日は、大して食べていないだろう?」
「そんなことないよ。ちゃんと食べているよ」
「医者から聞いたぞ。風邪だけが理由じゃない。TAKU南天王寺から食事を運んでもらえることになった。しっかり食べておこう。昼食と夕食の分だ」
「それは悪いよ……」
「今回は我慢しろ。快く配達を引き受けてもらえた。体調が悪いと聞いて、バランスのいいものを用意してくれる」
「うん」
「俺も料理をする。何か作ってやる」
「レトルトのおかゆがいい。温めるだけだよ」
「体力がつかない。しっかり食べさせる。そろそろ着替えろ」
「うん……。ゴホッ。ありがとう……」
黒崎に手伝ってもらいながら着替えをした。今日は彼が洗濯をしてくれていた。問題なく乾いているし、良い匂いがした。しばらく経つと、朝ごはんが出来たと呼ばれた。作り置きの厚焼き玉子とスープ、トーストが献立だそうだ。美味しそうだと思った。
そして、ダイニングテーブルのそばに行くと、予想を超えたものが並んでいた。焦げたトーストと、レンジで温めすぎて爆発した厚焼き玉子、半分の量しかなくなったスープだった。スープは鍋で暖めているときに拭き溢したから量が減ってしまったそうだ。そして、床の上には、10個のオモチャを散らかして遊んでいるアンがいた。
でも、ここで文句を言わないことにする。うちの母から教えてもらった通りにする。パートナーに家事を手伝ってもらうためには、大袈裟に褒めることと、感謝を伝えるのが大事なポイントだと教えてもらった。
「黒崎さん。ちゃんと出来たね!すごいよ~」
「そうか?時間がかかったぞ」
「これからどんどん時間短縮できるようになるよ。黒崎さんは何でも出来るからね。いつも助かっているんだ。ありがとう」
「そうか……」
黒崎が嬉しそうにした。彼は雑誌の取材を受けるなど世間から注目を浴びている人だ。賞賛も嫉妬だって同じだけ浴びている分、小さなことで褒められたいものだと、父からも教えてもらった。
「今度は何をしようか?」
「靴下をたたんでもらえる?」
「ああ、やる」
「わあ~。たまには風邪を引くのもいいね」
黒崎が上機嫌で頷いたから俺は嬉しくなり、心の中でガッツポーズをした。
今日も黒崎が休みを取ってくれた。書斎と寝室で仕事をしているから、看病とあわせて忙しいのが見ても分かる。俺が遠慮がちにしていると、黒崎から、かえって能率があがるのだと言われた。
高校が自由登校になり、家で一人で過ごす日々が始まり、黒崎としては心配だという。もしも倒れた時にどうするかと考えると心配になるそうだ。だから、学校があると良かったと言っていた。
黒崎がアイスティーを持って来てくれた。伊吹から送られたレシピを参考に用意したものだ。電話もかかってきていたそうだ。特に言い合いをすることもなく、義理の兄弟として根気よく伊吹の話を聞いたそうだ。
その伊吹が、今日の午後、出張のついでにうちに寄ってくれる話になった。黒崎とは良い関係を作りたいと電話で言っていた。そこそこ悪くない人だと思っていることを正直に話してくれた。黒崎の返事は、もちろんOKだった。
「熱はどうだった?」
「37.2だよ。けっこう下がったよ……」
「そうか。検査結果を見るか?」
「うん……」
病院で血液検査を受けた。黒崎の反応を見ると良くなさそうだ。ベッドに腰掛けて、軽く頬をつねられた。
「血糖値が基準以下だそうだ。それに加えて、貧血気味だと説明を受けた。俺が遅い日は、大して食べていないだろう?」
「そんなことないよ。ちゃんと食べているよ」
「医者から聞いたぞ。風邪だけが理由じゃない。TAKU南天王寺から食事を運んでもらえることになった。しっかり食べておこう。昼食と夕食の分だ」
「それは悪いよ……」
「今回は我慢しろ。快く配達を引き受けてもらえた。体調が悪いと聞いて、バランスのいいものを用意してくれる」
「うん」
「俺も料理をする。何か作ってやる」
「レトルトのおかゆがいい。温めるだけだよ」
「体力がつかない。しっかり食べさせる。そろそろ着替えろ」
「うん……。ゴホッ。ありがとう……」
黒崎に手伝ってもらいながら着替えをした。今日は彼が洗濯をしてくれていた。問題なく乾いているし、良い匂いがした。しばらく経つと、朝ごはんが出来たと呼ばれた。作り置きの厚焼き玉子とスープ、トーストが献立だそうだ。美味しそうだと思った。
そして、ダイニングテーブルのそばに行くと、予想を超えたものが並んでいた。焦げたトーストと、レンジで温めすぎて爆発した厚焼き玉子、半分の量しかなくなったスープだった。スープは鍋で暖めているときに拭き溢したから量が減ってしまったそうだ。そして、床の上には、10個のオモチャを散らかして遊んでいるアンがいた。
でも、ここで文句を言わないことにする。うちの母から教えてもらった通りにする。パートナーに家事を手伝ってもらうためには、大袈裟に褒めることと、感謝を伝えるのが大事なポイントだと教えてもらった。
「黒崎さん。ちゃんと出来たね!すごいよ~」
「そうか?時間がかかったぞ」
「これからどんどん時間短縮できるようになるよ。黒崎さんは何でも出来るからね。いつも助かっているんだ。ありがとう」
「そうか……」
黒崎が嬉しそうにした。彼は雑誌の取材を受けるなど世間から注目を浴びている人だ。賞賛も嫉妬だって同じだけ浴びている分、小さなことで褒められたいものだと、父からも教えてもらった。
「今度は何をしようか?」
「靴下をたたんでもらえる?」
「ああ、やる」
「わあ~。たまには風邪を引くのもいいね」
黒崎が上機嫌で頷いたから俺は嬉しくなり、心の中でガッツポーズをした。
0
あなたにおすすめの小説
雪を溶かすように
春野ひつじ
BL
人間と獣人の争いが終わった。
和平の条件で人間の国へ人質としていった獣人国の第八王子、薫(ゆき)。そして、薫を助けた人間国の第一王子、悠(はる)。二人の距離は次第に近づいていくが、実は薫が人間国に行くことになったのには理由があった……。
溺愛・甘々です。
*物語の進み方がゆっくりです。エブリスタにも掲載しています
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜
たら昆布
BL
聖女のおまけで召喚されたと思われて追放された不憫受けが拾われて愛される話
純白のレゾン
雨水林檎
BL
《日常系BL風味義理親子(もしくは兄弟)な物語》
この関係は出会った時からだと、数えてみればもう十年余。
親子のようにもしくは兄弟のようなささいな理由を含めて、少しの雑音を聴きながら今日も二人でただ生きています。
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。
紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※表紙をAI君に描いてもらいました。(2026.2.21)
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
はじまりの朝
さくら乃
BL
子どもの頃は仲が良かった幼なじみ。
ある出来事をきっかけに離れてしまう。
中学は別の学校へ、そして、高校で再会するが、あの頃の彼とはいろいろ違いすぎて……。
これから始まる恋物語の、それは、“はじまりの朝”。
✳『番外編〜はじまりの裏側で』
『はじまりの朝』はナナ目線。しかし、その裏側では他キャラもいろいろ思っているはず。そんな彼ら目線のエピソード。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる