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17時半。
これから結婚式に出る。会場のガストロミー・ジュエルに到着した。クラシックな内装よ白くて光沢のあるテーブルクロスが綺麗だと思った。各テーブルには花が飾られている。黒崎が支配人と話し合いを重ねて、新郎新婦の希望に沿った仕上がりになったそうだ。
俺の隣には、礼装スタイルの黒崎が立っている。かっこいいから、招待客から視線を浴びている。いつもなら面白くない気分だが、今夜の気分は反対だ。支度をしているときに濃厚なキスをされて、独り占めしたいと囁かれたからだ。俺も同じ気持ちだとキスを返した結果、あまり時間がなくなって慌ててしまった。
「夏樹。森本君が着いたぞ」
「おーーい。こっちだよーー」
今夜の招待客が次々に入って来る中に、お馴染みの3人の姿を見つけた。森本、藤沢、斎藤だ。生徒代表メンバーとして出席する。高校生だから制服を着てくるかと思っていたのに、みんながスーツ姿だった。お互いに手を振り合い、今夜の服装のことを話した。
「入学式の時は、こうなるなんて思わなかったね。みんな変わったよ」
「成人式みたいだね?」
「そうだよなー。スーツなんて着たことがなかったぞ」
「もう卒業だから、親が用意してくれた」
「俺は黒崎さんが用意してくれたよ。細かいんだ。あの人。襟の形がどうとか、ズボンの丈とかさ~」
「愛されているじゃないかーー」
俺が着ているスーツは黒崎に選んでもらった。細かく採寸されて、黒崎が細かく指定していた。ネクタイの柄やシャツ、ズボンのラインと裾の長さなどだ。本当に細かいと思った。そういう事情を知っている藤沢が、黒崎へ笑顔を向けた。
「さすがですね。夜の夏樹はいつもと違います」
「ありがとう。モデルさんに言ってもらえるとはね」
「……そうだ。密着取材のことなんですけど。俺が所属している事務所が、夏樹のことををスカウトしたがっています。テレビ局から情報が入ったようです。友達だとは話していません」
「助かるよ。夏樹が興味を持たないし、性格的にも向いていない」
「そうですよねー」
藤沢は情報が早い。アパレルブランドでモデルをしている関係もあり、発表前のことを知っている。でも、決して自慢するような子ではない。将来の目標を持って仕事をしているから、随分と刺激を受けた。
学校は自由登校に入り、この次に集まるのは大学入学試験の後で、卒業式まで会わない同級生もいると思う。今夜のパーティーは思い出に残ると思った。
「とうとう来月だな。大学入学試験……」
「早いよね。俺、落ちるかもしれない。そうなると我が家の大魔王が喜ぶよ」
「おー、出た!黒崎さんの束縛かー」
「そうだよ……」
「とかいいつつ、夏樹の将来のことを考えるようになっただろ?よかったね」
「うん。大学すら行かせてもらえない空気だったからね。大きな進歩だよ。束縛がゆるんだような、強くなったような。負けないぐらいに嫉妬しているから、お互い様だよ」
こんな風にお互いのことをイジれる日が来るなんて、付き合い始めた頃は想像していなかった。今日は帰りにオリオン座を眺める約束をした。そして、タクシーをマンションの前で下りて、手をつないで遊歩道を歩く予定だ。想像するだけで胸がキュンとして、真っ赤になった顔を見て、みんなから笑われてしまった。
これから結婚式に出る。会場のガストロミー・ジュエルに到着した。クラシックな内装よ白くて光沢のあるテーブルクロスが綺麗だと思った。各テーブルには花が飾られている。黒崎が支配人と話し合いを重ねて、新郎新婦の希望に沿った仕上がりになったそうだ。
俺の隣には、礼装スタイルの黒崎が立っている。かっこいいから、招待客から視線を浴びている。いつもなら面白くない気分だが、今夜の気分は反対だ。支度をしているときに濃厚なキスをされて、独り占めしたいと囁かれたからだ。俺も同じ気持ちだとキスを返した結果、あまり時間がなくなって慌ててしまった。
「夏樹。森本君が着いたぞ」
「おーーい。こっちだよーー」
今夜の招待客が次々に入って来る中に、お馴染みの3人の姿を見つけた。森本、藤沢、斎藤だ。生徒代表メンバーとして出席する。高校生だから制服を着てくるかと思っていたのに、みんながスーツ姿だった。お互いに手を振り合い、今夜の服装のことを話した。
「入学式の時は、こうなるなんて思わなかったね。みんな変わったよ」
「成人式みたいだね?」
「そうだよなー。スーツなんて着たことがなかったぞ」
「もう卒業だから、親が用意してくれた」
「俺は黒崎さんが用意してくれたよ。細かいんだ。あの人。襟の形がどうとか、ズボンの丈とかさ~」
「愛されているじゃないかーー」
俺が着ているスーツは黒崎に選んでもらった。細かく採寸されて、黒崎が細かく指定していた。ネクタイの柄やシャツ、ズボンのラインと裾の長さなどだ。本当に細かいと思った。そういう事情を知っている藤沢が、黒崎へ笑顔を向けた。
「さすがですね。夜の夏樹はいつもと違います」
「ありがとう。モデルさんに言ってもらえるとはね」
「……そうだ。密着取材のことなんですけど。俺が所属している事務所が、夏樹のことををスカウトしたがっています。テレビ局から情報が入ったようです。友達だとは話していません」
「助かるよ。夏樹が興味を持たないし、性格的にも向いていない」
「そうですよねー」
藤沢は情報が早い。アパレルブランドでモデルをしている関係もあり、発表前のことを知っている。でも、決して自慢するような子ではない。将来の目標を持って仕事をしているから、随分と刺激を受けた。
学校は自由登校に入り、この次に集まるのは大学入学試験の後で、卒業式まで会わない同級生もいると思う。今夜のパーティーは思い出に残ると思った。
「とうとう来月だな。大学入学試験……」
「早いよね。俺、落ちるかもしれない。そうなると我が家の大魔王が喜ぶよ」
「おー、出た!黒崎さんの束縛かー」
「そうだよ……」
「とかいいつつ、夏樹の将来のことを考えるようになっただろ?よかったね」
「うん。大学すら行かせてもらえない空気だったからね。大きな進歩だよ。束縛がゆるんだような、強くなったような。負けないぐらいに嫉妬しているから、お互い様だよ」
こんな風にお互いのことをイジれる日が来るなんて、付き合い始めた頃は想像していなかった。今日は帰りにオリオン座を眺める約束をした。そして、タクシーをマンションの前で下りて、手をつないで遊歩道を歩く予定だ。想像するだけで胸がキュンとして、真っ赤になった顔を見て、みんなから笑われてしまった。
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