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車の中に戻り、後部座席からラッピングされた箱を取り出した。黒崎への贈り物が入っている。お義父さんからだ。飛行機に乗った後で、俺に開封するように頼まれた。マンションへ帰った後にしろと黒崎から苦笑されたが、ここで開封したいと思った。気に入るだろうかと、お義父さんが心配そうにしていたからだ。
「飛行機が発つ前がいいってばーー」
「はいはい、分かった。開けてやる……」
「あれ?お馴染みの表紙だね……」
箱の中を覗いた後、お互いに吹き出して笑った。魔法使いと少年のイラストが目に飛び込んできた。黒崎が好きな絵本の“あの日に出会ったキミ”だった。家に同じ物がある。
「……素直にごめんなさい、素直にありがとう」
日本語で書かれた帯を読んで、さっそく黒崎のことをイジってやった。それに対する仕返しは来なくて、わくわくしながら、次のプレゼントを取り出すのを待った。出てきたのは、72色の水彩色鉛筆のセットだ。ピアノの楽譜もある。
「この楽譜には高校時代に出たコンクールで弾いた楽曲が入っている」
「讃美歌集だね」
「あの親父が知っていたとはな。見舞いに来なかったくせに」
「気にしていたんだよ。今日は不思議だね?ママから続編も贈られたんだし」
「ああ。まさかとは思ったが……」
マンションを出る前に、ママからもプレゼントが届いた。家でゆっくり過ごすだろうと思い、宅配便を使ったそうだ。贈られたのは、あの日に出会ったキミの続編だった。これも持っている。ママは黒崎が読んでいた絵本を知っていたのだろう。黒崎が微笑んだ。
「……Will not you like it? 僕のことを好きになってくれないかな?……友達になったのに喧嘩をしている話だねー。すぐに仲直りが出来るからいいよね」
黒崎からの返事はなかった。その代わりに抱き寄せられて、キスを受け取った。心が温かくなり、抱きつくことで気持ちを伝えた。大好きだよと。
来年はどうしようか?早くも来年の計画を話していると、今日は伊吹の誕生日当日だと思い出した。電話の一本ぐらいはかけておきたい。すると、黒崎の方から伊吹に誕生日プレゼントを贈ったことが分かった。
「黒崎さん。ありがとう」
「これでも義理の兄弟だ。仲良くする」
「もう仲良しだよ」
「考えたくもない」
「なんだよーー」
黒崎の頬をつねってやると、すぐに仕返しされた。お互いに頬つねり合うという、ムードの欠片もないクリスマスの夜を過ごすことが決定した。
素直に謝った後、ありがとうと伝え合った。まるで贈られた絵本のように。俺達らしいクリスマスイヴだねと笑い合い、今夜のレストランへ出発した。
「飛行機が発つ前がいいってばーー」
「はいはい、分かった。開けてやる……」
「あれ?お馴染みの表紙だね……」
箱の中を覗いた後、お互いに吹き出して笑った。魔法使いと少年のイラストが目に飛び込んできた。黒崎が好きな絵本の“あの日に出会ったキミ”だった。家に同じ物がある。
「……素直にごめんなさい、素直にありがとう」
日本語で書かれた帯を読んで、さっそく黒崎のことをイジってやった。それに対する仕返しは来なくて、わくわくしながら、次のプレゼントを取り出すのを待った。出てきたのは、72色の水彩色鉛筆のセットだ。ピアノの楽譜もある。
「この楽譜には高校時代に出たコンクールで弾いた楽曲が入っている」
「讃美歌集だね」
「あの親父が知っていたとはな。見舞いに来なかったくせに」
「気にしていたんだよ。今日は不思議だね?ママから続編も贈られたんだし」
「ああ。まさかとは思ったが……」
マンションを出る前に、ママからもプレゼントが届いた。家でゆっくり過ごすだろうと思い、宅配便を使ったそうだ。贈られたのは、あの日に出会ったキミの続編だった。これも持っている。ママは黒崎が読んでいた絵本を知っていたのだろう。黒崎が微笑んだ。
「……Will not you like it? 僕のことを好きになってくれないかな?……友達になったのに喧嘩をしている話だねー。すぐに仲直りが出来るからいいよね」
黒崎からの返事はなかった。その代わりに抱き寄せられて、キスを受け取った。心が温かくなり、抱きつくことで気持ちを伝えた。大好きだよと。
来年はどうしようか?早くも来年の計画を話していると、今日は伊吹の誕生日当日だと思い出した。電話の一本ぐらいはかけておきたい。すると、黒崎の方から伊吹に誕生日プレゼントを贈ったことが分かった。
「黒崎さん。ありがとう」
「これでも義理の兄弟だ。仲良くする」
「もう仲良しだよ」
「考えたくもない」
「なんだよーー」
黒崎の頬をつねってやると、すぐに仕返しされた。お互いに頬つねり合うという、ムードの欠片もないクリスマスの夜を過ごすことが決定した。
素直に謝った後、ありがとうと伝え合った。まるで贈られた絵本のように。俺達らしいクリスマスイヴだねと笑い合い、今夜のレストランへ出発した。
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