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午前10時45分。
迎えの車に乗り込んだ。一息ついていると、父が秘書の村井から何かを受け取り、そのケースを開けた。そこには、ブレスレットが入っていた。カジュアルなデザインであり、夏樹に似合いそうなものだ。俺がプレゼントしようとしている物とデザインが似ている。父が夏樹のために選んだプレゼントだ。俺と同じ発想をしていることが分かり、驚いた。俺からのプレゼントはまだ渡せていない。新居に到着した後で渡そうと思っている。
父が夏樹の手を取った。そして、ブレスレットを付けようとしている。
「記念になるものを選んだよ。さっそく付けてほしい」
「え、だめだよ。誕生日でもないのに……」
「受け取ってもらいたい。こうやって、自分の息子に贈り物をする機会がなくてね……」
「そっか……。ありがとう。大事にするよ」
「3月24日を、私達の記念日にしよう」
「何ていう名前にする?」
「……そうだね。村井、今日の花を調べてくれ」
「……かしこまりました」
村井が調べている間、父が夏樹の手を握り続けている。暑苦しいほどに嬉しそうな顔をしている。夏樹は嫌がるそぶりを見せずにいる。嫌がっていないからだ。俺はこれからのことを思い、また頭が痛くなった。すると、村井が父に声をかけた。花言葉を調べ終わったようだ。
「……3月24日の花は複数ございます。『カタクリ』『コブシ』です。それぞれの花言葉は……。『カタクリ』の花言葉は、初恋、寂しさに耐える。うつむいて咲く花姿から、連想されたものです。恥じらいにより、自分の気持ちをうまく伝えられないものであるといわれます。……『コブシ』は、友情、友愛、愛らしさ。子供の握りこぶしのような、つぼみの形だと言われているようです。純白で、曇りのない花姿に由来しています」
「夏樹ちゃんのイメージに合う花言葉だね」
「片栗粉を握りしめている感じだね?唐揚げは得意料理なんだよ~」
「はははは。今日という日を『カタクリ・コブシ記念日』にしよう」
「うんっ。素敵だね!」
心からの発言だ。2人が笑い合って、新居へ行く前に立ち寄りたい店の話を始めた。アンが到着するのは夕方になる。父は用があるから家に戻らないといけないらしい。出来れば今日、アンにも会いたかったと言っていた。プレゼントがあったらしい。
そこへ、夏樹がある提案した。明日の昼食を一緒に取ろうと言い出した。父が一瞬目を見張った。こうして、気軽に誘いをかけられる事がないからだろう。夏樹の方は不思議そうな顔をしており、お腹が痛いの?と言って、父のことを気遣う素振りを見せた。これから先の生活が想像できた。明るいものになるだろう。
村井から声を掛けられて外を見ると、新居のマンションが見えて来た。自然に囲まれた場所にあるから、夏樹が喜びそうだ。しばらくここに住んだ後、黒崎家に戻ることになりそうだが、まだ先だ。夏樹が慣れるまで待つつもりだ。
黒崎家の敷地内に家を建てればいいのだが、夏樹には、まだ家との距離を取っておかせたい。親戚達が彼に会いに来るからだ。夏樹が緊張してしまう。このことについては父も同じ意見だ。肩の力を抜いて行こうと話し合い、父と俺は今日からやり直す決心をした。
車が進行方向を変えて、高い塔の下に広がる公園のような場所へ入った。その先には、昼間の日差しを受けた、明るいエントランスが見えている。今日から新しい出発だ。夏樹が窓から景色を眺めている。明るい毎日がやってくるといい。そう思いながら、俺も新居を眺めた。
迎えの車に乗り込んだ。一息ついていると、父が秘書の村井から何かを受け取り、そのケースを開けた。そこには、ブレスレットが入っていた。カジュアルなデザインであり、夏樹に似合いそうなものだ。俺がプレゼントしようとしている物とデザインが似ている。父が夏樹のために選んだプレゼントだ。俺と同じ発想をしていることが分かり、驚いた。俺からのプレゼントはまだ渡せていない。新居に到着した後で渡そうと思っている。
父が夏樹の手を取った。そして、ブレスレットを付けようとしている。
「記念になるものを選んだよ。さっそく付けてほしい」
「え、だめだよ。誕生日でもないのに……」
「受け取ってもらいたい。こうやって、自分の息子に贈り物をする機会がなくてね……」
「そっか……。ありがとう。大事にするよ」
「3月24日を、私達の記念日にしよう」
「何ていう名前にする?」
「……そうだね。村井、今日の花を調べてくれ」
「……かしこまりました」
村井が調べている間、父が夏樹の手を握り続けている。暑苦しいほどに嬉しそうな顔をしている。夏樹は嫌がるそぶりを見せずにいる。嫌がっていないからだ。俺はこれからのことを思い、また頭が痛くなった。すると、村井が父に声をかけた。花言葉を調べ終わったようだ。
「……3月24日の花は複数ございます。『カタクリ』『コブシ』です。それぞれの花言葉は……。『カタクリ』の花言葉は、初恋、寂しさに耐える。うつむいて咲く花姿から、連想されたものです。恥じらいにより、自分の気持ちをうまく伝えられないものであるといわれます。……『コブシ』は、友情、友愛、愛らしさ。子供の握りこぶしのような、つぼみの形だと言われているようです。純白で、曇りのない花姿に由来しています」
「夏樹ちゃんのイメージに合う花言葉だね」
「片栗粉を握りしめている感じだね?唐揚げは得意料理なんだよ~」
「はははは。今日という日を『カタクリ・コブシ記念日』にしよう」
「うんっ。素敵だね!」
心からの発言だ。2人が笑い合って、新居へ行く前に立ち寄りたい店の話を始めた。アンが到着するのは夕方になる。父は用があるから家に戻らないといけないらしい。出来れば今日、アンにも会いたかったと言っていた。プレゼントがあったらしい。
そこへ、夏樹がある提案した。明日の昼食を一緒に取ろうと言い出した。父が一瞬目を見張った。こうして、気軽に誘いをかけられる事がないからだろう。夏樹の方は不思議そうな顔をしており、お腹が痛いの?と言って、父のことを気遣う素振りを見せた。これから先の生活が想像できた。明るいものになるだろう。
村井から声を掛けられて外を見ると、新居のマンションが見えて来た。自然に囲まれた場所にあるから、夏樹が喜びそうだ。しばらくここに住んだ後、黒崎家に戻ることになりそうだが、まだ先だ。夏樹が慣れるまで待つつもりだ。
黒崎家の敷地内に家を建てればいいのだが、夏樹には、まだ家との距離を取っておかせたい。親戚達が彼に会いに来るからだ。夏樹が緊張してしまう。このことについては父も同じ意見だ。肩の力を抜いて行こうと話し合い、父と俺は今日からやり直す決心をした。
車が進行方向を変えて、高い塔の下に広がる公園のような場所へ入った。その先には、昼間の日差しを受けた、明るいエントランスが見えている。今日から新しい出発だ。夏樹が窓から景色を眺めている。明るい毎日がやってくるといい。そう思いながら、俺も新居を眺めた。
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