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スーパーで買い物中だ。深川さんから貰ったかつお節で取った出汁が美味しかったことをお義父さんに電話で話すと、味噌汁を作ってほしいと頼まれた。もちろん喜んで作る。
「これからは、ここに通うことになるんだよ。慣れてきたら、他のお店にも行くよ。いろんな感じの店があるよね?」
「ここは昔、下町だった。大使館があるから、国際色豊かな店も多い」
「浅草&大阪ミックスカジュアルみたいだね」
「そうだな……」
初めて入ったスーパーは、目新しいものがあるから面白い。カゴには、晩ご飯の食材が揃っている。時間に余裕があるから、ブラブラと店内を見ている。豆腐コーナーへ入ろうとして、黒崎の腕を引いて止めた。いつも豆腐のことで言い合いになるからだ。
「今日は豆腐を買わないよ。こっちのお菓子コーナーへ行こうよ」
「高菜フーズがあった。見ていく」
「見ても買わないから」
「これからこの店を利用するんだ。把握しておきたい」
「今日はケンカをしたくないんだよ~」
「しなくていい」
「なるじゃん」
「お前が嫌みを言うからだ」
「黒崎さんが意地悪を言い返してくるからだよ」
カートをついて歩き進んだ。てっきり後ろからついてくると思ったのに気配がない。ここで振り返ると、向こうの思うツボだ。振り返らないことにした。
豆腐のコーナーを過ぎて、パンのコーナーへ入った。焼きあがったばかりのパンが、ワゴンで運ばれて来た。いい匂いがしている。このタイミングで、店内放送が流れた。
「……パンのコーナーよりお知らせです。当店で焼き上げたクロワッサンをご用意いたしました。数に限りがございます。お早めにお買い求めください」
放送が終わる頃には、ワゴンの周りには買い物客が待っていた。それだけ美味しいということだ。すぐに順番の列に並び、手にすることが出来た。
「5個あれば足りるよね。サクサク感が分かるよ~」
鼻歌を歌いながら、惣菜コーナーへ行った。いい匂いがしている。和洋中のおかずが並んでいて、いかにも美味しそうだ。
「あ、お腹が鳴った。朝ごはんを食べてきたのにな~。このお浸し、美味しそうだよ。ねえ、黒崎さん?いないんだった……。どこにいったんだよ?探すのが大変だよ~」
自分が黒崎のことを置いて行ったのは、棚に上げることにした。文句を言いながら、ルートを戻った。すると、鮮魚のコーナーで、背の高い人物を発見した。2人の女性と話している。立っている距離が近いから親しそうだ。カートをついて近くまで行くと、3人の会話が聞こえてきた。
「黒崎製菓に移ったこと、ニュースで知ったのよ。実家に帰ったのね」
「みんなで集まりましょうよ」
「また今度。……夏樹、来たか」
黒崎がそばへ来た。背中に手を添えられて、彼女達の近くまで行った。同じ大学だった人だということだ。ほんの短い立ち話をした。実家の隣の家に住むこと、仕事のことを話していた。もちろん、俺とのこともだ。その間、黒崎からは優しく背中を叩かれていた。機嫌を取られている。これがキッカケで仲直りできて、手を繋いで店から出ることが出来た。
「これからは、ここに通うことになるんだよ。慣れてきたら、他のお店にも行くよ。いろんな感じの店があるよね?」
「ここは昔、下町だった。大使館があるから、国際色豊かな店も多い」
「浅草&大阪ミックスカジュアルみたいだね」
「そうだな……」
初めて入ったスーパーは、目新しいものがあるから面白い。カゴには、晩ご飯の食材が揃っている。時間に余裕があるから、ブラブラと店内を見ている。豆腐コーナーへ入ろうとして、黒崎の腕を引いて止めた。いつも豆腐のことで言い合いになるからだ。
「今日は豆腐を買わないよ。こっちのお菓子コーナーへ行こうよ」
「高菜フーズがあった。見ていく」
「見ても買わないから」
「これからこの店を利用するんだ。把握しておきたい」
「今日はケンカをしたくないんだよ~」
「しなくていい」
「なるじゃん」
「お前が嫌みを言うからだ」
「黒崎さんが意地悪を言い返してくるからだよ」
カートをついて歩き進んだ。てっきり後ろからついてくると思ったのに気配がない。ここで振り返ると、向こうの思うツボだ。振り返らないことにした。
豆腐のコーナーを過ぎて、パンのコーナーへ入った。焼きあがったばかりのパンが、ワゴンで運ばれて来た。いい匂いがしている。このタイミングで、店内放送が流れた。
「……パンのコーナーよりお知らせです。当店で焼き上げたクロワッサンをご用意いたしました。数に限りがございます。お早めにお買い求めください」
放送が終わる頃には、ワゴンの周りには買い物客が待っていた。それだけ美味しいということだ。すぐに順番の列に並び、手にすることが出来た。
「5個あれば足りるよね。サクサク感が分かるよ~」
鼻歌を歌いながら、惣菜コーナーへ行った。いい匂いがしている。和洋中のおかずが並んでいて、いかにも美味しそうだ。
「あ、お腹が鳴った。朝ごはんを食べてきたのにな~。このお浸し、美味しそうだよ。ねえ、黒崎さん?いないんだった……。どこにいったんだよ?探すのが大変だよ~」
自分が黒崎のことを置いて行ったのは、棚に上げることにした。文句を言いながら、ルートを戻った。すると、鮮魚のコーナーで、背の高い人物を発見した。2人の女性と話している。立っている距離が近いから親しそうだ。カートをついて近くまで行くと、3人の会話が聞こえてきた。
「黒崎製菓に移ったこと、ニュースで知ったのよ。実家に帰ったのね」
「みんなで集まりましょうよ」
「また今度。……夏樹、来たか」
黒崎がそばへ来た。背中に手を添えられて、彼女達の近くまで行った。同じ大学だった人だということだ。ほんの短い立ち話をした。実家の隣の家に住むこと、仕事のことを話していた。もちろん、俺とのこともだ。その間、黒崎からは優しく背中を叩かれていた。機嫌を取られている。これがキッカケで仲直りできて、手を繋いで店から出ることが出来た。
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