63 / 514
8-10
しおりを挟む
午前7時。
俺のことを早瀬さんの家に送った後、黒崎はお寺へ向かう。アンとユリウスの荷物を積み込んで、助手席に乗り込んだ。ゆっくりと正面の門が開き、車が進み出た。そして、黒崎から運転の仕方を忘れていると冗談を言われて、吹き出して笑った。まさかと言い返すと、目的地の道順まで忘れたとまで返ってきた。
「真面目な顔で言うなよ。ナビを付けたらいいじゃん。うひゃひゃ」
「テレビでも見ていろ。”マーリン先生が来た” をやっているぞ」
「この時間だっけ?つけてみるよ」
そばに置いたタンブラーからは、温かいココアの匂いがしている。普段なら嫌がるくせに、今日は飲みながら行けと言われた。ミルクを多めにしたから、甘い匂いがマシだと思ったのに、大して変化がなかった。窓を開けたそうにしているのが笑えた。
「何を笑っているんだ?」
「あんたが我慢をしているからだよ~。寒いから窓を開けないんだよね?俺が風邪を引くからだよね?」
「さっさと飲み終われ」
なんて言い方をするのか?おまけにタイミングよく信号待ちだから、ふんぞり返っている。こんなに偉そうな人には、最大限のお仕置きをしてやる。
「マリーズカフェに寄ってよ。お土産を持って行きたいから。ココアのおかわりが飲みたいし。……え?ここで飲むんだよ。……飲みたいんだって。我儘を言わせろよ~」
「その意気だ。帰った後、何でも聞いてやる」
「優しくするなよ……」
俯いていると腕を伸ばしてきて、頬に触れられた。もっと頬を膨らませて、面白い顔をしろと笑われた。信号待ちの度に何かされて、いじめっ子かと言い返すと、もっとされた。
元気づけるようとしているのは分かっている。嬉しさと寂しさ、往生際の悪い自分に恥ずかしくなった。相手にしないでいると、マーリン先生のオープニング曲が流れた。これは見逃し番組の分だ。わざわざ登録してくれたのか。胸がきゅんとしたから、偉そうな言い方は許してあげた。
「ありがとう。おかわりをしないからね」
「それは助かった」
「別にいいよ……。到着したね。空いてるねえ」
マリーズカフェに到着した。駐車場は空いていた。ガラス張りの向こうには、数人が珈琲を飲んでいる。空いている時間に来たことが無かったから、新鮮に感じた。
俺のことを早瀬さんの家に送った後、黒崎はお寺へ向かう。アンとユリウスの荷物を積み込んで、助手席に乗り込んだ。ゆっくりと正面の門が開き、車が進み出た。そして、黒崎から運転の仕方を忘れていると冗談を言われて、吹き出して笑った。まさかと言い返すと、目的地の道順まで忘れたとまで返ってきた。
「真面目な顔で言うなよ。ナビを付けたらいいじゃん。うひゃひゃ」
「テレビでも見ていろ。”マーリン先生が来た” をやっているぞ」
「この時間だっけ?つけてみるよ」
そばに置いたタンブラーからは、温かいココアの匂いがしている。普段なら嫌がるくせに、今日は飲みながら行けと言われた。ミルクを多めにしたから、甘い匂いがマシだと思ったのに、大して変化がなかった。窓を開けたそうにしているのが笑えた。
「何を笑っているんだ?」
「あんたが我慢をしているからだよ~。寒いから窓を開けないんだよね?俺が風邪を引くからだよね?」
「さっさと飲み終われ」
なんて言い方をするのか?おまけにタイミングよく信号待ちだから、ふんぞり返っている。こんなに偉そうな人には、最大限のお仕置きをしてやる。
「マリーズカフェに寄ってよ。お土産を持って行きたいから。ココアのおかわりが飲みたいし。……え?ここで飲むんだよ。……飲みたいんだって。我儘を言わせろよ~」
「その意気だ。帰った後、何でも聞いてやる」
「優しくするなよ……」
俯いていると腕を伸ばしてきて、頬に触れられた。もっと頬を膨らませて、面白い顔をしろと笑われた。信号待ちの度に何かされて、いじめっ子かと言い返すと、もっとされた。
元気づけるようとしているのは分かっている。嬉しさと寂しさ、往生際の悪い自分に恥ずかしくなった。相手にしないでいると、マーリン先生のオープニング曲が流れた。これは見逃し番組の分だ。わざわざ登録してくれたのか。胸がきゅんとしたから、偉そうな言い方は許してあげた。
「ありがとう。おかわりをしないからね」
「それは助かった」
「別にいいよ……。到着したね。空いてるねえ」
マリーズカフェに到着した。駐車場は空いていた。ガラス張りの向こうには、数人が珈琲を飲んでいる。空いている時間に来たことが無かったから、新鮮に感じた。
0
あなたにおすすめの小説
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
サラリーマン二人、酔いどれ同伴
風
BL
久しぶりの飲み会!
楽しむ佐万里(さまり)は後輩の迅蛇(じんだ)と翌朝ベッドの上で出会う。
「……え、やった?」
「やりましたね」
「あれ、俺は受け?攻め?」
「受けでしたね」
絶望する佐万里!
しかし今週末も仕事終わりには飲み会だ!
こうして佐万里は同じ過ちを繰り返すのだった……。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
没落令息はクラスメイトの執着に救われる
夕月ねむ
BL
突然父親の爵位がはく奪され、帰る屋敷も家名も失ったローレンス。貴族が集まる学院の寮からも放り出されるところだった彼を、クラスメイトのアルフレッドが引き留める。
「侯爵家の私であれば、従者をひとり授業に同席させることができる」と言って。
アルフレッドの従者となったローレンス。けれどその二年後、彼らの関係は再び大きく変わることとなった。
※FANBOXからの転載です。
※他サイトにも投稿しています。
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる