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まだスタンバイが続きそうだ。聡太郎が久弥のパートの練習を続けた。早瀬さんが付き添い、細かいズレを直した。これでよし。本人が笑顔になった後、ピアノ演奏が始まるアナウンスが流れた。
「なつきー。こっちから、黒崎さんが弾いているところが見えるよー」
「わあー、開けてくれたんですね!ありがとうございます」
ロールスクリーンが天井まで上げられて、透明ガラス壁が現れた。照明効果で青色系に光ったり、暗くしたりするそうだ。黒崎がピアノの前に座っているのが見えている。
すると、黒崎の身体が動き、演奏が始まった。スピーカーから旋律が流れ出して、嬉しさで気持ちが高揚した。10年以上先にならないと、ピアニストの道を再開させないと黒崎が言っていたそうだ。しかし、深川さんがフライングしろと発破をかけて、それに苛立って引き受けたのが、真相だと知った。すると、悠人が俺の隣に立った。
「かっこいいねーー。話したら駄目だよね?聴いてるところだから」
「いいよ、気にするなよ~。演奏風景を見るのがメインだからさ。ステージの位置が高いから、あんまり見えないね……」
「そうだ、いいことを思いついたよ!大和、来てよーー。学校の騎馬戦みたいに、夏樹を抱え上げて欲しいんだ。見せてあげたいから」
「面白そうだな!よーし!」
「いいよ、駄目だよ。怪我したらいけないから。わああー」
さっそく大和がやって来た。あっという間に全身を持ち上げられた。大和が右足、悠人が左足側だ。疲れたら交代するぞとメンバーが集まり、お言葉に甘えさせてもらった。
すると、ステージ照明が変化して、黒崎の顔がはっきり見え始めた。ヨロけないようにと、ガラス壁にすがりつき、その姿を応援した。
「黒崎さんが、こっちを見たよ。分からないよね?だって……」
「げえええっ。映っているんですかーー?」
「ぎゃはははーー。大和からなら、モニター画面が見えるだろ?」
「はい!えーっと……。おおーー」
ステージの照明効果が変わった後、俺たちの姿が丸見えになり、観客席から見えているし、モニターにも映っていることを知った。黒崎にも見えているはずだ。
「やばい!」
「わーーーー」
急いで後ろに下がりかけた時、バランスを崩しかけて、壁にすがりついた。ここで落ちると、2人に怪我をさせてしまうだろう。必死で体勢を立て直していると、それを支えるために後ろに下がるという、悪循環が起きた。
「わあああー、下がらないでよ~っ」
「げえええっ。笑いが起きているよー。裕理さん!笑っていないで助けてよーー」
「このまま見ていろよ。余計に恥ずかしいからなー。演出ってことで。よいしょっと。ははは」
大和が笑いながら、力を込めた。俺と悠人だけが慌てている状況だ。久弥が原田さんと笑い転げて、聡太郎がスマホで撮り始めた。微笑んでいるから怒れない。そして、早瀬さんがそばに来て、転ばないようにしてくれた。スピーカーからはピアノの旋律が流れて、観客からの笑い声も入っていた。
「黒崎さんが笑っているよ~。ひっく、うっうっ」
ガラス壁の向こうでは、黒崎が笑いながら演奏を続けている。早瀬さんが支えているから、安心しているのだろう。そして、俺達に嫌味たらしい笑顔を向けた後、TDDの楽曲”resumption、再開” を演奏し始めた。普通に見ている時なら感激したのに。
「ぎゃははは。resumptionには、”帰着”の意味もあるぞー。スピーカーのセット完了だ。ヴォーカルを床へ帰着させろ!」
久弥の言葉で、せーので降りようとすると、さらに笑い声が聞こえて来た。無事に床に降りた後、恥ずかしがる間もなく、ステージサイドへ向かった。
俺たちが待機したタイミングで、EDENの旋律が奏でられ始めた。照明効果を使って観客から見えなくさせた状況の中、メンバーがスタンバイした。
黒崎との初共演に感激し、こういう演出まで起こしたなら、もう開き直るしかない。出席者からの大きな拍手を送られて、ステージを交代した。
「なつきー。こっちから、黒崎さんが弾いているところが見えるよー」
「わあー、開けてくれたんですね!ありがとうございます」
ロールスクリーンが天井まで上げられて、透明ガラス壁が現れた。照明効果で青色系に光ったり、暗くしたりするそうだ。黒崎がピアノの前に座っているのが見えている。
すると、黒崎の身体が動き、演奏が始まった。スピーカーから旋律が流れ出して、嬉しさで気持ちが高揚した。10年以上先にならないと、ピアニストの道を再開させないと黒崎が言っていたそうだ。しかし、深川さんがフライングしろと発破をかけて、それに苛立って引き受けたのが、真相だと知った。すると、悠人が俺の隣に立った。
「かっこいいねーー。話したら駄目だよね?聴いてるところだから」
「いいよ、気にするなよ~。演奏風景を見るのがメインだからさ。ステージの位置が高いから、あんまり見えないね……」
「そうだ、いいことを思いついたよ!大和、来てよーー。学校の騎馬戦みたいに、夏樹を抱え上げて欲しいんだ。見せてあげたいから」
「面白そうだな!よーし!」
「いいよ、駄目だよ。怪我したらいけないから。わああー」
さっそく大和がやって来た。あっという間に全身を持ち上げられた。大和が右足、悠人が左足側だ。疲れたら交代するぞとメンバーが集まり、お言葉に甘えさせてもらった。
すると、ステージ照明が変化して、黒崎の顔がはっきり見え始めた。ヨロけないようにと、ガラス壁にすがりつき、その姿を応援した。
「黒崎さんが、こっちを見たよ。分からないよね?だって……」
「げえええっ。映っているんですかーー?」
「ぎゃはははーー。大和からなら、モニター画面が見えるだろ?」
「はい!えーっと……。おおーー」
ステージの照明効果が変わった後、俺たちの姿が丸見えになり、観客席から見えているし、モニターにも映っていることを知った。黒崎にも見えているはずだ。
「やばい!」
「わーーーー」
急いで後ろに下がりかけた時、バランスを崩しかけて、壁にすがりついた。ここで落ちると、2人に怪我をさせてしまうだろう。必死で体勢を立て直していると、それを支えるために後ろに下がるという、悪循環が起きた。
「わあああー、下がらないでよ~っ」
「げえええっ。笑いが起きているよー。裕理さん!笑っていないで助けてよーー」
「このまま見ていろよ。余計に恥ずかしいからなー。演出ってことで。よいしょっと。ははは」
大和が笑いながら、力を込めた。俺と悠人だけが慌てている状況だ。久弥が原田さんと笑い転げて、聡太郎がスマホで撮り始めた。微笑んでいるから怒れない。そして、早瀬さんがそばに来て、転ばないようにしてくれた。スピーカーからはピアノの旋律が流れて、観客からの笑い声も入っていた。
「黒崎さんが笑っているよ~。ひっく、うっうっ」
ガラス壁の向こうでは、黒崎が笑いながら演奏を続けている。早瀬さんが支えているから、安心しているのだろう。そして、俺達に嫌味たらしい笑顔を向けた後、TDDの楽曲”resumption、再開” を演奏し始めた。普通に見ている時なら感激したのに。
「ぎゃははは。resumptionには、”帰着”の意味もあるぞー。スピーカーのセット完了だ。ヴォーカルを床へ帰着させろ!」
久弥の言葉で、せーので降りようとすると、さらに笑い声が聞こえて来た。無事に床に降りた後、恥ずかしがる間もなく、ステージサイドへ向かった。
俺たちが待機したタイミングで、EDENの旋律が奏でられ始めた。照明効果を使って観客から見えなくさせた状況の中、メンバーがスタンバイした。
黒崎との初共演に感激し、こういう演出まで起こしたなら、もう開き直るしかない。出席者からの大きな拍手を送られて、ステージを交代した。
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