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パチパチパチ!
TDDのステージが始まった。ドラム音とベース、リズムギターの時計の針が刻まれている中、悠人の賑やかなギターが鳴り響いた。
今夜のステージには、アレンジを加えている。ジャズやブルースをイメージして弾いているから、馴染みのある招待客が盛り上がった。ステージから会場全体を見渡すと、腕を振り上げて楽しんでくれる人が出てきたのが分かった。
「こんばんはーーー!」
「ガラス壁の向こう、EDENから来ましたー!」
挨拶の掛け声に合わせて、歓声と拍手が起こった。何年かぶりに聞いた音楽ジャンルだという反応もあるはずだ。その結果、招待客がリズムを取りたくなる構成にした。クラブやディスコへ行ったことがある人なら、すぐに踊りたくなる。久弥がそう言っていた。
「まだ曲には入りません!準備運動でーーす!……さっきのあれも、ストレッチの一環です。……笑い過ぎです!」
招待客の年代層は高いと思う。自分が持っていたイメージが吹き飛ぶぐらいの反応をしてくれた。何よりも、楽しんでもらえている手ごたえを感じた。
右の方からは、新役員メンバーからの歓声が上がった。田所常務が若手社員とリズムを取って、軽く踊り始めたからだ。
それが呼び水になり、いい流れが広がった。恥ずかしい気持ちが減った人たちがリズムを取り始めて、会場全体がホカホカに温まった。
司会者からの楽曲が紹介されて、ドラム音が響き渡った。時計の針、教会の鐘の音、笑い声のフレーズ、その音の中、ヴォーカルとして物語を語り始めた。毎日が通り過ぎて変化していく。まるで回転木馬のようにと。
「……EDEN!……Your life passes by……、Your life changes……」
初めてのメンバーで披露したステージは、お互いの存在を知り合える構成になった。盛り上がりのアップダウンのあるものではなくて、一定のリズムを刻んでいるからだ。胸の鼓動と呼吸を合わせるかのように。
軽い煽りの後も、盛り上がりは消えなかった。バンドへの声援も混ざっていた。就任式典当日のロビーと似た感じで、若い人を歓迎するという意味だ。スポンサーを務めているバンドへの期待、可愛らしい一面のあるメンバーへの声援、かっこいいという反応も貰った。
黒崎と交代するときには、新副社長へのエールが贈られた。ピアノ演奏の素晴らしさと、パートナー達がやらかした演出に対してだ。ご愛嬌どころか、まさかあの副社長が?という反応もあった。
黒崎製菓の新体制を祝ってもらうパーティーだ。TDDのステージと突拍子のない演出が、お祝いムードへ華を添える役目になったのなら、どんなに嬉しい事だろう。メンバー同士でアイコンタクトを取り、頷き合った。
パチパチパチパチ……!
演奏が進んで行くなか、そのお手伝いが出来たことを知った。深川さんと黒崎が会場へ戻ったと同時に、大きな拍手が起きたからだ。
EDENのラストでは、軽くシャウトをして仕上げよう。どんな言葉にしようかと迷うことなく、なるべく聞き取りやすい発声でシャウトした。
「ありがとうございますーー!」
ステージ照明が切り替わり、招待客へと白い光が降り注いだ。青と白に細かく分かれて、花びらや紙ふぶきのように舞った。その後、赤色が加わったステンドグラス風の彩りが、会場全体へ広がった。
この演出を聞いた時、メンバー同士で盛り上がった。EDENのPV背景を同じだからだ。IKUが構成したのかと思ったら、主催者側からのアイデアだった。
誰からの提案かな?きっとこの人からに決まっている。会場の後方で立っている黒崎へ向けて、あるメッセージを伝えた。マイク越しに。
「……今夜、踊ってもらえませんか?」
招待客からの悲鳴と歓声が起きた後、新しいリズムと旋律が奏でられた。隣にいる深川さんが笑ったから、やっぱり黒崎が提案してくれたのか。
聡太郎からのアドリブに助けられて、黒崎からよく見える位置へ立ち、誘惑するつもりで歌声をあげた。それはちゃんと届いたようで、目を逸らされてしまった。
TDDのステージが始まった。ドラム音とベース、リズムギターの時計の針が刻まれている中、悠人の賑やかなギターが鳴り響いた。
今夜のステージには、アレンジを加えている。ジャズやブルースをイメージして弾いているから、馴染みのある招待客が盛り上がった。ステージから会場全体を見渡すと、腕を振り上げて楽しんでくれる人が出てきたのが分かった。
「こんばんはーーー!」
「ガラス壁の向こう、EDENから来ましたー!」
挨拶の掛け声に合わせて、歓声と拍手が起こった。何年かぶりに聞いた音楽ジャンルだという反応もあるはずだ。その結果、招待客がリズムを取りたくなる構成にした。クラブやディスコへ行ったことがある人なら、すぐに踊りたくなる。久弥がそう言っていた。
「まだ曲には入りません!準備運動でーーす!……さっきのあれも、ストレッチの一環です。……笑い過ぎです!」
招待客の年代層は高いと思う。自分が持っていたイメージが吹き飛ぶぐらいの反応をしてくれた。何よりも、楽しんでもらえている手ごたえを感じた。
右の方からは、新役員メンバーからの歓声が上がった。田所常務が若手社員とリズムを取って、軽く踊り始めたからだ。
それが呼び水になり、いい流れが広がった。恥ずかしい気持ちが減った人たちがリズムを取り始めて、会場全体がホカホカに温まった。
司会者からの楽曲が紹介されて、ドラム音が響き渡った。時計の針、教会の鐘の音、笑い声のフレーズ、その音の中、ヴォーカルとして物語を語り始めた。毎日が通り過ぎて変化していく。まるで回転木馬のようにと。
「……EDEN!……Your life passes by……、Your life changes……」
初めてのメンバーで披露したステージは、お互いの存在を知り合える構成になった。盛り上がりのアップダウンのあるものではなくて、一定のリズムを刻んでいるからだ。胸の鼓動と呼吸を合わせるかのように。
軽い煽りの後も、盛り上がりは消えなかった。バンドへの声援も混ざっていた。就任式典当日のロビーと似た感じで、若い人を歓迎するという意味だ。スポンサーを務めているバンドへの期待、可愛らしい一面のあるメンバーへの声援、かっこいいという反応も貰った。
黒崎と交代するときには、新副社長へのエールが贈られた。ピアノ演奏の素晴らしさと、パートナー達がやらかした演出に対してだ。ご愛嬌どころか、まさかあの副社長が?という反応もあった。
黒崎製菓の新体制を祝ってもらうパーティーだ。TDDのステージと突拍子のない演出が、お祝いムードへ華を添える役目になったのなら、どんなに嬉しい事だろう。メンバー同士でアイコンタクトを取り、頷き合った。
パチパチパチパチ……!
演奏が進んで行くなか、そのお手伝いが出来たことを知った。深川さんと黒崎が会場へ戻ったと同時に、大きな拍手が起きたからだ。
EDENのラストでは、軽くシャウトをして仕上げよう。どんな言葉にしようかと迷うことなく、なるべく聞き取りやすい発声でシャウトした。
「ありがとうございますーー!」
ステージ照明が切り替わり、招待客へと白い光が降り注いだ。青と白に細かく分かれて、花びらや紙ふぶきのように舞った。その後、赤色が加わったステンドグラス風の彩りが、会場全体へ広がった。
この演出を聞いた時、メンバー同士で盛り上がった。EDENのPV背景を同じだからだ。IKUが構成したのかと思ったら、主催者側からのアイデアだった。
誰からの提案かな?きっとこの人からに決まっている。会場の後方で立っている黒崎へ向けて、あるメッセージを伝えた。マイク越しに。
「……今夜、踊ってもらえませんか?」
招待客からの悲鳴と歓声が起きた後、新しいリズムと旋律が奏でられた。隣にいる深川さんが笑ったから、やっぱり黒崎が提案してくれたのか。
聡太郎からのアドリブに助けられて、黒崎からよく見える位置へ立ち、誘惑するつもりで歌声をあげた。それはちゃんと届いたようで、目を逸らされてしまった。
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