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23時。
会場ホテルの隣にある公園へ遊びに来た。黒崎と2人だ。とにかく広い敷地内には、噴水や池、広い花壇、イチョウ並木、桜の木もある。
ここへ来るのは初めてだ。今度寄ろうねと、食事の帰りの度に話していた。その頃には時間が遅くて、早く帰って寝ろと言われるからだ。朝起きるのが早いから、俺に睡眠時間を取らせたいのが理由だ。
「本当にそれだけ?他の場所は寄っているのに。アイビー書店とか。ここまで遅くないけど」
「夏場は虫に刺される。それ以外は冷える。昼間の方が楽しめるだろう。来月、また連れて来てやる」
「ふうん。三日月が綺麗だよ。ここから見えるんだね。そっか。灯りに遮られていないからか。本当に都内の中で暮らしているんだねえ。実家よりも郊外に思えるよ」
「……連れて来てよかった」
この公園か黒崎家のことか、あるいは両方か。先に歩き出したから照れ隠しだ。なかなか追いつかないから小走りに追いかけて、後ろから飛びつくようにして、両腕を回した。ビクともしないのが分かっているから、安心している。
さっき控え室で着替えたから動きやすい。黒崎も上着を脱いで楽にすればいい。黙って剝ぎ取るようにすると、不意打ちで抱き寄せられて、動きを封じられた。この反射神経の良さには、開いた口が塞がらない。
「何だよ~。コンプレックスを刺激するなひょ。んんひょい、つねるひゃひょっ」
「いまさらだ。もう帰るのか?」
素っ気ない言い方をしたくせに、密着した身体を離そうとしない。公園内の外灯が周囲をぼんやりと照らし、黒崎の声がクリアに聞こえる。
今夜は乾杯程度しか飲んでいないというが、ほろ酔いのような気がする。滅多に酔わないのに。
「お酒に酔ったの?珍しく」
「確かめてみるか?酒くさいかどうかで……。じっとしていろ」
「キスじゃ分からない……、いきなり……っ、どこへ連れて行くんだよ」
たしかにお酒の味がする。エロさを込めたキスをされて、体の力が抜けた。そして、白い石で出来たベンチへ座らされた。背後が真っ暗で見えないのは、木々があるからだ。
大きな木の輪郭が見えた。人影のようなものが動いている。こんなに暗い場所なのに。ベンチでもない場所で、何をしているのだろう?黒崎は、向こうにある噴水を眺めているだけだ。
「黒崎さん。誰かがいるよ。何だろうね?」
「何だろうな。その前に警戒して離れておけ」
「あんたがいるから、大丈夫だもん。そうやって暮らして来たよね?育てられた感じもあるけど」
「両方否定しない。そのままでいろ。俺には分からないが、何が見えるんだ?」
「ええ?動いているじゃん……っ。わああー」
オバケだろうか?黒崎からは、何も見えないと言われた。本当にそうなのか?向こうへ行こうと手を引っ張ると、意地悪そうな笑い声を立てた。
「話し声が聞こえるんだけどっ」
「聞き耳を立てるな。だから、遅い時間に連れて来なかった。今日は積極的だな?」
「怖いからだよっ。明るい場所へ行こうよ。わあー、何か聞こえるよ。動いた!黒崎さん……」
「一人で逃げても構わないぞ?……邪魔になるから移動しよう」
ぐいっと、顎を持ち上げられた。さっきの木々へ視線を向けると、オバケではないことが分かった。カップルがいた。どうしてこんな場所でイチャついているのか、開いた口が塞がらない。しかも、向こうの木の影も同じだと分かった。
「俺たちも、同じことをしているぞ?」
「うちの庭だもん。誰も来ないよ。ここは……。行こうよ、ヒャーー」
「分かった。そのままのお前でいろ。噴水に行くぞ」
早く教えてくれ。それを口にする余裕がなかった。逃げるようにして、黒崎の腕を引っ張った。笑っているのが信じられなかった。
会場ホテルの隣にある公園へ遊びに来た。黒崎と2人だ。とにかく広い敷地内には、噴水や池、広い花壇、イチョウ並木、桜の木もある。
ここへ来るのは初めてだ。今度寄ろうねと、食事の帰りの度に話していた。その頃には時間が遅くて、早く帰って寝ろと言われるからだ。朝起きるのが早いから、俺に睡眠時間を取らせたいのが理由だ。
「本当にそれだけ?他の場所は寄っているのに。アイビー書店とか。ここまで遅くないけど」
「夏場は虫に刺される。それ以外は冷える。昼間の方が楽しめるだろう。来月、また連れて来てやる」
「ふうん。三日月が綺麗だよ。ここから見えるんだね。そっか。灯りに遮られていないからか。本当に都内の中で暮らしているんだねえ。実家よりも郊外に思えるよ」
「……連れて来てよかった」
この公園か黒崎家のことか、あるいは両方か。先に歩き出したから照れ隠しだ。なかなか追いつかないから小走りに追いかけて、後ろから飛びつくようにして、両腕を回した。ビクともしないのが分かっているから、安心している。
さっき控え室で着替えたから動きやすい。黒崎も上着を脱いで楽にすればいい。黙って剝ぎ取るようにすると、不意打ちで抱き寄せられて、動きを封じられた。この反射神経の良さには、開いた口が塞がらない。
「何だよ~。コンプレックスを刺激するなひょ。んんひょい、つねるひゃひょっ」
「いまさらだ。もう帰るのか?」
素っ気ない言い方をしたくせに、密着した身体を離そうとしない。公園内の外灯が周囲をぼんやりと照らし、黒崎の声がクリアに聞こえる。
今夜は乾杯程度しか飲んでいないというが、ほろ酔いのような気がする。滅多に酔わないのに。
「お酒に酔ったの?珍しく」
「確かめてみるか?酒くさいかどうかで……。じっとしていろ」
「キスじゃ分からない……、いきなり……っ、どこへ連れて行くんだよ」
たしかにお酒の味がする。エロさを込めたキスをされて、体の力が抜けた。そして、白い石で出来たベンチへ座らされた。背後が真っ暗で見えないのは、木々があるからだ。
大きな木の輪郭が見えた。人影のようなものが動いている。こんなに暗い場所なのに。ベンチでもない場所で、何をしているのだろう?黒崎は、向こうにある噴水を眺めているだけだ。
「黒崎さん。誰かがいるよ。何だろうね?」
「何だろうな。その前に警戒して離れておけ」
「あんたがいるから、大丈夫だもん。そうやって暮らして来たよね?育てられた感じもあるけど」
「両方否定しない。そのままでいろ。俺には分からないが、何が見えるんだ?」
「ええ?動いているじゃん……っ。わああー」
オバケだろうか?黒崎からは、何も見えないと言われた。本当にそうなのか?向こうへ行こうと手を引っ張ると、意地悪そうな笑い声を立てた。
「話し声が聞こえるんだけどっ」
「聞き耳を立てるな。だから、遅い時間に連れて来なかった。今日は積極的だな?」
「怖いからだよっ。明るい場所へ行こうよ。わあー、何か聞こえるよ。動いた!黒崎さん……」
「一人で逃げても構わないぞ?……邪魔になるから移動しよう」
ぐいっと、顎を持ち上げられた。さっきの木々へ視線を向けると、オバケではないことが分かった。カップルがいた。どうしてこんな場所でイチャついているのか、開いた口が塞がらない。しかも、向こうの木の影も同じだと分かった。
「俺たちも、同じことをしているぞ?」
「うちの庭だもん。誰も来ないよ。ここは……。行こうよ、ヒャーー」
「分かった。そのままのお前でいろ。噴水に行くぞ」
早く教えてくれ。それを口にする余裕がなかった。逃げるようにして、黒崎の腕を引っ張った。笑っているのが信じられなかった。
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