249 / 514
19-22
しおりを挟む
多少は変わったはずだと笑いながら、強引に抱き寄せられた。全く成長しないのが問題だろうと言いながら。嬉しいことも聞かせてもらえた。家に帰るとリラックスして、気力と体力が充電できるから、穏やかにもなるのだということだ。そういうことを恥ずかしがらずに言えるようになったのが、寂しいと思うのは変だろうか?
「こういう事は恥ずかしがらない。環境が変わる分、気をつけている」
「あのさ。派閥はツラいだろ?日下さんに俺のことを頼んだとき、派閥に動きがあった?何か嫌なことはあった?」
「……日下さんのことは信頼していた。今もだ。裕理を可愛がって、楽団仲間を紹介したり、ライブへ出向いたりしていた。情報理工学科の繋がりが強い。大学つながりも黒崎製菓グループのしがらみも、心強くもある」
「よかった~」
「……日下さんにはお前のことを快く引き受けてもらった。葉月君本人に会って頼んだから分かる」
「日下は何も話していなかったよ。思いやりだよね」
「この件では嫌な思いをさせない。束縛が強くなるのは堪えてくれ」
「黒崎さん……。きゅんとしたんだけど?」
黒崎がきまりが悪そうに目を逸らした。俺の方も気恥ずかしさがこみ上げて、足先を軽く蹴った。普段なら仕返すのに、左手を黒崎の膝の上に置かれた。
重ね合っているだけなのに、胸がドキドキして落ち着かない。何か話しかけたい空気なのに、水しぶきの音だけを聞いた。
「……桜木君と話はできたか?」
「……少しだけ。終わった後で話したかったけど、涙ぐんでいたからやめた。……目を開けて見れば、夢じゃなくなるんだよね?誰から教えてもらったのかは、内緒だってさ。あのね……。バンドに入ってもらいたいんだ。でも、腱鞘炎がひどくなるなら勧められない。今夜は本人のお試しだったから……。悠人の気持ちが分かったよ……」
TDDの船に乗り込むメンバーが決まった。もしかすると、もう一度、諦める可能性があることも飲み込んでおく。
「えらく沈んでいるじゃないか?」
「今日は楽しかったよ~」
「こら。顔を見せろ。俺が知らないことを作るな」
頭をぽんぽんと叩いて、困ったような顔をして目線を合わされた。完全に子供扱いだ。それが心地いいと思うのは、黒崎からの束縛が減ったからだと思う。今になって気がついた。
一人では何も出来ないとか、買い物にも行けない奴になっていない。冗談の域を超えた、聞いた人がビックリする程度のものだ。心配するレベルではない。以前は笑えないぐらいだった。
いつから変化したのか気になって来た。次々と聞きたいことが出てきて、何から話そうか戸惑った。
「口をパクパク開けてどうした?山のようにあるのか?」
「いっぱいあるよ。束縛しなくなったね?バンドと新体制の影響かな?今日もサラッとしているんだ」
「沼地みたいだったのか?」
「違うよ~。やきもち全開で怖い時があったよ。相手の顔を覚えて、アブナイ空気があったんだ。バレンタインデーの日が境になった気がする。別々に会場へ戻ったよね?3メートルしか離れていないのに、すごく頑張ったんだ」
ベッドにいる時以外では、朝起きて、出勤するまでの2時間しか、お互いのことが視界に入らない日がある。
「こういう事は恥ずかしがらない。環境が変わる分、気をつけている」
「あのさ。派閥はツラいだろ?日下さんに俺のことを頼んだとき、派閥に動きがあった?何か嫌なことはあった?」
「……日下さんのことは信頼していた。今もだ。裕理を可愛がって、楽団仲間を紹介したり、ライブへ出向いたりしていた。情報理工学科の繋がりが強い。大学つながりも黒崎製菓グループのしがらみも、心強くもある」
「よかった~」
「……日下さんにはお前のことを快く引き受けてもらった。葉月君本人に会って頼んだから分かる」
「日下は何も話していなかったよ。思いやりだよね」
「この件では嫌な思いをさせない。束縛が強くなるのは堪えてくれ」
「黒崎さん……。きゅんとしたんだけど?」
黒崎がきまりが悪そうに目を逸らした。俺の方も気恥ずかしさがこみ上げて、足先を軽く蹴った。普段なら仕返すのに、左手を黒崎の膝の上に置かれた。
重ね合っているだけなのに、胸がドキドキして落ち着かない。何か話しかけたい空気なのに、水しぶきの音だけを聞いた。
「……桜木君と話はできたか?」
「……少しだけ。終わった後で話したかったけど、涙ぐんでいたからやめた。……目を開けて見れば、夢じゃなくなるんだよね?誰から教えてもらったのかは、内緒だってさ。あのね……。バンドに入ってもらいたいんだ。でも、腱鞘炎がひどくなるなら勧められない。今夜は本人のお試しだったから……。悠人の気持ちが分かったよ……」
TDDの船に乗り込むメンバーが決まった。もしかすると、もう一度、諦める可能性があることも飲み込んでおく。
「えらく沈んでいるじゃないか?」
「今日は楽しかったよ~」
「こら。顔を見せろ。俺が知らないことを作るな」
頭をぽんぽんと叩いて、困ったような顔をして目線を合わされた。完全に子供扱いだ。それが心地いいと思うのは、黒崎からの束縛が減ったからだと思う。今になって気がついた。
一人では何も出来ないとか、買い物にも行けない奴になっていない。冗談の域を超えた、聞いた人がビックリする程度のものだ。心配するレベルではない。以前は笑えないぐらいだった。
いつから変化したのか気になって来た。次々と聞きたいことが出てきて、何から話そうか戸惑った。
「口をパクパク開けてどうした?山のようにあるのか?」
「いっぱいあるよ。束縛しなくなったね?バンドと新体制の影響かな?今日もサラッとしているんだ」
「沼地みたいだったのか?」
「違うよ~。やきもち全開で怖い時があったよ。相手の顔を覚えて、アブナイ空気があったんだ。バレンタインデーの日が境になった気がする。別々に会場へ戻ったよね?3メートルしか離れていないのに、すごく頑張ったんだ」
ベッドにいる時以外では、朝起きて、出勤するまでの2時間しか、お互いのことが視界に入らない日がある。
0
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
イケメン俳優は万年モブ役者の鬼門です
はねビト
BL
演技力には自信があるけれど、地味な役者の羽月眞也は、2年前に共演して以来、大人気イケメン俳優になった東城湊斗に懐かれていた。
自分にはない『華』のある東城に対するコンプレックスを抱えるものの、どうにも東城からのお願いには弱くて……。
ワンコ系年下イケメン俳優×地味顔モブ俳優の芸能人BL。
外伝完結、続編連載中です。
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
サラリーマン二人、酔いどれ同伴
風
BL
久しぶりの飲み会!
楽しむ佐万里(さまり)は後輩の迅蛇(じんだ)と翌朝ベッドの上で出会う。
「……え、やった?」
「やりましたね」
「あれ、俺は受け?攻め?」
「受けでしたね」
絶望する佐万里!
しかし今週末も仕事終わりには飲み会だ!
こうして佐万里は同じ過ちを繰り返すのだった……。
【完結】お義父さんが、だいすきです
* ゆるゆ
BL
闇の髪に闇の瞳で、悪魔の子と生まれてすぐ捨てられた僕を拾ってくれたのは、月の精霊でした。
種族が違っても、僕は、おとうさんが、だいすきです。
ぜったいハッピーエンド保証な本編、おまけのお話、完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
トェルとリィフェルの動画つくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのWebサイトから、どちらにも飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる