260 / 514
20-10
しおりを挟む
ソファーが軋む音がした。優しいキスを受け取りながら目を閉じていると、荒くなった息づかいを感じて目を開いた。熱っぽい目と同じく、黒崎の身体が汗ばんできた。
肩口に頬を寄せると、背中に回された腕に力が入り、身体を引き上げられた。そして、膝の上に座り、肩へ両手を置いてもたれ掛かった。顔を上げて見つめる余裕がないからだ。
今の黒崎は肉食獣のような空気を纏っていて、視線を捕らえられる度に胸の鼓動が跳ねて、ちっとも落ち着かない。
「……怖いのか?」
「うん……。いつもと違うもん。食べられそうだよ。熱に浮かされて、いきなり……」
「いきなりしない。許可をもらってからだ」
「どこがだよ。黒崎さん……」
黒崎の身体がソファーの背に深く沈んだ。そのまま抱き寄せられて、腕の中に包み込まれた。耳元で呼ばれた名前の声が優しい。けっして荒っぽいことがされていないが、やっとホッとできた。
「夏樹。こっちを向いてくれ」
「うん……」
懇願するかのように囁かれた後、甘い痺れが背中に伝わった。やっぱり襲い掛かって来そうだった。わざと空気を醸し出しているのが分かるのは、肩を揺らして笑い出したからだ。こっちはそんな余裕が無いのに。
「優しくしているだろう?そう怖がるな」
「怖いってば。今日はどうしたの?」
「さらけ出せたからだ。嫌な時代の自分のことを。これでも怖ったぞ、お前の反応が。当時はもっとだ」
「そんなに怖がるなよ。雑誌の記事を読んだとき、嬉しいことが書いていたんだ。お弁当の話。どれだけレストランを作りたかったのか知ったよ。嫌うなんて、思うわけないじゃん……」
「お前から怖がられることも、嫌われることも怖かった。今回のことだけじゃない。他にも言えないことをやってきたし、今も同じだ」
「怖がるのをやめられたなら良かった。早瀬さんに話を聞こうとしたのは、初めてじゃないんだ。こういう理由でよかった。……じゃれついて話したのって、俺の為だろ?しんみりした空気の中だと、大泣きしそうだから。やっぱり怖がっているじゃん。うへへ。ん……。あ、待って……」
「待たない。怖がらせないから許して貰えないか?」
大人扱いしたいと言われた。半分冗談だと思う。普段よりも強い力で、足首を握られた。くるぶしに温かい感触が起きた後、身じろげないことが分かった。
「黒崎さん。もう……」
「綺麗だ……」
視線だけを向けると、意地悪そうに笑って歯を立てられた。何度も繰りされて声が漏れると、足首を掴んだままで、内ももへ吸いつかれた。片方も同じく掴まれて動けなくなり、身を任せるしかなくなった。
「両手で邪魔をしてみるか?」
「すぐに押さえ込むだろ……。やってみろって?」
さらに息がかかって足が震えた。あやすように太ももにキスをしながら視線を向けられたから、とっさに顔をそむけた。恥ずかしくて真っ赤になっているからだ。しかし、すでにバレているから、何度も触れては刺激された。
肩口に頬を寄せると、背中に回された腕に力が入り、身体を引き上げられた。そして、膝の上に座り、肩へ両手を置いてもたれ掛かった。顔を上げて見つめる余裕がないからだ。
今の黒崎は肉食獣のような空気を纏っていて、視線を捕らえられる度に胸の鼓動が跳ねて、ちっとも落ち着かない。
「……怖いのか?」
「うん……。いつもと違うもん。食べられそうだよ。熱に浮かされて、いきなり……」
「いきなりしない。許可をもらってからだ」
「どこがだよ。黒崎さん……」
黒崎の身体がソファーの背に深く沈んだ。そのまま抱き寄せられて、腕の中に包み込まれた。耳元で呼ばれた名前の声が優しい。けっして荒っぽいことがされていないが、やっとホッとできた。
「夏樹。こっちを向いてくれ」
「うん……」
懇願するかのように囁かれた後、甘い痺れが背中に伝わった。やっぱり襲い掛かって来そうだった。わざと空気を醸し出しているのが分かるのは、肩を揺らして笑い出したからだ。こっちはそんな余裕が無いのに。
「優しくしているだろう?そう怖がるな」
「怖いってば。今日はどうしたの?」
「さらけ出せたからだ。嫌な時代の自分のことを。これでも怖ったぞ、お前の反応が。当時はもっとだ」
「そんなに怖がるなよ。雑誌の記事を読んだとき、嬉しいことが書いていたんだ。お弁当の話。どれだけレストランを作りたかったのか知ったよ。嫌うなんて、思うわけないじゃん……」
「お前から怖がられることも、嫌われることも怖かった。今回のことだけじゃない。他にも言えないことをやってきたし、今も同じだ」
「怖がるのをやめられたなら良かった。早瀬さんに話を聞こうとしたのは、初めてじゃないんだ。こういう理由でよかった。……じゃれついて話したのって、俺の為だろ?しんみりした空気の中だと、大泣きしそうだから。やっぱり怖がっているじゃん。うへへ。ん……。あ、待って……」
「待たない。怖がらせないから許して貰えないか?」
大人扱いしたいと言われた。半分冗談だと思う。普段よりも強い力で、足首を握られた。くるぶしに温かい感触が起きた後、身じろげないことが分かった。
「黒崎さん。もう……」
「綺麗だ……」
視線だけを向けると、意地悪そうに笑って歯を立てられた。何度も繰りされて声が漏れると、足首を掴んだままで、内ももへ吸いつかれた。片方も同じく掴まれて動けなくなり、身を任せるしかなくなった。
「両手で邪魔をしてみるか?」
「すぐに押さえ込むだろ……。やってみろって?」
さらに息がかかって足が震えた。あやすように太ももにキスをしながら視線を向けられたから、とっさに顔をそむけた。恥ずかしくて真っ赤になっているからだ。しかし、すでにバレているから、何度も触れては刺激された。
0
あなたにおすすめの小説
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
サラリーマン二人、酔いどれ同伴
風
BL
久しぶりの飲み会!
楽しむ佐万里(さまり)は後輩の迅蛇(じんだ)と翌朝ベッドの上で出会う。
「……え、やった?」
「やりましたね」
「あれ、俺は受け?攻め?」
「受けでしたね」
絶望する佐万里!
しかし今週末も仕事終わりには飲み会だ!
こうして佐万里は同じ過ちを繰り返すのだった……。
【完結】お義父さんが、だいすきです
* ゆるゆ
BL
闇の髪に闇の瞳で、悪魔の子と生まれてすぐ捨てられた僕を拾ってくれたのは、月の精霊でした。
種族が違っても、僕は、おとうさんが、だいすきです。
ぜったいハッピーエンド保証な本編、おまけのお話、完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
トェルとリィフェルの動画つくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのWebサイトから、どちらにも飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
没落令息はクラスメイトの執着に救われる
夕月ねむ
BL
突然父親の爵位がはく奪され、帰る屋敷も家名も失ったローレンス。貴族が集まる学院の寮からも放り出されるところだった彼を、クラスメイトのアルフレッドが引き留める。
「侯爵家の私であれば、従者をひとり授業に同席させることができる」と言って。
アルフレッドの従者となったローレンス。けれどその二年後、彼らの関係は再び大きく変わることとなった。
※FANBOXからの転載です。
※他サイトにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる