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20-18
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やっと落ち着いた会話になった。いや、黒崎の方は最初から波がなくて静かだった。頬をつまんだり、髪の毛をすくように撫でたりしている手のリズムは一定だ。俺のことを見つめている姿も。
これから組み立てて行こうねと話した後、軽くため息をついていた。お義父さんとは時間の価値観が違うから、なるべく早く進めたいと言った。
「縁起が悪いのか?これで海外へ放り出せなくなった。お前はどうだ?」
「もちろん参加するよ。当たり前だよ~。黒崎家の一員としてね。絵本作家見習いの、黒崎双樹もね。TDDのナツキ。ソロ活動の黒崎夏樹。……あ、そうだ。うちの家には、お揃いの物があるね。気づいたんだけど」
「どんなものだ?」
「下の名前のことだよ。圭一は、土が重なっている。夏樹、二葉。樹と葉っぱ。あんたに支えられているよ。拓海、晴海。水が必要だもん。一貴さんだけ違うから拗ねるかも。……名字に川があるからOKだよ。うんうん。笑うなよ~」
真面目に出した話なのに、肩を揺すってまで笑われたくなかった。気が抜けたと言うから、タオルケットで叩いた手を止めた。こうして居られない。真っ先に連絡を取る相手がいる。生まれて来なかったらという言葉を出さないでほしい。それを頼める。
「黒崎さん。二葉に連絡をしてもいい?あんたからして欲しいけど、恥ずかしいだろ?普段からしないもんね」
「……今日の夜、約束をした。大事な話を伝えたいと言ってある」
「よかった。俺のことは、蚊帳の外にしないつもりだったよね?」
「当たり前だ。先にお前に話すと決めていた。……二葉には嫌われている」
「そんなことないよ?あんたのことが好きだよ。伊吹お兄ちゃんから余計なことを教わっているもん。いかに兄貴を利用するかっていう技術だよ。あんたの気持ちは伝わっているよ」
黒崎が伊吹にあることを頼んだ。二葉を弟子にしてくれということだ。本当に弟子にしろと頼んだことを知っている。うまく言えないし、導こうとすると強引な方法しか思いつかない。もう一人の弟のことは、島川社長に預けたと言ったそうだ。
一貴さんは抑圧されて育った人だ。常に人と比べられて、心が分かれてしまった。最近、朝陽の受け取り方が変化しそうだ。黒崎は見抜く力があり、一番いい方法を選んでいるわけだ。力が足りないとは言ってほしくない。
「黒崎さんっ」
「どうした?」
「最近のあんたは、自信が無さすぎないかな?家族のことでだよ?苦手分野なのは分かっているけど、もっと自信を持って欲しい。フォローしながら話してくれたし、朝陽君だって良い方へ進んだよね?あんたは何も言わないけど。……あ、そうだ。下の名前のことだけど。土、植物、水が揃ったけど、光がないと育たないよ。朝陽君がいるじゃん。本当はかなり明るい子だと思う」
「お前の前では自信が持てない。そういう面のみだ」
「本音が出たじゃん。褒めてあげようか?」
返事を待たずにタオルケットを被せた後、全身を包まるようにさせた。そして、抱きしめることで子ども扱いした。軽い力で抜け出せるのに大人しくしているのは、俺に甘えている証だ。けっこう良い気分になっていると、不意打ちで押し倒されてしまった。
「黒崎さん……。二回目は……」
「今日は控えておく。少し寝ておけ。疲れさせたようだ。顔色が悪い」
「平気だよ~。そうだ、ベッドで一緒に寝ようよ。夕方まで。何もしないでね?」
眠ったら夢になるのかな。そんなことを心配しているだろうか。そのまま口にすると、微笑み返して首を振られた。さらに安心できて力が抜けた。寝転がっているアンを抱き上げた後、タオルケットを持って寝室へ上がった。夕方まで昼寝をするために。
これから組み立てて行こうねと話した後、軽くため息をついていた。お義父さんとは時間の価値観が違うから、なるべく早く進めたいと言った。
「縁起が悪いのか?これで海外へ放り出せなくなった。お前はどうだ?」
「もちろん参加するよ。当たり前だよ~。黒崎家の一員としてね。絵本作家見習いの、黒崎双樹もね。TDDのナツキ。ソロ活動の黒崎夏樹。……あ、そうだ。うちの家には、お揃いの物があるね。気づいたんだけど」
「どんなものだ?」
「下の名前のことだよ。圭一は、土が重なっている。夏樹、二葉。樹と葉っぱ。あんたに支えられているよ。拓海、晴海。水が必要だもん。一貴さんだけ違うから拗ねるかも。……名字に川があるからOKだよ。うんうん。笑うなよ~」
真面目に出した話なのに、肩を揺すってまで笑われたくなかった。気が抜けたと言うから、タオルケットで叩いた手を止めた。こうして居られない。真っ先に連絡を取る相手がいる。生まれて来なかったらという言葉を出さないでほしい。それを頼める。
「黒崎さん。二葉に連絡をしてもいい?あんたからして欲しいけど、恥ずかしいだろ?普段からしないもんね」
「……今日の夜、約束をした。大事な話を伝えたいと言ってある」
「よかった。俺のことは、蚊帳の外にしないつもりだったよね?」
「当たり前だ。先にお前に話すと決めていた。……二葉には嫌われている」
「そんなことないよ?あんたのことが好きだよ。伊吹お兄ちゃんから余計なことを教わっているもん。いかに兄貴を利用するかっていう技術だよ。あんたの気持ちは伝わっているよ」
黒崎が伊吹にあることを頼んだ。二葉を弟子にしてくれということだ。本当に弟子にしろと頼んだことを知っている。うまく言えないし、導こうとすると強引な方法しか思いつかない。もう一人の弟のことは、島川社長に預けたと言ったそうだ。
一貴さんは抑圧されて育った人だ。常に人と比べられて、心が分かれてしまった。最近、朝陽の受け取り方が変化しそうだ。黒崎は見抜く力があり、一番いい方法を選んでいるわけだ。力が足りないとは言ってほしくない。
「黒崎さんっ」
「どうした?」
「最近のあんたは、自信が無さすぎないかな?家族のことでだよ?苦手分野なのは分かっているけど、もっと自信を持って欲しい。フォローしながら話してくれたし、朝陽君だって良い方へ進んだよね?あんたは何も言わないけど。……あ、そうだ。下の名前のことだけど。土、植物、水が揃ったけど、光がないと育たないよ。朝陽君がいるじゃん。本当はかなり明るい子だと思う」
「お前の前では自信が持てない。そういう面のみだ」
「本音が出たじゃん。褒めてあげようか?」
返事を待たずにタオルケットを被せた後、全身を包まるようにさせた。そして、抱きしめることで子ども扱いした。軽い力で抜け出せるのに大人しくしているのは、俺に甘えている証だ。けっこう良い気分になっていると、不意打ちで押し倒されてしまった。
「黒崎さん……。二回目は……」
「今日は控えておく。少し寝ておけ。疲れさせたようだ。顔色が悪い」
「平気だよ~。そうだ、ベッドで一緒に寝ようよ。夕方まで。何もしないでね?」
眠ったら夢になるのかな。そんなことを心配しているだろうか。そのまま口にすると、微笑み返して首を振られた。さらに安心できて力が抜けた。寝転がっているアンを抱き上げた後、タオルケットを持って寝室へ上がった。夕方まで昼寝をするために。
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