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21-1 多面体の日々
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6月7日、木曜日。22時半。
パソコンのキーボードを打つ手を止めた。窓から外を見ると、雨が降って来た。明後日の大学のイベントのことが気になった。研究発表会とお祭りを合わせたものだ。先月開かれた学祭よりも規模は小さいが、理学部と農学部が協力して、毎年イベントを開いている。俺は昼過ぎまでスタッフとして張り付き、発表グループのメンバーへ入る。
梅雨入りする頃に開くのには訳がある。定期試験、インターンシップ参加。卒論準備、研究発表会等が、7月以降に目白押しだからだ。それでも開くのは、好きなことを発表する場が欲しいからだ。遊び心と出店が並ぶイベントとは言えるが、本当に興味のある人しか来ない。
「高校生が遊びに来てくれるから、気をつけないと。変な人が居るし。混ざっているからね……」
うちの大学の近くには観光スポットがある。観光客の学食やカフェの利用は自由だ。血気盛んな男子学生が大勢いるから、変な奴が入り込んだところで危ない目には遭わない。ただし、人が少ない場所へ行かなければの話だ。
何か起きるといけないから、色々と対策を立てているわけだ。見回りスタッフを用意している。俺は当日は屋内を担当するが、屋外のことも頭に入れておく。危ない奴が、高校生を外に連れ出すパターンがあるためだ。
「高校生の時、危ないことをやってたなあ。大丈夫なんて言うけど、そんなことはなかったよーー」
自分のことを振り返りながら、高校時代の事を思い出した。修学旅行として、学校からは毎年恒例のイベントを用意された。
ライブツアー、動物園の飼育員体験、マンホールを数える街歩きツアー。植物採取ツアーだ。先生の引率があるとはいえ、自由行動が好きな生徒達は危なっかしい行動を取っていた。些細なものではあった。
「問題児の経験が役に立つなんて。去年は居たなんて……」
去年のことだ。大学内で、高校生の男の子が、20代の男に絡まれる出来事が起きた。男の歩きスマホで肩同士が当たり、お互いに謝った後のことだ。その高校生をカフェへ誘い、無理やり連絡先を交換しようとした。
その時、真羽と矢代が隣のテーブルにいて、その子に声をかけて連れ出した。思い切り不自然な光景であり、何か起こすのは分かり切っている。女の子が相手なら周りの目が光っても、男はスルーされがちだ。これも経験による。今回のイベントでも起きないとは限らない。
そこで、良いことを思いついた。当日は黒崎が見に来てくれるから、発表の時間まで散歩をしてもらいたい。早瀬さんと聡太郎が来るし、久弥も来てくれるそうだ。
「そうだ、黒崎さんが歩けばいい。危険人物を見つけるのが得意だし。人の顔を覚えるし。うんうん……」
イベント会場マップを閉じて、よいしょっと立ち上がった。そろそろ書斎から黒崎が出てくる頃だから、一緒にお茶を飲みたい。先週からバタついていたが、やっと一息ついたそうだ。
パソコンのキーボードを打つ手を止めた。窓から外を見ると、雨が降って来た。明後日の大学のイベントのことが気になった。研究発表会とお祭りを合わせたものだ。先月開かれた学祭よりも規模は小さいが、理学部と農学部が協力して、毎年イベントを開いている。俺は昼過ぎまでスタッフとして張り付き、発表グループのメンバーへ入る。
梅雨入りする頃に開くのには訳がある。定期試験、インターンシップ参加。卒論準備、研究発表会等が、7月以降に目白押しだからだ。それでも開くのは、好きなことを発表する場が欲しいからだ。遊び心と出店が並ぶイベントとは言えるが、本当に興味のある人しか来ない。
「高校生が遊びに来てくれるから、気をつけないと。変な人が居るし。混ざっているからね……」
うちの大学の近くには観光スポットがある。観光客の学食やカフェの利用は自由だ。血気盛んな男子学生が大勢いるから、変な奴が入り込んだところで危ない目には遭わない。ただし、人が少ない場所へ行かなければの話だ。
何か起きるといけないから、色々と対策を立てているわけだ。見回りスタッフを用意している。俺は当日は屋内を担当するが、屋外のことも頭に入れておく。危ない奴が、高校生を外に連れ出すパターンがあるためだ。
「高校生の時、危ないことをやってたなあ。大丈夫なんて言うけど、そんなことはなかったよーー」
自分のことを振り返りながら、高校時代の事を思い出した。修学旅行として、学校からは毎年恒例のイベントを用意された。
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「問題児の経験が役に立つなんて。去年は居たなんて……」
去年のことだ。大学内で、高校生の男の子が、20代の男に絡まれる出来事が起きた。男の歩きスマホで肩同士が当たり、お互いに謝った後のことだ。その高校生をカフェへ誘い、無理やり連絡先を交換しようとした。
その時、真羽と矢代が隣のテーブルにいて、その子に声をかけて連れ出した。思い切り不自然な光景であり、何か起こすのは分かり切っている。女の子が相手なら周りの目が光っても、男はスルーされがちだ。これも経験による。今回のイベントでも起きないとは限らない。
そこで、良いことを思いついた。当日は黒崎が見に来てくれるから、発表の時間まで散歩をしてもらいたい。早瀬さんと聡太郎が来るし、久弥も来てくれるそうだ。
「そうだ、黒崎さんが歩けばいい。危険人物を見つけるのが得意だし。人の顔を覚えるし。うんうん……」
イベント会場マップを閉じて、よいしょっと立ち上がった。そろそろ書斎から黒崎が出てくる頃だから、一緒にお茶を飲みたい。先週からバタついていたが、やっと一息ついたそうだ。
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