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向こうへ行こうと声を掛けた時、黒崎が遠くの方を見て笑った。その辺りには神仙教授のコーナーがあり、藤沢がソファーに座っている後ろ姿が見えた。教授の横には久弥が座っていて、笑っている様子だ。ぼんやりしか見えないが、教授も笑っている。
「そっか。久弥は物理学科出身だから、教授と付き合いが深いよ。久弥は大人しい学生だったって聞いたよ。教授から。悠人も聞いたよね?……どうしたの?」
「やっぱり先に様子を見て来る。ゆっくり来てよ。カズさんがね、気になるよー」
悠人が足早に向かった。教授たちの後ろにいる、一貴さんの姿に気がついた。学生っぽい男の子達と話している。ショップの関係だろうか?最近は店頭へ出向いている。
「なんか距離が近いな。また誤解をさせそう」
「ああ……」
黒崎が軽いため息をついた。人の恋愛の話題に出さないのに、困った兄貴だとぼやいていた。それだけ、一貴さんが藤沢のことを真面目に考えているということだ。楽しいから付き合うだけじゃなくて、パートナーとして選んでいる。
だんだん近くなるにつれ、藤沢の表情が浮かなくなっているのが見えた。一貴さんの方を振り返ってだ。ああいう顔をするなら、けっこう好きだということかな?全く考えられないなら、一緒にイベントには来ない。
悠人が藤沢達の元へ行き、話し始めた。一貴さんは、そのまま続けている。藤沢の方を全く見ていないし、気にする素振りも無い。
「ああやって、普段から見ているのか……。あんたと一貴お兄ちゃんが話していた時、聞いたんだ。本気かどうか、分からないって。俺ならそう思う」
「俺はああいう行動はできない。発想もない。お前にやったことがないだろう?」
「うん。俺しか見ていないね。昔のデート相手に会った時、冗談を言うのは嫌だったよ。でも、ツンケンするのは、大人らしくないからね。ちゃんとしておけばいい」
「……何かあったのか?」
「な、何もないよ。誘いをかわしたって意味だよね?その後で音楽の仕事で一緒になっても、変な感じにならないようにしようねって。そういうことだろ?」
「教えていないぞ。その発想の切り替えのことだ」
「周りのケースを見て、覚えたんだ。デート相手と話している時、どうしたらいいのか考えたくて……」
「俺に話せ。黙っているな。悩むな」
「機嫌を取られておしまいじゃなくて、最初から聞き流せるようにしたい。もやもやするのは疲れるもん。滅多にないけど。いいんだってば」
「……夏樹。それをやめてくれ。黙るな」
軽く顎を取って、見上げさせられた。眉を寄せられる覚えはない。たとえ話だったのに。
ふわふわ浮かんだ風船の下、真面目に見つめ合った。喧嘩をしたくない。今日はどっちが根負けするのか。じっと見ていると、黒崎の表情が和らいだ。ごめんという意味合いだ。
「いいよ。許してあげる。風船を浮かべて歩けばね~。分かったよ。言わないよ。一貴お兄ちゃんに声をかけようね。……もう怒っていないよ。やきもちを妬くのは、今に始まった事じゃないし」
今度は俺の方から手を引いた。そして、すでに神仙教授コーナーへ着いていたことを知った。皆が見ている前で喧嘩をして仲直りして、イチャついていたのか。
きまりが悪いどころではなくて、ウサギー風船で顔を隠した。恥ずかしすぎる。黒崎の方は動揺した様子がなく、神仙教授へ挨拶していた。落ち着いている。さっきの言い合いの時とは反対だ。
「そっか。久弥は物理学科出身だから、教授と付き合いが深いよ。久弥は大人しい学生だったって聞いたよ。教授から。悠人も聞いたよね?……どうしたの?」
「やっぱり先に様子を見て来る。ゆっくり来てよ。カズさんがね、気になるよー」
悠人が足早に向かった。教授たちの後ろにいる、一貴さんの姿に気がついた。学生っぽい男の子達と話している。ショップの関係だろうか?最近は店頭へ出向いている。
「なんか距離が近いな。また誤解をさせそう」
「ああ……」
黒崎が軽いため息をついた。人の恋愛の話題に出さないのに、困った兄貴だとぼやいていた。それだけ、一貴さんが藤沢のことを真面目に考えているということだ。楽しいから付き合うだけじゃなくて、パートナーとして選んでいる。
だんだん近くなるにつれ、藤沢の表情が浮かなくなっているのが見えた。一貴さんの方を振り返ってだ。ああいう顔をするなら、けっこう好きだということかな?全く考えられないなら、一緒にイベントには来ない。
悠人が藤沢達の元へ行き、話し始めた。一貴さんは、そのまま続けている。藤沢の方を全く見ていないし、気にする素振りも無い。
「ああやって、普段から見ているのか……。あんたと一貴お兄ちゃんが話していた時、聞いたんだ。本気かどうか、分からないって。俺ならそう思う」
「俺はああいう行動はできない。発想もない。お前にやったことがないだろう?」
「うん。俺しか見ていないね。昔のデート相手に会った時、冗談を言うのは嫌だったよ。でも、ツンケンするのは、大人らしくないからね。ちゃんとしておけばいい」
「……何かあったのか?」
「な、何もないよ。誘いをかわしたって意味だよね?その後で音楽の仕事で一緒になっても、変な感じにならないようにしようねって。そういうことだろ?」
「教えていないぞ。その発想の切り替えのことだ」
「周りのケースを見て、覚えたんだ。デート相手と話している時、どうしたらいいのか考えたくて……」
「俺に話せ。黙っているな。悩むな」
「機嫌を取られておしまいじゃなくて、最初から聞き流せるようにしたい。もやもやするのは疲れるもん。滅多にないけど。いいんだってば」
「……夏樹。それをやめてくれ。黙るな」
軽く顎を取って、見上げさせられた。眉を寄せられる覚えはない。たとえ話だったのに。
ふわふわ浮かんだ風船の下、真面目に見つめ合った。喧嘩をしたくない。今日はどっちが根負けするのか。じっと見ていると、黒崎の表情が和らいだ。ごめんという意味合いだ。
「いいよ。許してあげる。風船を浮かべて歩けばね~。分かったよ。言わないよ。一貴お兄ちゃんに声をかけようね。……もう怒っていないよ。やきもちを妬くのは、今に始まった事じゃないし」
今度は俺の方から手を引いた。そして、すでに神仙教授コーナーへ着いていたことを知った。皆が見ている前で喧嘩をして仲直りして、イチャついていたのか。
きまりが悪いどころではなくて、ウサギー風船で顔を隠した。恥ずかしすぎる。黒崎の方は動揺した様子がなく、神仙教授へ挨拶していた。落ち着いている。さっきの言い合いの時とは反対だ。
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