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恥ずかしいのを我慢した。風船を顔から離して浮かべ直した。黒崎の方が苦笑しながら、お恥ずかしいところを見せましたと言ったから、神仙教授が笑った。
すると、教授の印象が変わったから、恥ずかしさが半減した。いつも寝起き顔が、すっきりした姿に変わったからだった。俺からすると初めて見た。就職支援のことで企業側と話しているから、大学内そのままの対応をするわけがない。
俺もソファーに座っていよう。藤沢の隣には悠人が座り、お互いの妹のことで話している。その一方で、一貴さん達から笑い声が立つと、藤沢が小さく息をついて眉を寄せていた。さっきは抱きつくようにして謝られて困っていたのに、今の状況になっている。
一貴さん達の方を見た。親しそうな子のTシャツには、MIDSHIPのロゴが見えた。ショップでバイトをしている子かも知れない。たまにショップへ様子を見に行っていると、一貴さんが話していた。そこへ、黒崎の方から一貴さんへ声をかけられた。
「……すまない。夏樹を見ていてくれないか?」
「……ああ、分かった」
「……いや、そのままで構わない。……当グループがお世話になっています。今月のガイダンスの件では……」
「……こちらこそ。口下手の学生を希望いただき、さっそく志願者が出ました」
黒崎が一貴さんに俺のことを頼んだ後、神仙教授と話し始めた。そこへ、久弥から手招きされて呼ばれた。さっそく久弥の隣へ座ると、藤沢が風船を手に取って笑い出した。
「違和感がないよ。似合うね」
「自分でもそう思う……。久弥、サングラスは?」
「今日は置いてきた。最近のお気に入りは、このストールだ」
俺の方は、久弥を見て吹き出した。涼しそうな薄手のストールを取り出し、彼が頭から被った。ますます目立っている。
「……お嫁さんになるの?白くないけど」
「それもいいなー。……マジで教授が変わったから驚いた。伊吹さんのおかげだぞ。どんな話か知っていたか?」
「教授が変わったことだけを聞いたよ。そんなに変な人かな?気難しいだけだよ。伊吹お兄ちゃんがおちょくったから、壁が無くなったんじゃない?」
「それに近いものがある。……教授が二股をかけていて、その弱みを握ったのが真相だ。……これがまた縁がある。黒崎製菓グループと、この大学の関係者だ。独身だからなー。そう困る話じゃないと思うけど。……レポート課題の評価を優しめにしてくれ。それだけ頼んだそうだ。今も引き継がれているから助かったな」
「わあー、こんなに人が居るのに言うなよ。騒がしいから聞こえないだろうけど」
「黒崎さんが話題に出しているじゃないか。ぎゃははは」
「……え?」
「……なに?」
悠人がビックリ顔で振り向き、俺も正面に向き直って2人を見た。黒崎の声が通りがいいし、はきはきした話し方をするから、ちゃんと聞こえる。黒崎にとっては差し支えない。教授の方は困った顔をしている。
「先方から、快いお返事を頂きました。先生は顔の広い方だ」
「学生時代の付き合いですので……、多少の無理は言えます。ははは……」
「ファーマシー社の代表の肩の荷が下ります。当社の研究室へも、ぜひお越しください。当社の田所常務から、中島執行役が先生とは知り合いのはずだと……」
「ははは、一年ぶりに会いました。同窓会のようだった」
「日頃から同窓会でしょう?理学部は先生方が多い。何かとツテを持ち込まれるでしょう?お忙しいですね」
「ははは……」
この話の流れを掴めた。ファーマシー社の研究のことで教授に協力してもらたいことと、二股関係者の名前を出したことを。この話は、田所さんが詳しいことも。
下品なことは口にしていない。堂々としている分、単なる世間話の一部になっている。教授は苦笑いをしている。
すると、教授の印象が変わったから、恥ずかしさが半減した。いつも寝起き顔が、すっきりした姿に変わったからだった。俺からすると初めて見た。就職支援のことで企業側と話しているから、大学内そのままの対応をするわけがない。
俺もソファーに座っていよう。藤沢の隣には悠人が座り、お互いの妹のことで話している。その一方で、一貴さん達から笑い声が立つと、藤沢が小さく息をついて眉を寄せていた。さっきは抱きつくようにして謝られて困っていたのに、今の状況になっている。
一貴さん達の方を見た。親しそうな子のTシャツには、MIDSHIPのロゴが見えた。ショップでバイトをしている子かも知れない。たまにショップへ様子を見に行っていると、一貴さんが話していた。そこへ、黒崎の方から一貴さんへ声をかけられた。
「……すまない。夏樹を見ていてくれないか?」
「……ああ、分かった」
「……いや、そのままで構わない。……当グループがお世話になっています。今月のガイダンスの件では……」
「……こちらこそ。口下手の学生を希望いただき、さっそく志願者が出ました」
黒崎が一貴さんに俺のことを頼んだ後、神仙教授と話し始めた。そこへ、久弥から手招きされて呼ばれた。さっそく久弥の隣へ座ると、藤沢が風船を手に取って笑い出した。
「違和感がないよ。似合うね」
「自分でもそう思う……。久弥、サングラスは?」
「今日は置いてきた。最近のお気に入りは、このストールだ」
俺の方は、久弥を見て吹き出した。涼しそうな薄手のストールを取り出し、彼が頭から被った。ますます目立っている。
「……お嫁さんになるの?白くないけど」
「それもいいなー。……マジで教授が変わったから驚いた。伊吹さんのおかげだぞ。どんな話か知っていたか?」
「教授が変わったことだけを聞いたよ。そんなに変な人かな?気難しいだけだよ。伊吹お兄ちゃんがおちょくったから、壁が無くなったんじゃない?」
「それに近いものがある。……教授が二股をかけていて、その弱みを握ったのが真相だ。……これがまた縁がある。黒崎製菓グループと、この大学の関係者だ。独身だからなー。そう困る話じゃないと思うけど。……レポート課題の評価を優しめにしてくれ。それだけ頼んだそうだ。今も引き継がれているから助かったな」
「わあー、こんなに人が居るのに言うなよ。騒がしいから聞こえないだろうけど」
「黒崎さんが話題に出しているじゃないか。ぎゃははは」
「……え?」
「……なに?」
悠人がビックリ顔で振り向き、俺も正面に向き直って2人を見た。黒崎の声が通りがいいし、はきはきした話し方をするから、ちゃんと聞こえる。黒崎にとっては差し支えない。教授の方は困った顔をしている。
「先方から、快いお返事を頂きました。先生は顔の広い方だ」
「学生時代の付き合いですので……、多少の無理は言えます。ははは……」
「ファーマシー社の代表の肩の荷が下ります。当社の研究室へも、ぜひお越しください。当社の田所常務から、中島執行役が先生とは知り合いのはずだと……」
「ははは、一年ぶりに会いました。同窓会のようだった」
「日頃から同窓会でしょう?理学部は先生方が多い。何かとツテを持ち込まれるでしょう?お忙しいですね」
「ははは……」
この話の流れを掴めた。ファーマシー社の研究のことで教授に協力してもらたいことと、二股関係者の名前を出したことを。この話は、田所さんが詳しいことも。
下品なことは口にしていない。堂々としている分、単なる世間話の一部になっている。教授は苦笑いをしている。
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