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いつの間にか、自分にも当てはまっていた。夏樹には嫌な面ばかりを見せて来たが、その度に心を砕かれて、そっと手を差し伸べられた。
言いたいことを口にしているのは同じでも、許せないことは突っぱねてくること、ある程度は許されている。それが父にも当てはまり、一貴と二葉ともそうなりつつある。いや、そうなっているのか?晴海兄さんへ頼ることも覚えた。
「……夏樹君のおかげだな。そういう存在があるのが羨ましい。いや、奪い取らないぞ?そういう思いもしていない」
「……悠人君たちもいるじゃないか。恋愛の相手には多くを求めるな」
「……修輔君から、僕が向けているのは愛情なのか分からないと言われた。反省したよ」
「……話を変えよう。夏樹の迎えは予定通りか?」
「……もちろんだ。悠人君は長谷部さんの迎えがある。明日は2人を連れて帰る」
「……朝陽の方はどうだ?俺は自分の思い通りにならない苛立ちを認めたところだ」
朝陽のことを一貴の元へ預けたのが年末だった。2月に会った時は、年相応に近い話し方をしていた。さらに4ヶ月経つが、一度も会いに行っていない。月一度の電話のみにしておいた。息苦しくさせたくない。
俺の方こそ同じだろう。俺の言うことを聞く二葉が可愛い。思い通りにしない朝陽に苛立っている。それも認められた。
「……朝陽君が言うことを聞かない子か?二葉君の方が聞かん坊だ」
「……母にとってはその通りだ。言うことを聞く朝陽のことが可愛い。……価値観の違いがあるから仕方がない」
「……僕の方も、子供時代に、母から優しくされたことを嘘だとは思っていないよ。母の中の価値観で愛された。今だに困った息子だと思っているようだ。……傷つけたつもりはないだろう。その時々で記憶をすり替えているのは、勘弁してほしい。……すまない。愚痴だった」
「……“あなたは大きな誤解をしている”。そう言われたのか?」
「……そうだ。何が本当なのか分からない。それこそ価値観の違いだ。……朝陽君が会いたがっているぞ。先輩と話したいそうだ……笑わないのか?」
とっさに言葉が出て来なかった。この4カ月で何が起きたのかと思ったからだ。一貴の方は、当然だと言って笑っている。俺に対してのものだ。朝陽が俺に対して持っているイメージの、怖い兄貴という虚像を崩してやったと笑い出した。
「……何を話したんだ?」
「……君の結婚前の女性関係のことだ。オフレコじゃないだろう。何か聞きたいことは無いのかって聞いても、ないと答えられた。女の子のナンパの仕方を教えてやろうかと言うと、顔色が良くなった。ついでに君のことも話したわけだ」
「……まだ女の子からモテていたいのか」
「……女の子とは遊べていないだろう。朝陽君を、本社でバイトさせても構わないか?化ける子だぞ。負けず嫌いがいい方向へ行きそうだ。5年後に振り返って、懐かしいと思うぐらいになる。大学をどうするのかは、相談に乗ってやってくれ。……君が二葉君に甘いと思っているのは、意味が違う。あれほど精神的に追い詰められている子を、どうして厳しくできる?お母さんから、嫉妬されたそうじゃないか。二葉君は違うと言っていたが、俺が話を聞いたらそうだと思った。……朝陽君が反対の立場なら、俺の方へ預けなかったはずだ。……ちゃんと話を聞いている。自信を持ってくれ。ああ、そろそろ迎えに出る時間だ!」
礼を伝える間もなく通話が終わり、俺の方には秘書から声がかけられた。次の会合の時間だ。ネクタイを直して立ち上がった。
言いたいことを口にしているのは同じでも、許せないことは突っぱねてくること、ある程度は許されている。それが父にも当てはまり、一貴と二葉ともそうなりつつある。いや、そうなっているのか?晴海兄さんへ頼ることも覚えた。
「……夏樹君のおかげだな。そういう存在があるのが羨ましい。いや、奪い取らないぞ?そういう思いもしていない」
「……悠人君たちもいるじゃないか。恋愛の相手には多くを求めるな」
「……修輔君から、僕が向けているのは愛情なのか分からないと言われた。反省したよ」
「……話を変えよう。夏樹の迎えは予定通りか?」
「……もちろんだ。悠人君は長谷部さんの迎えがある。明日は2人を連れて帰る」
「……朝陽の方はどうだ?俺は自分の思い通りにならない苛立ちを認めたところだ」
朝陽のことを一貴の元へ預けたのが年末だった。2月に会った時は、年相応に近い話し方をしていた。さらに4ヶ月経つが、一度も会いに行っていない。月一度の電話のみにしておいた。息苦しくさせたくない。
俺の方こそ同じだろう。俺の言うことを聞く二葉が可愛い。思い通りにしない朝陽に苛立っている。それも認められた。
「……朝陽君が言うことを聞かない子か?二葉君の方が聞かん坊だ」
「……母にとってはその通りだ。言うことを聞く朝陽のことが可愛い。……価値観の違いがあるから仕方がない」
「……僕の方も、子供時代に、母から優しくされたことを嘘だとは思っていないよ。母の中の価値観で愛された。今だに困った息子だと思っているようだ。……傷つけたつもりはないだろう。その時々で記憶をすり替えているのは、勘弁してほしい。……すまない。愚痴だった」
「……“あなたは大きな誤解をしている”。そう言われたのか?」
「……そうだ。何が本当なのか分からない。それこそ価値観の違いだ。……朝陽君が会いたがっているぞ。先輩と話したいそうだ……笑わないのか?」
とっさに言葉が出て来なかった。この4カ月で何が起きたのかと思ったからだ。一貴の方は、当然だと言って笑っている。俺に対してのものだ。朝陽が俺に対して持っているイメージの、怖い兄貴という虚像を崩してやったと笑い出した。
「……何を話したんだ?」
「……君の結婚前の女性関係のことだ。オフレコじゃないだろう。何か聞きたいことは無いのかって聞いても、ないと答えられた。女の子のナンパの仕方を教えてやろうかと言うと、顔色が良くなった。ついでに君のことも話したわけだ」
「……まだ女の子からモテていたいのか」
「……女の子とは遊べていないだろう。朝陽君を、本社でバイトさせても構わないか?化ける子だぞ。負けず嫌いがいい方向へ行きそうだ。5年後に振り返って、懐かしいと思うぐらいになる。大学をどうするのかは、相談に乗ってやってくれ。……君が二葉君に甘いと思っているのは、意味が違う。あれほど精神的に追い詰められている子を、どうして厳しくできる?お母さんから、嫉妬されたそうじゃないか。二葉君は違うと言っていたが、俺が話を聞いたらそうだと思った。……朝陽君が反対の立場なら、俺の方へ預けなかったはずだ。……ちゃんと話を聞いている。自信を持ってくれ。ああ、そろそろ迎えに出る時間だ!」
礼を伝える間もなく通話が終わり、俺の方には秘書から声がかけられた。次の会合の時間だ。ネクタイを直して立ち上がった。
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