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22-18(夏樹視点)
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17時。
ああー、しまった!そんな声が聞こえてきたことで、一貴さんが到着したのが分かった。理学部棟から出て正門の方を眺めると、わりと離れた場所で、慌てた様子を見せている男性を見つけた。どうやら、足元に居るのはユリウスらしい。特に問題なさそうなのにと、悠人が首をかしげている。
「どうしたかなー?慌てるようなことがある?」
「ううん。学生が通っているだけだよ。絵理奈ちゃんだ、宮下さんも。ごく普通だよ~」
「ふむふむ。しばらく待とうね」
これは悠人からのアドバイスだ。一貴さんが何かそそっかしいことをした時は、こちらからすぐに声をかけずに、落ち着くのを待つのがベストだそうだ。どうしても大変なら、すぐに駆け付ける。今の状況は大丈夫そうだから、俺達に気づくのは早いだろう。
慌てた時に助けに入ると嬉しい反面、また失敗した、カッコ悪いところを見せてしまったと、心の中で沈んでしまう。俺達が待っているのが分かっても、大したことではないと思えるから、本人にとっては助かる方法だ。悠人自身の体験に戻づく。
「ユリウス、肩に上ったね。こっちへ来るよ。ああーーって、なっているよ」
「ああ~、分かったよ。ペット連れは不可だもん。……そっか、屋内入室不可なのか~」
これなら早めに話しておきたい。急いで来てくれている一貴さんへ手を振り、屋外なら大丈夫だと声を張り上げた。聞こえるように響かせたから、近くを歩いている子達が振り向いている。
手振りで一貴さんの方だと教えると、ユリウスを見つけた宮下さんが声をあげた。絵理奈も一緒に一貴さんの元へ行き、ユリウスを撫で始めた。他の子も近寄って来て、一気に賑やかになった。さっそく俺達も歩いて行った。
会議が立て続けにある日以外は、一貴さんはユリウスを連れて出勤している。社内ではお馴染みの光景になり、歩いていると、あちこちから声を掛けられているそうだ。
親しい取引先の人にも会わせているから、ユリウスのことで話が弾み、以前よりもずっといい関係になったという。表情からして違う。
「フェレットは収集癖があるからねえ。ハンカチを集めているんだって。オフィスでは」
「カズさんがコレクターしなくなったのって、やっぱりユリウスのおかげだね。誠実な人になったよ。いろんな人へ恋をしない。ふむふむ……」
「黒崎さんに愛の告白した話を思い出したよ……。本当に嫌いだったらしいよ。嫌いだから好きだって、ややこしい。誰の事も好きじゃないから、コレクターするって……」
「藤沢は分かっているけどさ。それでも、本当かな?って疑いたくもなるよ。ご飯を食べている時、裕理さんへ連絡を取って来たんだ。似合うシャツがあるから着てみないか?って。純粋な友達としてだけど」
「一貴お兄ちゃんは、早瀬さんの事は嫌いになれなかったんだね。……そうだ。玲子叔母さんとは話しているよね?早瀬さん……」
早瀬さんはお母さんである玲子さんとは仲がしっくりこない。早瀬さんと妹の莉奈さんに、小さい頃から良い子であることを強いてきた結果だ。今は修復されつつある。
「うん。やっと気軽になったよ。玲子ママの方が、今更都合がいいって気にしているんだ。裕理さんとしては、もう大人だからさー、恨みなんか無いよって、そう話したんだ。……俺の場合は違うよ。両親に恨みは残っているよ。あああ……。藍生には内緒にしてよー。へへへ……」
「うへへ、18年間は黙っておくよ~」
悠人の妹の藍生ちゃんは2歳半だ。ギタリスト祭典練習の控え室へ遊びに来て、悠人が励まされている。”お兄ちゃん、リボンが欲しい”と頼まれて、緊張感が解されたそうだ。悠人がいつも何か買ってあげているから、初めておねだりされたようだ。喜んでいた。
ああー、しまった!そんな声が聞こえてきたことで、一貴さんが到着したのが分かった。理学部棟から出て正門の方を眺めると、わりと離れた場所で、慌てた様子を見せている男性を見つけた。どうやら、足元に居るのはユリウスらしい。特に問題なさそうなのにと、悠人が首をかしげている。
「どうしたかなー?慌てるようなことがある?」
「ううん。学生が通っているだけだよ。絵理奈ちゃんだ、宮下さんも。ごく普通だよ~」
「ふむふむ。しばらく待とうね」
これは悠人からのアドバイスだ。一貴さんが何かそそっかしいことをした時は、こちらからすぐに声をかけずに、落ち着くのを待つのがベストだそうだ。どうしても大変なら、すぐに駆け付ける。今の状況は大丈夫そうだから、俺達に気づくのは早いだろう。
慌てた時に助けに入ると嬉しい反面、また失敗した、カッコ悪いところを見せてしまったと、心の中で沈んでしまう。俺達が待っているのが分かっても、大したことではないと思えるから、本人にとっては助かる方法だ。悠人自身の体験に戻づく。
「ユリウス、肩に上ったね。こっちへ来るよ。ああーーって、なっているよ」
「ああ~、分かったよ。ペット連れは不可だもん。……そっか、屋内入室不可なのか~」
これなら早めに話しておきたい。急いで来てくれている一貴さんへ手を振り、屋外なら大丈夫だと声を張り上げた。聞こえるように響かせたから、近くを歩いている子達が振り向いている。
手振りで一貴さんの方だと教えると、ユリウスを見つけた宮下さんが声をあげた。絵理奈も一緒に一貴さんの元へ行き、ユリウスを撫で始めた。他の子も近寄って来て、一気に賑やかになった。さっそく俺達も歩いて行った。
会議が立て続けにある日以外は、一貴さんはユリウスを連れて出勤している。社内ではお馴染みの光景になり、歩いていると、あちこちから声を掛けられているそうだ。
親しい取引先の人にも会わせているから、ユリウスのことで話が弾み、以前よりもずっといい関係になったという。表情からして違う。
「フェレットは収集癖があるからねえ。ハンカチを集めているんだって。オフィスでは」
「カズさんがコレクターしなくなったのって、やっぱりユリウスのおかげだね。誠実な人になったよ。いろんな人へ恋をしない。ふむふむ……」
「黒崎さんに愛の告白した話を思い出したよ……。本当に嫌いだったらしいよ。嫌いだから好きだって、ややこしい。誰の事も好きじゃないから、コレクターするって……」
「藤沢は分かっているけどさ。それでも、本当かな?って疑いたくもなるよ。ご飯を食べている時、裕理さんへ連絡を取って来たんだ。似合うシャツがあるから着てみないか?って。純粋な友達としてだけど」
「一貴お兄ちゃんは、早瀬さんの事は嫌いになれなかったんだね。……そうだ。玲子叔母さんとは話しているよね?早瀬さん……」
早瀬さんはお母さんである玲子さんとは仲がしっくりこない。早瀬さんと妹の莉奈さんに、小さい頃から良い子であることを強いてきた結果だ。今は修復されつつある。
「うん。やっと気軽になったよ。玲子ママの方が、今更都合がいいって気にしているんだ。裕理さんとしては、もう大人だからさー、恨みなんか無いよって、そう話したんだ。……俺の場合は違うよ。両親に恨みは残っているよ。あああ……。藍生には内緒にしてよー。へへへ……」
「うへへ、18年間は黙っておくよ~」
悠人の妹の藍生ちゃんは2歳半だ。ギタリスト祭典練習の控え室へ遊びに来て、悠人が励まされている。”お兄ちゃん、リボンが欲しい”と頼まれて、緊張感が解されたそうだ。悠人がいつも何か買ってあげているから、初めておねだりされたようだ。喜んでいた。
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