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大和がナッツをつまんで美味しそうに食べている。悠人がふむふむと頷きながら、俺の顔を反対方向へ促した。さらに、烏龍茶を飲むように差し出された。黙っておきなさいということだ。まさか、弟の大成がノアの片想いの相手だとは思っていないだろう。
今年春のことだ。ドイツ語クラスの新入生のランチ会を開いた時に、ノアに大成を紹介した。先輩に囲まれて緊張していたから、タイミングよく学食へ来ていた“ノアの助け船”に頼った。その時に意気投合したのではない。引っ込み思案の大成のことに構っているうちに、恋心を持ったそうだ。ノア自身は冗談を言うタイプではない。大成のことを笑わせたいがために、バーテルスさんから冗談を習い、それを使って話しかけている状況だ。
「ゆうとー。まだ食べている……よ」
「引っかかるから飲んでおけよーー」
「平気だよ。大和が向こうを見ているよ?」
「もう……」
久弥と大和が話しながら、ベテルギウスのドラムセットを眺めた。今回のイベントでは、原田さんがドラムで参加する。先月末にメンバーが脱退したからだ。音楽性の違いが原因であり、一年前から上手くいかなかったそうだ。そのベテルギウスの新しいメンバーとして、原田さんに声がかけられた。
俺達の方も同じだ。次のバンドメンバーになってくれと頼んだ。しかし、どちらも本人から断られた。サポートで掛け持ちして活動するのが性に合っていという理由だった。久弥からは一度も頼んでいない。原田さんが選べなくなるからだ。
「おおーー、ベテルギウスと一緒に出て来たぞ!もう一回勧誘してこい」
「だめだだめだーー」
原田さんがドラムセットに戻ってきた。ベテルギウスのメンバーと話しながらだ。すでに溶け込んでいる。久弥が俺達の方を向いて頷いた。
「リーダーの布川さんから頼まれていた。この話を受けるだろう。……アマチュア時代に世話になっている。……ほら、また頼み込まれているぞー?……ゆうとー、お前の頼み方が弱いからだぞー?」
「もうーー。落ち着いて頼みたかったんだよ。夏樹も泣かないようにしたし。そうだろー?」
「うん。安心していたんだ。入ってくれると思っていたからさ。他のドラムを探していないし、控え室に長く引き留めていたし、大和が飲みに行くようになったし……」
「ぎゃはは。これはイケるぞって?……甘いぞー。ベテルギウスとしてはイケメンが欲しい。ああいう人柄もほしい。応援しよう!」
もちろんだと頷き合い、ステージを眺めた。隣り合ったドラムのどちらを選ぶのかという分かれ道の前に立った時、久弥から頼まれたら断れなかったと思う。ベテルギウスの方も選ばないだろう。それぐらい真面目に考える人だ。残念なそぶりを見せるのは良くないかな?
「原田さんへ本音を言ってもいいかな?寂しいよって……」
「それは構わない。心置きなくベテルギウスへ行ってくれと。ドラムのサポートメンバーを増やすぞ。候補者が2人いる」
「もしかして、あの高校生の子もいる?」
「そうだ。夏樹には話していたな。隆さんが支援するジャズバンドの子だ。イベントが終わった後で、詳しく話す」
悠人たちが興味深く顔を見合わせた時、リハが始まる連絡が入った。すぐに話を切り上げて、ステージへ向かった。そして、スタンドマイク前、リード、リズムギター、ベースの位置へという、それぞれの持ち場でスタンバイした。
俺達の後ろにはドラムセットがあり、原田さんがスタンバイしている。次の変化が怖くないと言えば嘘になるが、今はわくわくした気持ちで演奏をスタートさせた。
今年春のことだ。ドイツ語クラスの新入生のランチ会を開いた時に、ノアに大成を紹介した。先輩に囲まれて緊張していたから、タイミングよく学食へ来ていた“ノアの助け船”に頼った。その時に意気投合したのではない。引っ込み思案の大成のことに構っているうちに、恋心を持ったそうだ。ノア自身は冗談を言うタイプではない。大成のことを笑わせたいがために、バーテルスさんから冗談を習い、それを使って話しかけている状況だ。
「ゆうとー。まだ食べている……よ」
「引っかかるから飲んでおけよーー」
「平気だよ。大和が向こうを見ているよ?」
「もう……」
久弥と大和が話しながら、ベテルギウスのドラムセットを眺めた。今回のイベントでは、原田さんがドラムで参加する。先月末にメンバーが脱退したからだ。音楽性の違いが原因であり、一年前から上手くいかなかったそうだ。そのベテルギウスの新しいメンバーとして、原田さんに声がかけられた。
俺達の方も同じだ。次のバンドメンバーになってくれと頼んだ。しかし、どちらも本人から断られた。サポートで掛け持ちして活動するのが性に合っていという理由だった。久弥からは一度も頼んでいない。原田さんが選べなくなるからだ。
「おおーー、ベテルギウスと一緒に出て来たぞ!もう一回勧誘してこい」
「だめだだめだーー」
原田さんがドラムセットに戻ってきた。ベテルギウスのメンバーと話しながらだ。すでに溶け込んでいる。久弥が俺達の方を向いて頷いた。
「リーダーの布川さんから頼まれていた。この話を受けるだろう。……アマチュア時代に世話になっている。……ほら、また頼み込まれているぞー?……ゆうとー、お前の頼み方が弱いからだぞー?」
「もうーー。落ち着いて頼みたかったんだよ。夏樹も泣かないようにしたし。そうだろー?」
「うん。安心していたんだ。入ってくれると思っていたからさ。他のドラムを探していないし、控え室に長く引き留めていたし、大和が飲みに行くようになったし……」
「ぎゃはは。これはイケるぞって?……甘いぞー。ベテルギウスとしてはイケメンが欲しい。ああいう人柄もほしい。応援しよう!」
もちろんだと頷き合い、ステージを眺めた。隣り合ったドラムのどちらを選ぶのかという分かれ道の前に立った時、久弥から頼まれたら断れなかったと思う。ベテルギウスの方も選ばないだろう。それぐらい真面目に考える人だ。残念なそぶりを見せるのは良くないかな?
「原田さんへ本音を言ってもいいかな?寂しいよって……」
「それは構わない。心置きなくベテルギウスへ行ってくれと。ドラムのサポートメンバーを増やすぞ。候補者が2人いる」
「もしかして、あの高校生の子もいる?」
「そうだ。夏樹には話していたな。隆さんが支援するジャズバンドの子だ。イベントが終わった後で、詳しく話す」
悠人たちが興味深く顔を見合わせた時、リハが始まる連絡が入った。すぐに話を切り上げて、ステージへ向かった。そして、スタンドマイク前、リード、リズムギター、ベースの位置へという、それぞれの持ち場でスタンバイした。
俺達の後ろにはドラムセットがあり、原田さんがスタンバイしている。次の変化が怖くないと言えば嘘になるが、今はわくわくした気持ちで演奏をスタートさせた。
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