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25-4(黒崎視点)
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16時。
この副社長室の主になり、早くも3か月半が経つ。派閥争いや対外的なものに混乱が起こらなかった。これまでの黒崎製菓内では経験のないことだ。黒崎ファーマーズのみが、水面下でさえも争いが起きていないはずだ。
そのファーマシーズでは、一つの波が起こった。20年前は薬品分野を担当していたが、千尋製菓の壁にぶち当たり撤退した。そして、生産機器システム開発分野へ移行した。
グループ内では唯一の分野であり、競争相手がいなかった。最終的な人事管理と出資は親会社である黒崎製菓が受け持っている。おっとりした企業の立ち位置といえる。
2年半前の、ワタベ電機との提携により変化が起きた。ファーマシーズが設計したものを組み立てする契約だ。しかし、ワタベ電機の技術力の方に魅力があり、今後は設計も提携したい。このままではファーマシーズが解体へ移行しそうだと、上層部が騒がしくなった。
(影響が出たか。黒崎製菓グループをホールディングス化する計画は……)
事実上、各子会社をまとめる機能を持つのが、この黒崎製菓ではある。ホールディングス化して管理することが、全体の効率化につながると数字が出ている。それを進めなかったのは、さらに派閥争いが広がるのを恐れたためだ。
目の前に乗り越える波がある状況下では、その余力がない。ライバル企業やシェア争いのなか、人材の流出は食い止められない。なりよりも、黒崎製菓が管理される側になるのを嫌がった。グループ全体の意思だ。
(3年後にチャンスがある。自分が座れと求められるのか?それはない……)
この船を大きな岸にたどり着かせるように歩いて来た。49歳で退く決断こそが漠然とした思いだと自覚したのが、就任パーティーの時だ。桜木がギタリストへの道を再開させる岐路に立ち、刺激を受けた。
(新しい的を撃てば、次の的が現れる。自分に対しての不安だったのか?まだ修行が足りない……)
ノートパソコンへ視線を移して、新着メールを確認した。大学時代の友人からのメールが入っている。いわゆる取り巻きだと思っていたのは、いつのことだったか。
メールの差出人の中には、ファーマシーズで勤務する者がおり、内部の騒ぎを知らせてくれた。すでに丸わかりの状態だ。
日下さんからも入っていた。優しい人だ。甥っ子の葉月を連れて託児ルームを訪れては、彼のことを紹介してくれた。自分の背中に隠れたままで挨拶をしない子に、”毎回初対面になっているぞ”と、プレッシャーをかけていた姿が懐かしい。
(飲みに行く約束をしよう。裕理も誘うか。高野と親しいのか……)
メールの文面はプライベートも含まれていた。高野と休日に釣りに出かけた写真が載せられている。その中に写り込んでいる服装に見覚えがある。伊吹に違いない。わざと彼の写真を送らなかったようだ。身内話にしない距離感が心地いい。
早瀬と高野は友人同士だ。伊吹と高野も同じだ。自分がメンバーに加われば、どうなるだろうか?たまには面白いだろう。
自分が夏樹と似ていることを自覚した。誰かとつるむことに息苦しさを持っていた時期が過ぎ去り、いつから変わったのか?と振り返っている。
この副社長室の主になり、早くも3か月半が経つ。派閥争いや対外的なものに混乱が起こらなかった。これまでの黒崎製菓内では経験のないことだ。黒崎ファーマーズのみが、水面下でさえも争いが起きていないはずだ。
そのファーマシーズでは、一つの波が起こった。20年前は薬品分野を担当していたが、千尋製菓の壁にぶち当たり撤退した。そして、生産機器システム開発分野へ移行した。
グループ内では唯一の分野であり、競争相手がいなかった。最終的な人事管理と出資は親会社である黒崎製菓が受け持っている。おっとりした企業の立ち位置といえる。
2年半前の、ワタベ電機との提携により変化が起きた。ファーマシーズが設計したものを組み立てする契約だ。しかし、ワタベ電機の技術力の方に魅力があり、今後は設計も提携したい。このままではファーマシーズが解体へ移行しそうだと、上層部が騒がしくなった。
(影響が出たか。黒崎製菓グループをホールディングス化する計画は……)
事実上、各子会社をまとめる機能を持つのが、この黒崎製菓ではある。ホールディングス化して管理することが、全体の効率化につながると数字が出ている。それを進めなかったのは、さらに派閥争いが広がるのを恐れたためだ。
目の前に乗り越える波がある状況下では、その余力がない。ライバル企業やシェア争いのなか、人材の流出は食い止められない。なりよりも、黒崎製菓が管理される側になるのを嫌がった。グループ全体の意思だ。
(3年後にチャンスがある。自分が座れと求められるのか?それはない……)
この船を大きな岸にたどり着かせるように歩いて来た。49歳で退く決断こそが漠然とした思いだと自覚したのが、就任パーティーの時だ。桜木がギタリストへの道を再開させる岐路に立ち、刺激を受けた。
(新しい的を撃てば、次の的が現れる。自分に対しての不安だったのか?まだ修行が足りない……)
ノートパソコンへ視線を移して、新着メールを確認した。大学時代の友人からのメールが入っている。いわゆる取り巻きだと思っていたのは、いつのことだったか。
メールの差出人の中には、ファーマシーズで勤務する者がおり、内部の騒ぎを知らせてくれた。すでに丸わかりの状態だ。
日下さんからも入っていた。優しい人だ。甥っ子の葉月を連れて託児ルームを訪れては、彼のことを紹介してくれた。自分の背中に隠れたままで挨拶をしない子に、”毎回初対面になっているぞ”と、プレッシャーをかけていた姿が懐かしい。
(飲みに行く約束をしよう。裕理も誘うか。高野と親しいのか……)
メールの文面はプライベートも含まれていた。高野と休日に釣りに出かけた写真が載せられている。その中に写り込んでいる服装に見覚えがある。伊吹に違いない。わざと彼の写真を送らなかったようだ。身内話にしない距離感が心地いい。
早瀬と高野は友人同士だ。伊吹と高野も同じだ。自分がメンバーに加われば、どうなるだろうか?たまには面白いだろう。
自分が夏樹と似ていることを自覚した。誰かとつるむことに息苦しさを持っていた時期が過ぎ去り、いつから変わったのか?と振り返っている。
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