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今日のイベントが終わった。イベント後の打ち合わせを終えて、この控え室に戻ってきた。15分程度の短いものだ。各バンドリーダー、持ち場の責任者が集まった。
倒れた観客がいなかったこと。スタッフに怪我人が出なかったこと。出演者のタイムスケジュール通りに進んだことなどの報告を受けた。来月に打ち上げが予定されていることも。控え室に戻った後、メンバーに報告して共有した。
ガタガタ……。
悠人と大和が帰り支度を始めている。早瀬さんが、聡太郎のことをタクシー乗り場に送って行った。伊吹が飲み会に誘われて、別々に帰宅することになったからだ。
自分の体調は変わりなくて、普段通りを保っている。ステージで喋ったし、あれこれと確認しながらやっていたからこそ、バランスが取れたのかもしれない。黒崎に抱き着いたとき、ホッとした顔をされた。
「黒崎さーん。そろそろ仲裁してよ~」
「……喧嘩していないぞ?」
「俺たちじゃないよ?俺は手が離せないもん」
まだ興奮冷めやらぬようだ。この室内にて、けっして感激しない類の光景が広がった。どうしてだろう?我が家の兄貴の一人が、小競り合いの片方だ。また理久と言い合いをしている。これで2回目だ。
一貴さんは相手から誤解を受けやすい。何かしゃべる度に、ドツボにはまって慌てている。その時には大人の部分が登場して、意地悪な言い返しをしてしまう。そして、やっぱり言い過ぎたかな?と後悔すると、可愛い少年の部分が出てきて、相手に仲直りの握手を求める。
しかしながら、大人の顔しか知らない相手が警戒してしまう。その反応を見て焦った結果、そんなに言わないでよ、ごめんねという意味で抱きつく。これは言葉に出せばいいのに。変な人だとしか思われない。愛すべき人柄なのだが。今、理久が抱きつかれた。
「抱きつくなよ。変な社長だなーー」
「僕は変なことをしていない。裕理君にネクタイをプレゼントしたくて、うちの店に誘ったんだ」
「……そろそろやめろ」
1回目の仲裁後、一貴さんがこんなことを言った。--裕理君にネクタイをプレゼントしたい。その時はネクタイを外す手伝いがしたいと、付け加えてしまったそうだ。早瀬さんの襟元に触れながらだ。さすがに嫌がっていた。
理久は正義感が強くて、変態的な人を拒んでいる。久弥が追いかけまわされた時期を経験しているからだ。黒崎が理久のそばに行った。
「……理久君。裕理のことが心配になったのか?」
「はい。信用できないので」
「そうか。例えるぞ?枝川のことは信用できない。だが、島川さんは誠実にしている。謝っているからだ」
黒崎が理久のことを一貴さんと話すように諭した。理久は素直に言うことを聞いて、一貴さんの前に立った。
「はい。話をします。……島川さん。そういうことを言われた人は困ります。傷つくかもしれない。俺も人のことは言えないけど、だからこそ分かるんです」
「……理久君。二葉から話を聞いている。君も誤解されやすいそうだね?」
「はい。なるべく気をつけています。でも、うまくいかなくて……」
「だから、俺に注意してくれたのか?そう受け取ってもいいか?」
「はい。そのつもりで声をかけました。言い方が悪かったですか?ごめんなさい!」
「理久君、そう言わないでくれ。俺の方が配慮に欠けていた。恥ずかしいよ」
「島川さん、そんな顔をしないで。……その節は、兄が大変お世話になりました」
「……こちらこそだ。ディアドロップさんで衣装を使ってもらえて光栄だった」
「あのーー。二葉から聞いています。悩んでいるんですよね?友達ができないって……。よかったら食事に行きませんか?」
「いいのか?喜んで!美味しい店を知っている。イタリアンだ」
「大好きです!……白身魚パスタ?おいしそうだなあ」
急に空気が打ち解けた。意外な展開だ。悠人が感心顔になっている。やっと新しい友達候補を見つけた上に、ざるそば以外の提案ができるようになったのかと。
「……黒崎さん。そこに運ぶだけだよ?」
「……これからお前の休憩タイムだぞ」
黒崎がそばにきて、俺が持ち上げた荷物を取った。すぐ近くのワゴンに乗せるだけなのに。軽く首を振ったが、さっさと運んでいった。こういうことは譲らないと言いながら。
倒れた観客がいなかったこと。スタッフに怪我人が出なかったこと。出演者のタイムスケジュール通りに進んだことなどの報告を受けた。来月に打ち上げが予定されていることも。控え室に戻った後、メンバーに報告して共有した。
ガタガタ……。
悠人と大和が帰り支度を始めている。早瀬さんが、聡太郎のことをタクシー乗り場に送って行った。伊吹が飲み会に誘われて、別々に帰宅することになったからだ。
自分の体調は変わりなくて、普段通りを保っている。ステージで喋ったし、あれこれと確認しながらやっていたからこそ、バランスが取れたのかもしれない。黒崎に抱き着いたとき、ホッとした顔をされた。
「黒崎さーん。そろそろ仲裁してよ~」
「……喧嘩していないぞ?」
「俺たちじゃないよ?俺は手が離せないもん」
まだ興奮冷めやらぬようだ。この室内にて、けっして感激しない類の光景が広がった。どうしてだろう?我が家の兄貴の一人が、小競り合いの片方だ。また理久と言い合いをしている。これで2回目だ。
一貴さんは相手から誤解を受けやすい。何かしゃべる度に、ドツボにはまって慌てている。その時には大人の部分が登場して、意地悪な言い返しをしてしまう。そして、やっぱり言い過ぎたかな?と後悔すると、可愛い少年の部分が出てきて、相手に仲直りの握手を求める。
しかしながら、大人の顔しか知らない相手が警戒してしまう。その反応を見て焦った結果、そんなに言わないでよ、ごめんねという意味で抱きつく。これは言葉に出せばいいのに。変な人だとしか思われない。愛すべき人柄なのだが。今、理久が抱きつかれた。
「抱きつくなよ。変な社長だなーー」
「僕は変なことをしていない。裕理君にネクタイをプレゼントしたくて、うちの店に誘ったんだ」
「……そろそろやめろ」
1回目の仲裁後、一貴さんがこんなことを言った。--裕理君にネクタイをプレゼントしたい。その時はネクタイを外す手伝いがしたいと、付け加えてしまったそうだ。早瀬さんの襟元に触れながらだ。さすがに嫌がっていた。
理久は正義感が強くて、変態的な人を拒んでいる。久弥が追いかけまわされた時期を経験しているからだ。黒崎が理久のそばに行った。
「……理久君。裕理のことが心配になったのか?」
「はい。信用できないので」
「そうか。例えるぞ?枝川のことは信用できない。だが、島川さんは誠実にしている。謝っているからだ」
黒崎が理久のことを一貴さんと話すように諭した。理久は素直に言うことを聞いて、一貴さんの前に立った。
「はい。話をします。……島川さん。そういうことを言われた人は困ります。傷つくかもしれない。俺も人のことは言えないけど、だからこそ分かるんです」
「……理久君。二葉から話を聞いている。君も誤解されやすいそうだね?」
「はい。なるべく気をつけています。でも、うまくいかなくて……」
「だから、俺に注意してくれたのか?そう受け取ってもいいか?」
「はい。そのつもりで声をかけました。言い方が悪かったですか?ごめんなさい!」
「理久君、そう言わないでくれ。俺の方が配慮に欠けていた。恥ずかしいよ」
「島川さん、そんな顔をしないで。……その節は、兄が大変お世話になりました」
「……こちらこそだ。ディアドロップさんで衣装を使ってもらえて光栄だった」
「あのーー。二葉から聞いています。悩んでいるんですよね?友達ができないって……。よかったら食事に行きませんか?」
「いいのか?喜んで!美味しい店を知っている。イタリアンだ」
「大好きです!……白身魚パスタ?おいしそうだなあ」
急に空気が打ち解けた。意外な展開だ。悠人が感心顔になっている。やっと新しい友達候補を見つけた上に、ざるそば以外の提案ができるようになったのかと。
「……黒崎さん。そこに運ぶだけだよ?」
「……これからお前の休憩タイムだぞ」
黒崎がそばにきて、俺が持ち上げた荷物を取った。すぐ近くのワゴンに乗せるだけなのに。軽く首を振ったが、さっさと運んでいった。こういうことは譲らないと言いながら。
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