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二葉が履いているのは、エスニック系の飾りのついた、サンダルのようなものだ。もう10月の夜なのに、本人は全く寒くないと言っている。あの靴で走り回ることも凄いし、地団駄を踏んで、軽々とジャンプもやっている。
黒っぽい生地に青系の柄の入ったズボン姿だから、この広い庭で歩いていても、二階の窓からなら見つけられる。実際に発見したことがある。久弥のような赤い髪をしていなくても。その姿を黒崎がまぶしそうに見つめている。
「すごく目立っているよ!」
「そうだな。恐れなくなった」
「あんたが頓着しなさすぎだよ」
二葉は目立つことを恐れていた。ママのモデルスクールからデビューさせようと勝手に話が進められた結果、最初に入学した高校の中で目立ってしまった。二葉は人間関係を作るのが苦手で、悪い方に流れてしまったそうだ。開明高校なら人に干渉しないのだが、環境によってはそうではない。根も葉もない噂を囁かれて、嫌な思いをした話を知った。
その学校を一年生の時に中退して、実家に戻って地元の高校に入り直した。それでも、ママは二葉にモデル活動をさせることを諦めていなかった。俺を助けるために骨折した時は、無理やりにテレビ局関係者に紹介される直前のタイミングだった。その上での怪我だったから、ママが嫌な目を向けてきたことで、二葉の心の傷の一つになった。
ダンダン……ダンダン……
何度もボールが地面を跳ねて、それを奪い合っている二人のことを眺めた。噴水の明かりがきらめいたら、2人の額から流れる汗まで輝いた。
すぐに2人が起き上がったから、ほんの一瞬だけしか見えなかった。俺達に見つかったから照れ臭そうにしている。その時、二葉がボールを取りそこなってしまった。突き指だろうか?
「いててて……」
「おーーい。突き指したのか?」
「これは平気、いてて」
「そうやって我慢するなって!これでも医学生だ。応急処置はできる」
「キミにはね、見せたくないの」
「大事な指だ!何を言っているんだ!いつもそうだ。自分のことが嫌いなのは知っている。しかたないだろ。俺達はオリジナルだよ。……例えばだぞ。おばあちゃんになったら、表情で美しさが決まる。口紅をつけただけで綺麗なんだ。身体を起こすのも大変だけど、笑ったら可愛い。お兄ちゃんはいろんなことを経験した。顔に出ているんだ!美人とかじゃない。イケメン、いい男なんだ!」
朝陽が無理やりに二葉の手を取った。そして、薬指に触れた時、小さな声があがった。そして、とっさ動いた俺の身体を、黒崎の手に押し留められた。噴水の明かりの元で触れ合っている、兄弟の邪魔をしてはいけない。言葉にならない方法で教えてくれた。
怪我をした指を持つカインにアベルが寄り添い、どうしてそんなことを言うのか?と問いかけた。指を引っ張るわけでもなく、朝陽が両手で二葉の手を包み込んだ。男性と女性の手の大きさの差があるから、簡単に包み込まれた。二葉が眉をよせた。朝陽が見逃すわけがなくて、馬鹿と呟いて舌打ちした。しかし、ちっとも嫌な感じがしない。
「なんでお兄ちゃんが悩むんだよ!?」
「朝陽……」
「お母さんのせいだ!大事な指を、よくもああいう扱いをしたもんだよ。お兄ちゃんは楽器を弾かないけど、絵を描く。たまにだったよね。勉強ばかりしていた。カフェでバイトして、いつもトレーを持っていた。自分の娘なのに華やかさが足りないだなんて、よく言えたものだ!あんなに醜い人に言う権利はない!」
朝陽の口から出てきたのは、母親への恨み言だ。次々にあふれ出していった。それは怖い言葉だ。目の前にママが居たら、ショックを受けそうだ。全否定だ。でも、二葉を守るための言葉だ。この場での慰めになると判断した、朝陽の選択だ。
黒っぽい生地に青系の柄の入ったズボン姿だから、この広い庭で歩いていても、二階の窓からなら見つけられる。実際に発見したことがある。久弥のような赤い髪をしていなくても。その姿を黒崎がまぶしそうに見つめている。
「すごく目立っているよ!」
「そうだな。恐れなくなった」
「あんたが頓着しなさすぎだよ」
二葉は目立つことを恐れていた。ママのモデルスクールからデビューさせようと勝手に話が進められた結果、最初に入学した高校の中で目立ってしまった。二葉は人間関係を作るのが苦手で、悪い方に流れてしまったそうだ。開明高校なら人に干渉しないのだが、環境によってはそうではない。根も葉もない噂を囁かれて、嫌な思いをした話を知った。
その学校を一年生の時に中退して、実家に戻って地元の高校に入り直した。それでも、ママは二葉にモデル活動をさせることを諦めていなかった。俺を助けるために骨折した時は、無理やりにテレビ局関係者に紹介される直前のタイミングだった。その上での怪我だったから、ママが嫌な目を向けてきたことで、二葉の心の傷の一つになった。
ダンダン……ダンダン……
何度もボールが地面を跳ねて、それを奪い合っている二人のことを眺めた。噴水の明かりがきらめいたら、2人の額から流れる汗まで輝いた。
すぐに2人が起き上がったから、ほんの一瞬だけしか見えなかった。俺達に見つかったから照れ臭そうにしている。その時、二葉がボールを取りそこなってしまった。突き指だろうか?
「いててて……」
「おーーい。突き指したのか?」
「これは平気、いてて」
「そうやって我慢するなって!これでも医学生だ。応急処置はできる」
「キミにはね、見せたくないの」
「大事な指だ!何を言っているんだ!いつもそうだ。自分のことが嫌いなのは知っている。しかたないだろ。俺達はオリジナルだよ。……例えばだぞ。おばあちゃんになったら、表情で美しさが決まる。口紅をつけただけで綺麗なんだ。身体を起こすのも大変だけど、笑ったら可愛い。お兄ちゃんはいろんなことを経験した。顔に出ているんだ!美人とかじゃない。イケメン、いい男なんだ!」
朝陽が無理やりに二葉の手を取った。そして、薬指に触れた時、小さな声があがった。そして、とっさ動いた俺の身体を、黒崎の手に押し留められた。噴水の明かりの元で触れ合っている、兄弟の邪魔をしてはいけない。言葉にならない方法で教えてくれた。
怪我をした指を持つカインにアベルが寄り添い、どうしてそんなことを言うのか?と問いかけた。指を引っ張るわけでもなく、朝陽が両手で二葉の手を包み込んだ。男性と女性の手の大きさの差があるから、簡単に包み込まれた。二葉が眉をよせた。朝陽が見逃すわけがなくて、馬鹿と呟いて舌打ちした。しかし、ちっとも嫌な感じがしない。
「なんでお兄ちゃんが悩むんだよ!?」
「朝陽……」
「お母さんのせいだ!大事な指を、よくもああいう扱いをしたもんだよ。お兄ちゃんは楽器を弾かないけど、絵を描く。たまにだったよね。勉強ばかりしていた。カフェでバイトして、いつもトレーを持っていた。自分の娘なのに華やかさが足りないだなんて、よく言えたものだ!あんなに醜い人に言う権利はない!」
朝陽の口から出てきたのは、母親への恨み言だ。次々にあふれ出していった。それは怖い言葉だ。目の前にママが居たら、ショックを受けそうだ。全否定だ。でも、二葉を守るための言葉だ。この場での慰めになると判断した、朝陽の選択だ。
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