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通路に出ると、枝川のそばに理久が立っていた。緊張しており、顔も紅潮している。唇を噛みしめている表情は、小さな頃と同じだ。何か悪戯をやって叱られては反省していた。今も同じだろうと思うと、笑いが込み上げてきた。しかし、今はインターンシップ中だ。笑いかけるわけにはいかない。
「……枝川。二人にしてくれるか」
「はい。僕は戻るからね。早瀬部長代理が君と話をしたいそうだ。しっかりと聞け。いいね?」
「はい……」
今回は子供扱いする。実際にまだ子供だからだ。いくら大学生になっても、中身が急に大人になるわけがない。理久だから特別扱いをしたと受け取られると、完全には否定しきれない。心から反省しており、筋を通そうとしている態度はいいことだ。
「どうして帰ろうとするんだ?」
「すみませんでした。ここにいると周りの参加者の邪魔になるし、堂々と参加が出来ないからです。せっかくの空気を乱したから……」
「分かっているじゃないか。それでいい。戻りなさい」
「出来ません」
「どうして?」
「こんなこと言っていいのかな……」
「この瞬間だけプライベートでいい。吐いてしまえ」
「同じ大学の子が参加しているんだけど。みんなから責められているんだ。ラインのグループも外されたし……。このまま居てもいいことはないよ」
「……そうか」
それはさっき見聞きしたことで分かった。些細なミスをしたことで、全てが終わったと受け取っている。今までの参加者全体の傾向だ。
「それは大学へも行かない選択をするということだぞ?今回のことで中退するのか?」
「それはしないよ!友達はまた出来るし。しばらくは居づらいかもしれないけど……」
「君の学部は先輩後輩の繋がりが強い。今日のことを先輩に話せ。大学生としての目でアドバイスが貰えるだろう。社会人としての俺から言えることは ”ミスをしたら挽回しろ” ということだ」
「取り戻せないよ」
「可能だ。反省して、真面目に取り組むことだ。その態度を、うちのほうは見ている。……平田を知っているだろう?休憩時間に注意してきた社員だ」
「うん……」
「インターンシップ参加のときに、ルール違反をした。相手から許してもらったうえで、最後まで参加した」
「入社しているのに?」
「それぐらいの ”ミス” だ。勤務を始めると分かるようになる。もっと大きなことがある。些細なミスをしたことで、全てが終わったと受け取っている。今までの参加者全体の傾向だ。君たちの年代の考え方の癖だぞ」
「黒崎君に謝りたいんだ。許してくれるかな……」
「許してもらえたら、参加を続けるんだろう?」
「帰りたいよ……」
「理久、ちゃんと話を聞け」
「友達が……」
「はあ……」
困ったなと、ため息が出た。こんな些細なことでやり玉にあげるような子を友達だと思えるのかと。他にもいい奴はいるだろうに。誰とでも仲良くしなければならない。そう思っているのだろう。
パタパタ……。
視界の中に、夏樹と如月の姿が入った。トイレに行くのだろうか?心配そうな顔でこちらを見ている。今にも駆け寄ってきそうだが、遠慮しているのが見てわかる。こういう子がいることを教えよう。
「……理久、目線だけで左の方を見ろ」
「うん。……黒崎君だ」
「心配そうな顔をしているだろう?如月君もだ。ああやって心配してくれる子と付き合え。今回のことは君にとっては収穫があったんだぞ。自分も同じことをしたくせに、スケープゴートを選んで逃げ出した。そんな子だと分かっただろう。……いいか?天秤にかけろ。うちの仲間は君に残ってほしいと希望している。反対の天秤には ”その程度のつきあい” だ。どっちが重い?もう分かるだろう?」
「うん!」
理久が俺の目を見て頷いた。終わるまでは居づらいだろうが、クリアさせよう。ちょうどいいタイミングがある。昼休憩の間に、グループの再編成をする。相性の良い物同士を組み合わせるためだ。
「よし、いい顔になったね。戻ろう」
「うん!黒崎君、許してくれるかな……」
「それは分からない。真剣に謝れ」
「うん!」
今度はいい笑顔に変わった。世話が焼けると思いながら背中を押して会議室へ促した。そして、待っていた枝川と合流して、グループ編成について話しながら控え室に向かった。その途中で、会議室へ戻って来ていた如月が理久に話しかけていた。さらに夏樹のことを呼びよせており、3人が笑顔になっている。それを見て、心置きなく控え室に入ることが出来た。
「……枝川。二人にしてくれるか」
「はい。僕は戻るからね。早瀬部長代理が君と話をしたいそうだ。しっかりと聞け。いいね?」
「はい……」
今回は子供扱いする。実際にまだ子供だからだ。いくら大学生になっても、中身が急に大人になるわけがない。理久だから特別扱いをしたと受け取られると、完全には否定しきれない。心から反省しており、筋を通そうとしている態度はいいことだ。
「どうして帰ろうとするんだ?」
「すみませんでした。ここにいると周りの参加者の邪魔になるし、堂々と参加が出来ないからです。せっかくの空気を乱したから……」
「分かっているじゃないか。それでいい。戻りなさい」
「出来ません」
「どうして?」
「こんなこと言っていいのかな……」
「この瞬間だけプライベートでいい。吐いてしまえ」
「同じ大学の子が参加しているんだけど。みんなから責められているんだ。ラインのグループも外されたし……。このまま居てもいいことはないよ」
「……そうか」
それはさっき見聞きしたことで分かった。些細なミスをしたことで、全てが終わったと受け取っている。今までの参加者全体の傾向だ。
「それは大学へも行かない選択をするということだぞ?今回のことで中退するのか?」
「それはしないよ!友達はまた出来るし。しばらくは居づらいかもしれないけど……」
「君の学部は先輩後輩の繋がりが強い。今日のことを先輩に話せ。大学生としての目でアドバイスが貰えるだろう。社会人としての俺から言えることは ”ミスをしたら挽回しろ” ということだ」
「取り戻せないよ」
「可能だ。反省して、真面目に取り組むことだ。その態度を、うちのほうは見ている。……平田を知っているだろう?休憩時間に注意してきた社員だ」
「うん……」
「インターンシップ参加のときに、ルール違反をした。相手から許してもらったうえで、最後まで参加した」
「入社しているのに?」
「それぐらいの ”ミス” だ。勤務を始めると分かるようになる。もっと大きなことがある。些細なミスをしたことで、全てが終わったと受け取っている。今までの参加者全体の傾向だ。君たちの年代の考え方の癖だぞ」
「黒崎君に謝りたいんだ。許してくれるかな……」
「許してもらえたら、参加を続けるんだろう?」
「帰りたいよ……」
「理久、ちゃんと話を聞け」
「友達が……」
「はあ……」
困ったなと、ため息が出た。こんな些細なことでやり玉にあげるような子を友達だと思えるのかと。他にもいい奴はいるだろうに。誰とでも仲良くしなければならない。そう思っているのだろう。
パタパタ……。
視界の中に、夏樹と如月の姿が入った。トイレに行くのだろうか?心配そうな顔でこちらを見ている。今にも駆け寄ってきそうだが、遠慮しているのが見てわかる。こういう子がいることを教えよう。
「……理久、目線だけで左の方を見ろ」
「うん。……黒崎君だ」
「心配そうな顔をしているだろう?如月君もだ。ああやって心配してくれる子と付き合え。今回のことは君にとっては収穫があったんだぞ。自分も同じことをしたくせに、スケープゴートを選んで逃げ出した。そんな子だと分かっただろう。……いいか?天秤にかけろ。うちの仲間は君に残ってほしいと希望している。反対の天秤には ”その程度のつきあい” だ。どっちが重い?もう分かるだろう?」
「うん!」
理久が俺の目を見て頷いた。終わるまでは居づらいだろうが、クリアさせよう。ちょうどいいタイミングがある。昼休憩の間に、グループの再編成をする。相性の良い物同士を組み合わせるためだ。
「よし、いい顔になったね。戻ろう」
「うん!黒崎君、許してくれるかな……」
「それは分からない。真剣に謝れ」
「うん!」
今度はいい笑顔に変わった。世話が焼けると思いながら背中を押して会議室へ促した。そして、待っていた枝川と合流して、グループ編成について話しながら控え室に向かった。その途中で、会議室へ戻って来ていた如月が理久に話しかけていた。さらに夏樹のことを呼びよせており、3人が笑顔になっている。それを見て、心置きなく控え室に入ることが出来た。
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