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リビングへ入ると、親父から迎えられた。仕事から帰ったところなのか、スーツ姿をしている。思わず視線を向けたのが腹回りだ。悠人が好みそうな、ふっくらボディーをしている。羨ましいような、そうでないような。
「裕理か。すまなかったね」
「ただいま。この後も出るの?」
「今日は休みにした。帰ったばかりだよ」
「着替えて来いよ。待っているから」
「そうさせてもらう」
カタ……。
ソファーに深く腰かけて庭を眺めた。珈琲を飲みながら、親父と遊んだ日のことを思い出した。ボールで遊んでいると、ボールが窓ガラスに当たった。強化ガラスだから割れはしないし、誰もいなかった。それでも、母から叱られると思って落ち込んでいた。日頃から叱られたことがなかった。余計に悪いことをした気分だった。
(莉奈もそうかもしれない。ただなあー、お母さんの影響を受けている。私は悪くない!の一点張りか?)
出来れば様子を見たいのが本音だ。これでも妹のことは心配している。悠人からの影響もある。一生懸命に藍生のことを考えている姿を見ると、壊れた仲のままでは放置できないと考えた。
(どうするか?部屋のドアを蹴破るわけにはいかない。悠人、今どうしているかな?連絡を取るか……)
親父がリビングに戻ってきた。いっそう、ふっくらした腹回りに見える。たしかに気持ちが和む。自然と手が伸びた後、親父のウエストをポンポンと触った。何をやっているんだ?そう言って笑っている親父を見ていると、今の緊張感がほぐれた。
(莉奈は犯罪を犯したわけじゃない。迷惑をかけた相手がいそうだが……)
「さっきからどうしたんだい?」
「莉奈に会いたい。年が近いからこそ、理解できる部分があるだろう。親父は本人の話を聞いたのか?」
「かいつまんでだ。内科的な治療だけじゃない。心療内科を紹介されたようだ。玲子が……お母さんが必要ないと拒んだようだ」
「何だよそれ。莉奈の問題だろう……」
「僕からもそう言っておいた。一緒に受診しようと説得している」
「それがいい。内科の医師からは、他に言われたことがあるのか?」
「落ち込みが激しい。かといって興奮する。アンバランスだと言われた」
「とても時間では解決しない。ドアを蹴破ってくる」
親父から腕を掴んで止められた。初めての動作に驚いた。さらにはその表情に驚いた。悲しい、後悔。そんな顔をしている。どうしてそういう顔をしている?そんなことは口にしなくていい。そっと親父の肩を引き寄せた。一緒に2階に上がろうと持ち掛けた。
「ドアを蹴破りそうだ。一緒に来てくれ」
「……ああ」
男が2人いても役に立たない気がする。母がああいう人でなければと思うと、それこそ、自分は悪くないという考え方に行きつく。
「何か食べるものと飲み物を持って行こう。女の子の定番だぞ。ペラペラ喋って、お菓子を食べる……。それぐらいの気持ちで行こう」
お手伝いさんに声をかけて、ここにあるもので茶菓子を用意してもらった。温かい緑茶とカステラをトレーに乗せた。これなら喉を通りやすいだろう。丁度いいものがあった。
「莉奈ーー、お菓子を食べようかーー」
「……」
ギシ……。階段を上がりながら声をかけた。おそらく聞こえているはずだ。眠っていなければ。彼女の名前を呼んだのは、何年ぶりか?それだけの長い時間が経ってしまった。
変なプレッシャーを与えられる長男である前に、自分は兄貴だと思い出した。妹ひとりを守れなくて、悠人のことを守れるというのか?ドアの向こうで待っているだろう。そういう子だ。反抗する意思が育っていない。これから教えればいい。
「裕理か。すまなかったね」
「ただいま。この後も出るの?」
「今日は休みにした。帰ったばかりだよ」
「着替えて来いよ。待っているから」
「そうさせてもらう」
カタ……。
ソファーに深く腰かけて庭を眺めた。珈琲を飲みながら、親父と遊んだ日のことを思い出した。ボールで遊んでいると、ボールが窓ガラスに当たった。強化ガラスだから割れはしないし、誰もいなかった。それでも、母から叱られると思って落ち込んでいた。日頃から叱られたことがなかった。余計に悪いことをした気分だった。
(莉奈もそうかもしれない。ただなあー、お母さんの影響を受けている。私は悪くない!の一点張りか?)
出来れば様子を見たいのが本音だ。これでも妹のことは心配している。悠人からの影響もある。一生懸命に藍生のことを考えている姿を見ると、壊れた仲のままでは放置できないと考えた。
(どうするか?部屋のドアを蹴破るわけにはいかない。悠人、今どうしているかな?連絡を取るか……)
親父がリビングに戻ってきた。いっそう、ふっくらした腹回りに見える。たしかに気持ちが和む。自然と手が伸びた後、親父のウエストをポンポンと触った。何をやっているんだ?そう言って笑っている親父を見ていると、今の緊張感がほぐれた。
(莉奈は犯罪を犯したわけじゃない。迷惑をかけた相手がいそうだが……)
「さっきからどうしたんだい?」
「莉奈に会いたい。年が近いからこそ、理解できる部分があるだろう。親父は本人の話を聞いたのか?」
「かいつまんでだ。内科的な治療だけじゃない。心療内科を紹介されたようだ。玲子が……お母さんが必要ないと拒んだようだ」
「何だよそれ。莉奈の問題だろう……」
「僕からもそう言っておいた。一緒に受診しようと説得している」
「それがいい。内科の医師からは、他に言われたことがあるのか?」
「落ち込みが激しい。かといって興奮する。アンバランスだと言われた」
「とても時間では解決しない。ドアを蹴破ってくる」
親父から腕を掴んで止められた。初めての動作に驚いた。さらにはその表情に驚いた。悲しい、後悔。そんな顔をしている。どうしてそういう顔をしている?そんなことは口にしなくていい。そっと親父の肩を引き寄せた。一緒に2階に上がろうと持ち掛けた。
「ドアを蹴破りそうだ。一緒に来てくれ」
「……ああ」
男が2人いても役に立たない気がする。母がああいう人でなければと思うと、それこそ、自分は悪くないという考え方に行きつく。
「何か食べるものと飲み物を持って行こう。女の子の定番だぞ。ペラペラ喋って、お菓子を食べる……。それぐらいの気持ちで行こう」
お手伝いさんに声をかけて、ここにあるもので茶菓子を用意してもらった。温かい緑茶とカステラをトレーに乗せた。これなら喉を通りやすいだろう。丁度いいものがあった。
「莉奈ーー、お菓子を食べようかーー」
「……」
ギシ……。階段を上がりながら声をかけた。おそらく聞こえているはずだ。眠っていなければ。彼女の名前を呼んだのは、何年ぶりか?それだけの長い時間が経ってしまった。
変なプレッシャーを与えられる長男である前に、自分は兄貴だと思い出した。妹ひとりを守れなくて、悠人のことを守れるというのか?ドアの向こうで待っているだろう。そういう子だ。反抗する意思が育っていない。これから教えればいい。
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