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……Visible ray……ray of light……
……3、2、1……
静まり返った会場内からは、観客の息づかいが聞こえている。固唾を飲んでいる人、楽しみにワクワクしている人、それぞれだろう。
共通しているのは、今夜、同じ場所で時間を過ごしていることだ。みんなでステージを作り上げる。それを目的に立っている。俺たちは作品の発表担当だ。
ステージ上の前方と後方の間に黒い幕が下りている。その前に立っている。上部から真っ直ぐに差し込んでいる白い光がある。何本も並んでいるから、白い檻のようだ。観客席からもそう見えるだろう。その奥で、夏樹が日本舞踊の形を取っている。
……カタン、デンデン……シャンシャンシャン……
佐久弥が弾く三味線の音が、会場内に響いている。このステージだけのバージョンだ。シンと静まり返ったなか、三味線のリズムに合わせて踊っている夏樹がいる。
俺の方からは、赤い着物が白く輝いている。銀糸を織り込まれた生地だからだ。夏樹が力強く舞っている。
……デンデンデン……シャンシャンシャン……
次第にリズムが速くなっていく。もう一度、開幕メッセージが流れ始めて、早送りのように流れされていく。そして、最後の『ゼロ』のカウントが告げられた。
ガーーーーーーー!
佐久弥のギターフレーズが鳴り響き、夏樹の赤い着物が脱ぎ捨てられた。そして、斜めに身体を向けて”女性形”で立っていたものを、正面に向いて”男性形の踊り手”に変わった。プロモーションビデオの再現だ。
佐久弥の生まれ変わりを意味する。イメージで作り上げた世界で死んだ。赤い着物は佐久弥からあふれ出した血だ。長い袖は滴り落ちる血だ。佐久弥には、心のドアが存在するのだろうか?
ドアノブが存在しないのなら、こうすればいい。
この白い檻を蹴飛ばして起き上がろう。
バーーーン!
赤い着物を纏った"過去"が、白い檻を蹴飛ばした。
ダダダダダーーー!
花火と同時に幕が落ちた。赤い照明が舞台を包んだ。白い檻はどこにも存在しない。
ワーーーー!ワーーー!
スタンドマイクの前に影ができた。そして、夏樹が開幕のシャウトをあげた。
「……‥ray of light!……‥Get upーー!!」
ワーーーー!
スタートは成功か?
振り上げられた腕。ジャンプをして波打っている観客たちが、今夜のステージの答えだった。
「……‥See……‥with your own eyes--!」
白と赤のストロボ照明が観客席を差している。自分の立っている場所は、赤い光に包まれている。白い光が眩しい。観客の姿が見えない。ましてや自分の立っている方向も分からない。
目安になるのは、ボーカルの位置だ。リズムに乗せて身体を揺らしている。両手での表現がパフォーマンスだ。やがて前方に出る準備を始めた。
ワーーーー!ワーーー!ワーーー!
観客がリズムに合わせて、大きな掛け声を上げている。曲を覚えてくれているようだ。この楽曲の発売は11月17日で、先行配信分を受付で渡した。この短時間で覚えてくれたのか?それだけではないだろう。佐久弥の楽曲が身体に刻まれているからだ。
サクヤーーー!
佐久弥コールが大きくなった。リズムギターの佐久弥が前方に出てきた。精いっぱいのことをする。それを恩返しにしたい。
ガーーーータタタッタターーー!
「……‥See……‥with your own eyes--!」
ここからが光線銃へのステップだ。歌声にエフェクトがかかった。スタートだ。ギターフレーズを変化させた。これが夏樹と俺との合図だ。これなら爆音の中でも分かるからだ。
タタタッターーーー!
「……you life will pass…… you life will pass……Merry……go……‥round……‥3、2、1……」
キミの人生が通り過ぎると語りかけている。自分たちも同じだ。ギターフレーズを奏でながら、兄弟のことを思い浮かべた。
自分の鼓動のリズムを感じている。一秒がスローモーションのようだ。さらにギターフレーズを変化させた。開始の合図だ。夏樹が声を張り上げた。
「……‥I'll be your side ……いくぞーーー!兄弟ーーー!」
左腕を振り上げた。ドラム音、ギターフレーズの一秒未満の停止、背後、上部からの強い光、一瞬の輝き。全てのタイミングが合った。
バーーーーン!!
ワーーー!ナツキーー!ユーートーー!
なつきコール、ゆうとコールが起こった。認めてもらえた。最後まで駆け抜けたあと、出来るだけ多くの人の顔を覚えて帰ろう。いつかステージで再会した時に、手を振りたいからだ。
兄弟たちに声を届けたい。その手伝いができた。両目から溢れ出したものが証だ。この高い場所から大きく手を振った。ひとつの涙も溢さずに、微笑みながら待っている人に。俺がぽたぽたと涙を流してもいいように。そして、目の前に広がる光景を、この目に焼きつけた。
……3、2、1……
静まり返った会場内からは、観客の息づかいが聞こえている。固唾を飲んでいる人、楽しみにワクワクしている人、それぞれだろう。
共通しているのは、今夜、同じ場所で時間を過ごしていることだ。みんなでステージを作り上げる。それを目的に立っている。俺たちは作品の発表担当だ。
ステージ上の前方と後方の間に黒い幕が下りている。その前に立っている。上部から真っ直ぐに差し込んでいる白い光がある。何本も並んでいるから、白い檻のようだ。観客席からもそう見えるだろう。その奥で、夏樹が日本舞踊の形を取っている。
……カタン、デンデン……シャンシャンシャン……
佐久弥が弾く三味線の音が、会場内に響いている。このステージだけのバージョンだ。シンと静まり返ったなか、三味線のリズムに合わせて踊っている夏樹がいる。
俺の方からは、赤い着物が白く輝いている。銀糸を織り込まれた生地だからだ。夏樹が力強く舞っている。
……デンデンデン……シャンシャンシャン……
次第にリズムが速くなっていく。もう一度、開幕メッセージが流れ始めて、早送りのように流れされていく。そして、最後の『ゼロ』のカウントが告げられた。
ガーーーーーーー!
佐久弥のギターフレーズが鳴り響き、夏樹の赤い着物が脱ぎ捨てられた。そして、斜めに身体を向けて”女性形”で立っていたものを、正面に向いて”男性形の踊り手”に変わった。プロモーションビデオの再現だ。
佐久弥の生まれ変わりを意味する。イメージで作り上げた世界で死んだ。赤い着物は佐久弥からあふれ出した血だ。長い袖は滴り落ちる血だ。佐久弥には、心のドアが存在するのだろうか?
ドアノブが存在しないのなら、こうすればいい。
この白い檻を蹴飛ばして起き上がろう。
バーーーン!
赤い着物を纏った"過去"が、白い檻を蹴飛ばした。
ダダダダダーーー!
花火と同時に幕が落ちた。赤い照明が舞台を包んだ。白い檻はどこにも存在しない。
ワーーーー!ワーーー!
スタンドマイクの前に影ができた。そして、夏樹が開幕のシャウトをあげた。
「……‥ray of light!……‥Get upーー!!」
ワーーーー!
スタートは成功か?
振り上げられた腕。ジャンプをして波打っている観客たちが、今夜のステージの答えだった。
「……‥See……‥with your own eyes--!」
白と赤のストロボ照明が観客席を差している。自分の立っている場所は、赤い光に包まれている。白い光が眩しい。観客の姿が見えない。ましてや自分の立っている方向も分からない。
目安になるのは、ボーカルの位置だ。リズムに乗せて身体を揺らしている。両手での表現がパフォーマンスだ。やがて前方に出る準備を始めた。
ワーーーー!ワーーー!ワーーー!
観客がリズムに合わせて、大きな掛け声を上げている。曲を覚えてくれているようだ。この楽曲の発売は11月17日で、先行配信分を受付で渡した。この短時間で覚えてくれたのか?それだけではないだろう。佐久弥の楽曲が身体に刻まれているからだ。
サクヤーーー!
佐久弥コールが大きくなった。リズムギターの佐久弥が前方に出てきた。精いっぱいのことをする。それを恩返しにしたい。
ガーーーータタタッタターーー!
「……‥See……‥with your own eyes--!」
ここからが光線銃へのステップだ。歌声にエフェクトがかかった。スタートだ。ギターフレーズを変化させた。これが夏樹と俺との合図だ。これなら爆音の中でも分かるからだ。
タタタッターーーー!
「……you life will pass…… you life will pass……Merry……go……‥round……‥3、2、1……」
キミの人生が通り過ぎると語りかけている。自分たちも同じだ。ギターフレーズを奏でながら、兄弟のことを思い浮かべた。
自分の鼓動のリズムを感じている。一秒がスローモーションのようだ。さらにギターフレーズを変化させた。開始の合図だ。夏樹が声を張り上げた。
「……‥I'll be your side ……いくぞーーー!兄弟ーーー!」
左腕を振り上げた。ドラム音、ギターフレーズの一秒未満の停止、背後、上部からの強い光、一瞬の輝き。全てのタイミングが合った。
バーーーーン!!
ワーーー!ナツキーー!ユーートーー!
なつきコール、ゆうとコールが起こった。認めてもらえた。最後まで駆け抜けたあと、出来るだけ多くの人の顔を覚えて帰ろう。いつかステージで再会した時に、手を振りたいからだ。
兄弟たちに声を届けたい。その手伝いができた。両目から溢れ出したものが証だ。この高い場所から大きく手を振った。ひとつの涙も溢さずに、微笑みながら待っている人に。俺がぽたぽたと涙を流してもいいように。そして、目の前に広がる光景を、この目に焼きつけた。
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