3 / 22
# act3 第1種ケア
しおりを挟む
意識が浮上した瞬間、びくっと体が強張った。
――やだっ、セシル先生じゃなきゃ……!
だが、自分を包む匂いは、気持ち悪くなるような甘い香りではなかった。
パリッとした洗剤とアイロンのあたたかさ、そして消毒液のスッとする刺激が混ざった匂い。
――これ、セシル先生だ。
安堵に包まれて、僕はふっと体の力を抜いた。
ゆっくりと感覚が戻ってきて、自分が抱きしめられていることに気づいた。
さらりとした清潔な白衣に頬を押し付ける。
「せんせ……」
自分の声が、風船のように軽い。
その瞬間、抱きしめている腕が硬直したのが分かった。
「ユウくん……こ、これは……」
「セシル先生、ずっとケアしてくれてた……」
「……!」
セシル先生は息を呑むように黙り込んだ。
「このケア……好き、気持ちいい……」
彼の手がぎこちなく頭に触れた。
そして、ゆっくりと撫でてくる。
「せんせ、ありがと……」
それから暫く、セシル先生の手は、ロボットのように髪を撫で続けてくれた。
けれどその手の温度は、僕の深層体温と同じくらい熱かった。
※ ※ ※
実験の日の夜、セシル先生からのメッセージが入っていた。
《Cecil:今日は実験お疲れ様でした。体調が悪い場合は返信をください》
事務的な文面。彼が少し距離を置きたがっている気がして、それには返信しなかった。
その文章と、この前の体温の剥離に、風邪を引きそうだ。
彼が……ラゼルのフェロモンで発情してしまった僕を、抱きしめてケアしてくれたことが忘れられない。
――セシル先生は決まったやり方で……医療的にケアしてくれただけなのに。
僕の体が勝手に〝勘違い〟してしまっている……。
それから数日後、次はもう少し柔らかい文章のメッセージが届いた。
《Cecil:ユウくん、実験の後の聞き取り調査をしたいから、病院までお願いできるかな》
《Youu:はい、明後日でもいいですか?》
《Cecil:20時以降だったら診療時間外だから、いつでもいいよ》
《Youu:じゃあ、20時30分頃にうかがいます》
《Cecil:ありがとう、待ってるね》
セシル先生からのメッセージが届くたびに、その音が心臓に響く。
やりとりが終わった後も、何度もメッセージ画面を開いてしまった。
何でもない文面なのに、文字を見つめていると、なぜか泣きたくなってくる。
もうすぐ会えると思うと、そわそわしてしまって、夜もよく眠れなかった。
そして聞き取りの日。
「ユウくん、改めて実験に協力してくれてありかとう。体調は大丈夫だったみたいだね」
診察室で、向かい合い、にこやかに言われて、反射的にぽうっとなってしまった。
青灰の目元が涼しげで、きっちりと着こなした白衣がとてもよく似合っている。
「だ、大丈夫です」
火照った頬を恥ずかしく思いながらセシル先生を見つめ返した。
彼は一瞬だけ視線をそらしたが、すぐに明るい表情でメモを開いた。
「じゃあ、実験のときに感じたことを話してくれるかな? まずはラゼルの印象から」
話を聞きながら、セシル先生のテンションはうなぎ上りになっていった。
「そっ、それで……アルファのフェロモンを浴びた時は……ふむふむ、そんな風に感じるんだね!
凄い、神秘的だ! オメガは素晴らしいね」
これが、彼が変人を通り越して、変態と言われるゆえんだ。
オメガの生殖やフェロモンの話になると食いつきが良すぎるし、根掘り葉掘り尋ねるし、愛用の皮の手帳にメモしまくっている。
僕は聞かれることにできるだけ丁寧にこたえながら、セシル先生の反応の良さに笑みをこぼした。
――そんな変態を可愛いと思ってしまう僕も、かなりおかしいに違いない。
やがてセシル先生はパチンと音をたてて手帳を閉じると、満足げに息をついた。
「ユウくんのおかげで、神秘にまた一歩、近づけたよ。
もし良かったら、次も実験をお願いしたいんだけど」
「はい、ぜひ」
迷いはなかった。
実験は怖い。
だけど、セシル先生の役に立ちたい。
僕は精一杯の勇気を振り絞って彼に尋ねてみた。
「あの、そんなにオメガに興味があるなら……もっと身近においたら……好きなように観察できるのでは?」
セシル先生に恋人はいないらしい。
患者と個人的な関係はもたないと言っていたが、もし彼のフェロモンが無くてもいいというオメガがいたら……どうだろうか。
「それはオメガを〝飼う〟ということかな?」
「は、はあ……」
彼には恋人がいないのではなく、最初から恋人という概念が無いのかもしれない。
「そういった人権を無視する行為は、最近では見直されつつあるね。
オメガも、等級Ⅴの実験体での契約をしてくれるような子はいないだろう。
……だがもし、私の好きにできるオメガがいたら……私の傍において、ずっとその生態を観察したい。
ずっとオメガの神秘を見ていられるなんて、なんて幸福なことだろう……」
彼はうっとりとため息をついた。
さすがセシル先生、その変態性には迷いがない。
実験体……あの契約書に書かれていた、一番下の等級。
所有物とみなされ、人格保証・拒否権限なし
その文字を見た時はさすがにぞっとした。
――もし僕が、実験体として契約していたら、セシル先生はどのように扱ったんだろうか。
「そういえば、君は……」
ふとセシル先生は何かを言いかけて、言葉を呑み込んだ。
「……どうしましたか?」
「いや、その、何だか個人的なことに踏み込んでしまうとよくない気がして」
「いいですよ、言ってください」
「ああ、その……君はいま、特定の相手はいないと言っていたが……ラゼルとかはどう思う?」
セシル先生の口からその名前が出るなんて、胸がギシリと傷んだ。
二人きりの世界の中に、力づくで割り込まれるような不快感をおぼえる。
「……何とも思っていません」
ついぶっきらぼうに言ってしまったが、彼は気にせずに話し続けた。
「この前の実験のとき、君が……とても純粋に見えて、心を動かされたみたいなんだ。
彼は昔の私の同級生でね、ああ見えて頭はいいし……」
脈が無いのは分かっていたが、まさか他のアルファをあてがうようなことを言ってくるなんて、思いもしなかった。
苦しくて、呼吸が思うようにできない。
……でもセシル先生まで苦しそうに見えるのは何故だろう。
「……ティアBのフェロモン強度をもつ、理想的なアルファだ」
セシル先生の長くて形のいい指が、ぎゅっと握り込まれた。
「君もきっと、そういうアルファが好きだろう……?」
――違う!
強烈な反発心が沸き起こってきて、涙が出そうになった。
そうか、僕は……僕が好きなのは……目の前の、この人。
彼はアルファと恋愛するオメガを観察することが好きなのに、僕が好きなのは、その観察者なんだ……。
セシル先生は不安そうな顔をしていた。早く返事をしてあげないといけない。
頑張って出した声は、他人のもののように聞こえた。
「……僕は、もう恋愛はしません」
セシル先生は驚いたように僕を見ている。
「ずっとフェロモンに振り回されて……好きになっても、浮気してないか不安ばかりで……。
嫉妬すると重いって捨てられるし……。
だからもう、〝恋人〟っていう関係は怖いんです」
「…………」
「僕は、先生との〝契約〟のほうが落ち着きます」
「ユウくん、君は……」
セシル先生はそれ以上、なにも言わなかった。
※ ※ ※
セシル先生から指定された二回目の実験の日、僕は診察台に腰かけて、手首にバンドを巻かれていた。
「これはバイタルモニタリングバンド。心拍、血圧、表皮温度、震えや発汗量までわかるんだ。
つぎは血中ホルモン採取パッチ。マイクロニードル付きだから、ちょっとチクッとするよ」
楽しそうに説明しながら、どんどん器具を取り付けられていく。
「血の成分までずっとモニタリングしてるんですね」
「そうだよ、オメガの血液中には、アルファのフェロモンに耐性をもつタンパク質があるんだ。その量がとても大切なんだよ。
……ほら、君はいつも正常値だ。理想的だね」
「ということは、耐性が高かったら、アルファのフェロモンに反応しにくいってことですか?」
「いいところに気づいたね。その通りだよ」
「……じゃあ、高いほうがよかったな……」
ぼそりとつぶやくと、セシル先生は薄く微笑んだ。
「でも、もし君の耐性値が高かったら、この実験には適合しない」
「そっかぁ」
じゃあ、これでよかったのかな……。
というか、そもそも『この実験』ってなんの実験なんだろう。
セシル先生からは「この実験は完全に私の個人的な興味を満たすだけのもの」という説明しか受けていない。
実験の目的なんて関係ないし、ただ彼の役に立ちたかっただけだけど……。
なんとなく気になり始めてきた。
セシル先生のことだから、アルファのフェロモンを浴びたオメガを観察する、というだけの目的かもしれない。
実験を始める前は、彼の目的が何であろうと気にならなかった。
だが、セシル先生への気持ちに気付いてしまったいま、彼の前で他のアルファに支配されるのが、だんだん辛くなってきた。
この実験はどこまでやるんだろう。
……性交、まで……だろうか。
――僕があのラゼルっていうアルファのフェロモンでメロメロになって、体を許して……。
そんなところを、セシル先生に見られるとしたら……。
それだけは絶対に、絶対に嫌だ……!
しかし、署名した『等級Ⅳ 研究協力者』の項目には『性交を含む』と記載されていた。
その文字を思い浮かべると、背筋を恐怖が突き抜けていった。
あのときは深く考えていなかったが、とんでもない契約をしてしまったのかもしれない。
そのとき、試験室の扉が軽くノックされた。
「ラゼル、もう少し待ってくれ」
セシル先生はモニターをチェックすると、薬と水の入ったコップを僕のところに持ってきた。
「この薬を飲んでほしい」
「はい」
水と薬を受け取り、普通にそれを飲み込んだ。
「……あ」
セシル先生は小さく声を上げた。
「あれっ、まだ飲んじゃダメでした?」
「いいんだけど……どんな薬か聞かなくてよかったの?」
「聞いた方がいいなら……」
「いや、君がそれでいいなら手間が省けて助かる。じゃあ、始めるよ。ラゼル、入ってきてくれ」
ドアが開いて、ラゼルが顔を出した。
途端に、あのローズウッドに似た甘い香りが試験室の中を支配する。
「やっほー、久しぶり」
軽い感じで現れた彼は、その美しい肉体を誇示するかのように、タンクトップとジーンズというシンプルな出で立ちだった。
「今日もよろしくね、ユウ」
「はい……」
よろしくはしたくなかったが、僕は軽く頭を下げた。
この前のイメージが強くてつい身構えてしまうが、ラゼルは人当たりがいい普通のアルファだ。
彼も協力しているだけだし、あまり心を開かないのも申し訳ない。
しかし隣に座った僕から警戒心を感じたのか、ラゼルは苦笑した。
「驚いたな……俺のフェロモンを浴びたのに、まるで残ってないのか」
――いや、やっぱりなんか言い方がムカつく。
俺のって強調するところとか。
「……時間が経っているので」
「いや、あそこまでトロると、普通は刷り込みされる。隣に座っただけで、体が思い出してふわふわしたり……」
――それはたしかにあった。
セシル先生にだけど。
「あっ、もしかして誘発フェロモンへの耐性値が高いとか!?」
「ユウくんの耐性値はちょうど540。通常の範囲内だ」
セシル先生の冷静な声に、ラゼルは茶目っ気たっぷりに、ガックリとうなだれて見せた。
「え~、まじか! ショックだな」
「ずいぶん自信があるんですね」
「自信っていうか、いつものことだから。
誰でも火に触ったら火傷するだろ。それと同じように、俺のフェロモンを浴びて、なびかないオメガなんていない。
……いなかったんだよ」
その言葉が、もし得意そうに語られていたら鼻持ちならなかったかもしれない。
だが、彼の言葉は、過去を振り返るようにしんみりとしていた。
「だから、ショックだけど、ちょっと嬉しいかも。ずっと見飽きたドラマを繰り返してるみたいに、つまらなかったからさ」
「…………」
「でも、俺ってオメガに不自由したことねぇから、どうやってユウを口説けばいいかわかんないんだよな」
えっ、と思った瞬間。
「始めるぞ」
セシル先生の声はいつになく鋭かった。
「え~、もう始めてたんじゃなかったのか?」
「データを……取り忘れていた」
「うっそ! お前が?」
セシル先生は革製の手帳にボールペンをコツコツと当てた。
「今から開始だ、ラゼル。それとあくまでも会話は雑談だ。色恋が絡むとフェロモンだけの正確なデータが取れなくなる」
「俺が口説いても、ユウはぜんっぜんなびかないけどな……」
セシル先生はモニターを見つめていた。
「よし、耐性値が上がってきている。
上昇のデータを取れていればよかったが……仕方ない。
ラゼル、フェロモンの放出を頼む」
「オッケー」
ゆっくりと匂いが濃くなっていく。
その染み込むような甘い香りに、尾てい骨がブルっと震えた。
前回は意識が飛んでしまった。
この実験がどんどん過激になっていくのだとしたら、今回はもっと……?
「フェロモン濃度31 nAf。急激すぎる。もっと緩やかに」
「おいおい、コントロール難しいんだぞ
それでなくても、目の前に攻略対象がいるってのに」
ラゼルはにっと笑ってみせた。
この本気なんだか冗談なんだかわからないようなノリが、あまり好きじゃない。
「37 nAf。ユウくん、気分は?」
「普通です」
ラゼルはヒュッと唇を鳴らした。
「……すごっ、前はここで全力疾走した後みたいになっていたのに。フェロモン耐性値は?」
「開始前に730まで上がり、今は増減を繰り返しながら、減少傾向だ」
アルファを避けてきたから、こんなに至近距離で浴び続けるのは抵抗がある。
空気が重くなる気がして、呼吸が『飲み下す』ような質量を伴っている。
こくりと甘い空気を飲み込むと、それがもどかしい熱となって腹の奥に溜まっていく。
「……46 nAf。警戒域。ユウくん」
セシル先生の読み上げる数値が上がるごとに、かくん、かくんと階段状に内部が燃え上がっていく。
あまりに急激なために、体が取り残されてしまっていた。
「なんか、寒気がして……」
「発汗、震えが上昇。耐性値が下降に転じている」
指の先が冷たい。
高熱の時の寒気によく似た、気持ち悪さが背筋をはい回っている。
そして、それを制するように熱が外側から体を包み込む。
「63 nAf。ペースが速すぎる。
耐性値が急激に減少している。実験は中止だ!」
換気扇の音がゴオッと鳴り、部屋の空気が入れ替わっていく。
目の前がぼんやりしてきた。
部屋の風景が滲んで見える。
「ユウくん、中和剤を注射するよ」
腕にチクッとした刺激が走り、冷たい液体が侵入してきたのが分かった。
これからきっとケアをしてくれる。
やっとセシル先生に触ってもらえるんだ……
「おっ、おい……」
「あとは私がやる」
白衣の腕に支えられて、ほっとした。
消毒液のバリアで守られているみたいだ。気分が落ち着いてくる。
「大丈夫かよ……お前、ちょっと……この前も」
「今回はしっかりやる。
何よりもオメガの安定を優先。触れるのは背中のみ。情緒的な接触は避ける」
気を失うほどではないが、フェロモンにやられて頭がぼんやりしてしまっていた。
二人の会話がさざ波のように遠くに聞こえる。
「お前はもう行っていい」
「……へいへい。どうせフェロモンにしか用はないからな」
笑いを含んだ声が立ち上がり、ドアが閉まる音が聞こえた。
「ユウくん、落ち着いて、気を楽にして」
優しい声。
背を手のひらで支えられて、縮こまっていた体がすっと伸びた。
あれっ、この前みたいにぎゅってしてくれないのかな。
してほしいな……頑張ったから。
「よし、バイタルは安定傾向にある。あと少し……」
その言葉に、目がゆっくりと開いた。
ぼんやりと見えている白衣に両手を伸ばして微笑んだ。
「せんせ……ぎゅってして」
揺れる視界の中で、セシル先生は驚いたように目を見開いて、硬直していた。
ほんの少しの間があいて、
「せんせ?」
小さく声をかけると、セシル先生は『戻って』きたようだ。
「あ、ああ、そういった情緒的な接触は……」
「この前してくれたの……凄く気持ちよかった……安心した」
「そうか……安定……マニュアルにも『情緒の安定のため、個体に合わせた柔軟な接触を認める』と書かれていた……」
至近距離で見つめてきたセシル先生の青灰の瞳が、水分を内包する曇り空のように揺れている。
きっと、もうすぐ雨が降るんだ。
「いま、どきどきしちゃってるから……ぎゅって、して」
「……またユウくんの心拍が上がってきたね……。もう少しだけ、鎮める必要がある。
オメガの安定のために……これは、必要な……処方」
白衣の腕が自分を包み込むのを感じて、僕は深く幸せな息をついた。
※ ※ ※
――セシルside――
【観察記録:No.002(抜粋)】
第1種ケア後、被験体は再び私への接触を要求。
情緒安定を目的に接触を許可したが、結果として過剰な身体的接触となった可能性あり。
研究者として行動基準を逸脱したことを記す。対象は安心を示し、発情反応は鎮静。次回以降、距離の再定義が必要。
【END】
腕の中のユウの体は柔らかく、ふわりと甘い香りがした。
桃とミルクを混ぜたような、そそられる匂いだ。
これが、君のオメガフェロモンの香りなのか。
「……ユウくん、だめだよね、これ……」
セシルはユウの髪に顔を埋めて、言い訳のように呟いた。
言葉とは裏腹に、その手はしっかりとユウの体を抱きしめていた。
――やだっ、セシル先生じゃなきゃ……!
だが、自分を包む匂いは、気持ち悪くなるような甘い香りではなかった。
パリッとした洗剤とアイロンのあたたかさ、そして消毒液のスッとする刺激が混ざった匂い。
――これ、セシル先生だ。
安堵に包まれて、僕はふっと体の力を抜いた。
ゆっくりと感覚が戻ってきて、自分が抱きしめられていることに気づいた。
さらりとした清潔な白衣に頬を押し付ける。
「せんせ……」
自分の声が、風船のように軽い。
その瞬間、抱きしめている腕が硬直したのが分かった。
「ユウくん……こ、これは……」
「セシル先生、ずっとケアしてくれてた……」
「……!」
セシル先生は息を呑むように黙り込んだ。
「このケア……好き、気持ちいい……」
彼の手がぎこちなく頭に触れた。
そして、ゆっくりと撫でてくる。
「せんせ、ありがと……」
それから暫く、セシル先生の手は、ロボットのように髪を撫で続けてくれた。
けれどその手の温度は、僕の深層体温と同じくらい熱かった。
※ ※ ※
実験の日の夜、セシル先生からのメッセージが入っていた。
《Cecil:今日は実験お疲れ様でした。体調が悪い場合は返信をください》
事務的な文面。彼が少し距離を置きたがっている気がして、それには返信しなかった。
その文章と、この前の体温の剥離に、風邪を引きそうだ。
彼が……ラゼルのフェロモンで発情してしまった僕を、抱きしめてケアしてくれたことが忘れられない。
――セシル先生は決まったやり方で……医療的にケアしてくれただけなのに。
僕の体が勝手に〝勘違い〟してしまっている……。
それから数日後、次はもう少し柔らかい文章のメッセージが届いた。
《Cecil:ユウくん、実験の後の聞き取り調査をしたいから、病院までお願いできるかな》
《Youu:はい、明後日でもいいですか?》
《Cecil:20時以降だったら診療時間外だから、いつでもいいよ》
《Youu:じゃあ、20時30分頃にうかがいます》
《Cecil:ありがとう、待ってるね》
セシル先生からのメッセージが届くたびに、その音が心臓に響く。
やりとりが終わった後も、何度もメッセージ画面を開いてしまった。
何でもない文面なのに、文字を見つめていると、なぜか泣きたくなってくる。
もうすぐ会えると思うと、そわそわしてしまって、夜もよく眠れなかった。
そして聞き取りの日。
「ユウくん、改めて実験に協力してくれてありかとう。体調は大丈夫だったみたいだね」
診察室で、向かい合い、にこやかに言われて、反射的にぽうっとなってしまった。
青灰の目元が涼しげで、きっちりと着こなした白衣がとてもよく似合っている。
「だ、大丈夫です」
火照った頬を恥ずかしく思いながらセシル先生を見つめ返した。
彼は一瞬だけ視線をそらしたが、すぐに明るい表情でメモを開いた。
「じゃあ、実験のときに感じたことを話してくれるかな? まずはラゼルの印象から」
話を聞きながら、セシル先生のテンションはうなぎ上りになっていった。
「そっ、それで……アルファのフェロモンを浴びた時は……ふむふむ、そんな風に感じるんだね!
凄い、神秘的だ! オメガは素晴らしいね」
これが、彼が変人を通り越して、変態と言われるゆえんだ。
オメガの生殖やフェロモンの話になると食いつきが良すぎるし、根掘り葉掘り尋ねるし、愛用の皮の手帳にメモしまくっている。
僕は聞かれることにできるだけ丁寧にこたえながら、セシル先生の反応の良さに笑みをこぼした。
――そんな変態を可愛いと思ってしまう僕も、かなりおかしいに違いない。
やがてセシル先生はパチンと音をたてて手帳を閉じると、満足げに息をついた。
「ユウくんのおかげで、神秘にまた一歩、近づけたよ。
もし良かったら、次も実験をお願いしたいんだけど」
「はい、ぜひ」
迷いはなかった。
実験は怖い。
だけど、セシル先生の役に立ちたい。
僕は精一杯の勇気を振り絞って彼に尋ねてみた。
「あの、そんなにオメガに興味があるなら……もっと身近においたら……好きなように観察できるのでは?」
セシル先生に恋人はいないらしい。
患者と個人的な関係はもたないと言っていたが、もし彼のフェロモンが無くてもいいというオメガがいたら……どうだろうか。
「それはオメガを〝飼う〟ということかな?」
「は、はあ……」
彼には恋人がいないのではなく、最初から恋人という概念が無いのかもしれない。
「そういった人権を無視する行為は、最近では見直されつつあるね。
オメガも、等級Ⅴの実験体での契約をしてくれるような子はいないだろう。
……だがもし、私の好きにできるオメガがいたら……私の傍において、ずっとその生態を観察したい。
ずっとオメガの神秘を見ていられるなんて、なんて幸福なことだろう……」
彼はうっとりとため息をついた。
さすがセシル先生、その変態性には迷いがない。
実験体……あの契約書に書かれていた、一番下の等級。
所有物とみなされ、人格保証・拒否権限なし
その文字を見た時はさすがにぞっとした。
――もし僕が、実験体として契約していたら、セシル先生はどのように扱ったんだろうか。
「そういえば、君は……」
ふとセシル先生は何かを言いかけて、言葉を呑み込んだ。
「……どうしましたか?」
「いや、その、何だか個人的なことに踏み込んでしまうとよくない気がして」
「いいですよ、言ってください」
「ああ、その……君はいま、特定の相手はいないと言っていたが……ラゼルとかはどう思う?」
セシル先生の口からその名前が出るなんて、胸がギシリと傷んだ。
二人きりの世界の中に、力づくで割り込まれるような不快感をおぼえる。
「……何とも思っていません」
ついぶっきらぼうに言ってしまったが、彼は気にせずに話し続けた。
「この前の実験のとき、君が……とても純粋に見えて、心を動かされたみたいなんだ。
彼は昔の私の同級生でね、ああ見えて頭はいいし……」
脈が無いのは分かっていたが、まさか他のアルファをあてがうようなことを言ってくるなんて、思いもしなかった。
苦しくて、呼吸が思うようにできない。
……でもセシル先生まで苦しそうに見えるのは何故だろう。
「……ティアBのフェロモン強度をもつ、理想的なアルファだ」
セシル先生の長くて形のいい指が、ぎゅっと握り込まれた。
「君もきっと、そういうアルファが好きだろう……?」
――違う!
強烈な反発心が沸き起こってきて、涙が出そうになった。
そうか、僕は……僕が好きなのは……目の前の、この人。
彼はアルファと恋愛するオメガを観察することが好きなのに、僕が好きなのは、その観察者なんだ……。
セシル先生は不安そうな顔をしていた。早く返事をしてあげないといけない。
頑張って出した声は、他人のもののように聞こえた。
「……僕は、もう恋愛はしません」
セシル先生は驚いたように僕を見ている。
「ずっとフェロモンに振り回されて……好きになっても、浮気してないか不安ばかりで……。
嫉妬すると重いって捨てられるし……。
だからもう、〝恋人〟っていう関係は怖いんです」
「…………」
「僕は、先生との〝契約〟のほうが落ち着きます」
「ユウくん、君は……」
セシル先生はそれ以上、なにも言わなかった。
※ ※ ※
セシル先生から指定された二回目の実験の日、僕は診察台に腰かけて、手首にバンドを巻かれていた。
「これはバイタルモニタリングバンド。心拍、血圧、表皮温度、震えや発汗量までわかるんだ。
つぎは血中ホルモン採取パッチ。マイクロニードル付きだから、ちょっとチクッとするよ」
楽しそうに説明しながら、どんどん器具を取り付けられていく。
「血の成分までずっとモニタリングしてるんですね」
「そうだよ、オメガの血液中には、アルファのフェロモンに耐性をもつタンパク質があるんだ。その量がとても大切なんだよ。
……ほら、君はいつも正常値だ。理想的だね」
「ということは、耐性が高かったら、アルファのフェロモンに反応しにくいってことですか?」
「いいところに気づいたね。その通りだよ」
「……じゃあ、高いほうがよかったな……」
ぼそりとつぶやくと、セシル先生は薄く微笑んだ。
「でも、もし君の耐性値が高かったら、この実験には適合しない」
「そっかぁ」
じゃあ、これでよかったのかな……。
というか、そもそも『この実験』ってなんの実験なんだろう。
セシル先生からは「この実験は完全に私の個人的な興味を満たすだけのもの」という説明しか受けていない。
実験の目的なんて関係ないし、ただ彼の役に立ちたかっただけだけど……。
なんとなく気になり始めてきた。
セシル先生のことだから、アルファのフェロモンを浴びたオメガを観察する、というだけの目的かもしれない。
実験を始める前は、彼の目的が何であろうと気にならなかった。
だが、セシル先生への気持ちに気付いてしまったいま、彼の前で他のアルファに支配されるのが、だんだん辛くなってきた。
この実験はどこまでやるんだろう。
……性交、まで……だろうか。
――僕があのラゼルっていうアルファのフェロモンでメロメロになって、体を許して……。
そんなところを、セシル先生に見られるとしたら……。
それだけは絶対に、絶対に嫌だ……!
しかし、署名した『等級Ⅳ 研究協力者』の項目には『性交を含む』と記載されていた。
その文字を思い浮かべると、背筋を恐怖が突き抜けていった。
あのときは深く考えていなかったが、とんでもない契約をしてしまったのかもしれない。
そのとき、試験室の扉が軽くノックされた。
「ラゼル、もう少し待ってくれ」
セシル先生はモニターをチェックすると、薬と水の入ったコップを僕のところに持ってきた。
「この薬を飲んでほしい」
「はい」
水と薬を受け取り、普通にそれを飲み込んだ。
「……あ」
セシル先生は小さく声を上げた。
「あれっ、まだ飲んじゃダメでした?」
「いいんだけど……どんな薬か聞かなくてよかったの?」
「聞いた方がいいなら……」
「いや、君がそれでいいなら手間が省けて助かる。じゃあ、始めるよ。ラゼル、入ってきてくれ」
ドアが開いて、ラゼルが顔を出した。
途端に、あのローズウッドに似た甘い香りが試験室の中を支配する。
「やっほー、久しぶり」
軽い感じで現れた彼は、その美しい肉体を誇示するかのように、タンクトップとジーンズというシンプルな出で立ちだった。
「今日もよろしくね、ユウ」
「はい……」
よろしくはしたくなかったが、僕は軽く頭を下げた。
この前のイメージが強くてつい身構えてしまうが、ラゼルは人当たりがいい普通のアルファだ。
彼も協力しているだけだし、あまり心を開かないのも申し訳ない。
しかし隣に座った僕から警戒心を感じたのか、ラゼルは苦笑した。
「驚いたな……俺のフェロモンを浴びたのに、まるで残ってないのか」
――いや、やっぱりなんか言い方がムカつく。
俺のって強調するところとか。
「……時間が経っているので」
「いや、あそこまでトロると、普通は刷り込みされる。隣に座っただけで、体が思い出してふわふわしたり……」
――それはたしかにあった。
セシル先生にだけど。
「あっ、もしかして誘発フェロモンへの耐性値が高いとか!?」
「ユウくんの耐性値はちょうど540。通常の範囲内だ」
セシル先生の冷静な声に、ラゼルは茶目っ気たっぷりに、ガックリとうなだれて見せた。
「え~、まじか! ショックだな」
「ずいぶん自信があるんですね」
「自信っていうか、いつものことだから。
誰でも火に触ったら火傷するだろ。それと同じように、俺のフェロモンを浴びて、なびかないオメガなんていない。
……いなかったんだよ」
その言葉が、もし得意そうに語られていたら鼻持ちならなかったかもしれない。
だが、彼の言葉は、過去を振り返るようにしんみりとしていた。
「だから、ショックだけど、ちょっと嬉しいかも。ずっと見飽きたドラマを繰り返してるみたいに、つまらなかったからさ」
「…………」
「でも、俺ってオメガに不自由したことねぇから、どうやってユウを口説けばいいかわかんないんだよな」
えっ、と思った瞬間。
「始めるぞ」
セシル先生の声はいつになく鋭かった。
「え~、もう始めてたんじゃなかったのか?」
「データを……取り忘れていた」
「うっそ! お前が?」
セシル先生は革製の手帳にボールペンをコツコツと当てた。
「今から開始だ、ラゼル。それとあくまでも会話は雑談だ。色恋が絡むとフェロモンだけの正確なデータが取れなくなる」
「俺が口説いても、ユウはぜんっぜんなびかないけどな……」
セシル先生はモニターを見つめていた。
「よし、耐性値が上がってきている。
上昇のデータを取れていればよかったが……仕方ない。
ラゼル、フェロモンの放出を頼む」
「オッケー」
ゆっくりと匂いが濃くなっていく。
その染み込むような甘い香りに、尾てい骨がブルっと震えた。
前回は意識が飛んでしまった。
この実験がどんどん過激になっていくのだとしたら、今回はもっと……?
「フェロモン濃度31 nAf。急激すぎる。もっと緩やかに」
「おいおい、コントロール難しいんだぞ
それでなくても、目の前に攻略対象がいるってのに」
ラゼルはにっと笑ってみせた。
この本気なんだか冗談なんだかわからないようなノリが、あまり好きじゃない。
「37 nAf。ユウくん、気分は?」
「普通です」
ラゼルはヒュッと唇を鳴らした。
「……すごっ、前はここで全力疾走した後みたいになっていたのに。フェロモン耐性値は?」
「開始前に730まで上がり、今は増減を繰り返しながら、減少傾向だ」
アルファを避けてきたから、こんなに至近距離で浴び続けるのは抵抗がある。
空気が重くなる気がして、呼吸が『飲み下す』ような質量を伴っている。
こくりと甘い空気を飲み込むと、それがもどかしい熱となって腹の奥に溜まっていく。
「……46 nAf。警戒域。ユウくん」
セシル先生の読み上げる数値が上がるごとに、かくん、かくんと階段状に内部が燃え上がっていく。
あまりに急激なために、体が取り残されてしまっていた。
「なんか、寒気がして……」
「発汗、震えが上昇。耐性値が下降に転じている」
指の先が冷たい。
高熱の時の寒気によく似た、気持ち悪さが背筋をはい回っている。
そして、それを制するように熱が外側から体を包み込む。
「63 nAf。ペースが速すぎる。
耐性値が急激に減少している。実験は中止だ!」
換気扇の音がゴオッと鳴り、部屋の空気が入れ替わっていく。
目の前がぼんやりしてきた。
部屋の風景が滲んで見える。
「ユウくん、中和剤を注射するよ」
腕にチクッとした刺激が走り、冷たい液体が侵入してきたのが分かった。
これからきっとケアをしてくれる。
やっとセシル先生に触ってもらえるんだ……
「おっ、おい……」
「あとは私がやる」
白衣の腕に支えられて、ほっとした。
消毒液のバリアで守られているみたいだ。気分が落ち着いてくる。
「大丈夫かよ……お前、ちょっと……この前も」
「今回はしっかりやる。
何よりもオメガの安定を優先。触れるのは背中のみ。情緒的な接触は避ける」
気を失うほどではないが、フェロモンにやられて頭がぼんやりしてしまっていた。
二人の会話がさざ波のように遠くに聞こえる。
「お前はもう行っていい」
「……へいへい。どうせフェロモンにしか用はないからな」
笑いを含んだ声が立ち上がり、ドアが閉まる音が聞こえた。
「ユウくん、落ち着いて、気を楽にして」
優しい声。
背を手のひらで支えられて、縮こまっていた体がすっと伸びた。
あれっ、この前みたいにぎゅってしてくれないのかな。
してほしいな……頑張ったから。
「よし、バイタルは安定傾向にある。あと少し……」
その言葉に、目がゆっくりと開いた。
ぼんやりと見えている白衣に両手を伸ばして微笑んだ。
「せんせ……ぎゅってして」
揺れる視界の中で、セシル先生は驚いたように目を見開いて、硬直していた。
ほんの少しの間があいて、
「せんせ?」
小さく声をかけると、セシル先生は『戻って』きたようだ。
「あ、ああ、そういった情緒的な接触は……」
「この前してくれたの……凄く気持ちよかった……安心した」
「そうか……安定……マニュアルにも『情緒の安定のため、個体に合わせた柔軟な接触を認める』と書かれていた……」
至近距離で見つめてきたセシル先生の青灰の瞳が、水分を内包する曇り空のように揺れている。
きっと、もうすぐ雨が降るんだ。
「いま、どきどきしちゃってるから……ぎゅって、して」
「……またユウくんの心拍が上がってきたね……。もう少しだけ、鎮める必要がある。
オメガの安定のために……これは、必要な……処方」
白衣の腕が自分を包み込むのを感じて、僕は深く幸せな息をついた。
※ ※ ※
――セシルside――
【観察記録:No.002(抜粋)】
第1種ケア後、被験体は再び私への接触を要求。
情緒安定を目的に接触を許可したが、結果として過剰な身体的接触となった可能性あり。
研究者として行動基準を逸脱したことを記す。対象は安心を示し、発情反応は鎮静。次回以降、距離の再定義が必要。
【END】
腕の中のユウの体は柔らかく、ふわりと甘い香りがした。
桃とミルクを混ぜたような、そそられる匂いだ。
これが、君のオメガフェロモンの香りなのか。
「……ユウくん、だめだよね、これ……」
セシルはユウの髪に顔を埋めて、言い訳のように呟いた。
言葉とは裏腹に、その手はしっかりとユウの体を抱きしめていた。
26
あなたにおすすめの小説
氷の支配者と偽りのベータ。過労で倒れたら冷徹上司(銀狼)に拾われ、極上の溺愛生活が始まりました。
水凪しおん
BL
※この作品には、性的描写の表現が含まれています。18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。
オメガであることを隠し、メガバンクで身を粉にして働く、水瀬湊。
過労と理不尽な扱いで、心身ともに限界を迎えた夜、彼を救ったのは、冷徹で知られる超エリートα、橘蓮だった。
「君はもう、頑張らなくていい」
――それは、運命の番との出会い。
圧倒的な庇護と、独占欲に戸惑いながらも、湊の凍てついた心は、次第に溶かされていく。
理不尽な会社への華麗なる逆転劇と、極上に甘いオメガバース・オフィスラブ!
こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡
なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。
あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。
♡♡♡
恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!
学内一のイケメンアルファとグループワークで一緒になったら溺愛されて嫁認定されました
こたま
BL
大学生の大野夏樹(なつき)は無自覚可愛い系オメガである。最近流行りのアクティブラーニング型講義でランダムに組まされたグループワーク。学内一のイケメンで優良物件と有名なアルファの金沢颯介(そうすけ)と一緒のグループになったら…。アルファ×オメガの溺愛BLです。
守り守られ
ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師
患者 瀬咲朔
腸疾患・排泄障害・下肢不自由
看護師
ベテラン山添さん
準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん
木島 尚久 真幌の恋人同棲中
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる