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第二章 華甲二年の再会(後半)
動画の編集
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十二月初め、美矢子から彼等の動きが有嶺に知らされていた。
計画通り彼等のボスの家で録画データの一部を都合よく切り出して事実と違う印象を与えるように編集し、記者発表や訴訟を有利にするつもりだった。
おそらく比良野が眠っている間の弓美子の秘術と、目覚めたあとで比良野が名人芸で検査・処置したシーンはカットするのだろう。
いきなりぶっ倒れて眠ってしまい、短い眠りから覚めたら勝手に中止を決め処置もせずいきなり機器を片付けて患者を退出させ、そこで恐竜のごとく助手の若い美しいナースの体にむさぼりついたと見えるように編集するのだろう。
美矢子によると十一月始めの弓美子の検査翌日からの彼らの様子は以下のようであったという。
オリジナル動画は、検査翌日にはオジキの家で直ちに厳格に管理された。
新たに買ったパソコンにデジタルファイルとしてコピーされた。
作業をしていない保存中は特定の管理者以外そのファイルが見えないように、また他人がコピーできないようにファイル属性が変更された。
管理者パスワードはボスのオジキだけが知っている。
撮影したカメラの記録媒体は破壊された。
それから最大の難関である編集作業に着手した。
シーンの繋ぎ部分の状況次第では高度な手作業でデジタル編集する。
偽の時刻表示もスーパーインポーズしなければならない。
うっかり壁の時計が写り込んでいないか……
やりはじめてあまりに時間が掛かることに皆驚いた。
少しパソコンが解る者が調べると主記憶使用率が百パーセントに張り付いている。
そうか、メモリーを増設すればいいんだ。
追加メモリーの到着を待っているうちに数日を費やした。
再会すると多少はマシになったがやっぱり時間が掛かりすぎてとても間に合いそうもない。
CPU使用率が百パーセントに張り付いているのに気づいた。
いろいろ情報を当たるとグラフィップロセッサがあればいいとわかった。
今度は発注してから届くまでに一週間掛かった。
作業が完了したと思うたびに些細な見落としが見つかって何度も時間を掛けて作り直した。
結局徹夜突貫工事は何やかやで当初の予定から半月遅れて十一月末にやっと完成した。
予想の何倍もの期間がかかったことに皆が驚いた。
当時は偽動画を作ることは大そう困難で、ゆえに動画の証拠能力は絶対的と思われていたのでオジキ達は頑張って偽動画を作りあげた。
その間十一月中旬に既に選挙は終わり、布沢は落選していた。
「でもなんか変なの。布沢君が落選したのに皆平然としていて誰も落胆していないの」
「何かプランがあるな。それを教えないということは、君は疑われているかもしれない。早く逃げないとバレて恐ろしいことになる。だがここに最後の頼みがある。これこそ切り札だ。何とかやり遂げて欲しい」
検査日のあとからずっと考えていた有嶺はある方法を思いついていた。
美矢子にあるソフトを仕込んだメモリー媒体と手順を書いたメモを渡した。
「これでコピー禁止に設定された動画ファイルでもコピーできる」
「やるわ!」
美矢子がチャンスを窺っていると十二月初めになってやっとパソコンが空いた。
普通ならOS立ち上がり途中でオジキが管理者パスワードを入力するので、オジキ以外はパソコンを立ち上げできない。
ところがそこより前のBIOS段階で美矢子は有嶺から渡された小さな媒体に入った別種のOSに切り替えて立ち上げてしまった。
そのOSではオジキが隠したファイルも丸見えになった。
コピー禁止ガードも外され、オリジナル無編集動画ファイルが何の問題も無くコピー出来てしまった。
直ちに美矢子から例の高級宝飾店の女店長を通して渡された。
女店長は少女のようににこにこしていた。
有嶺は自重して、色気たっぷりのきゃしゃな首とうなじを舐めるように見ただけですぐ帰って動画を調べた。
後日、美矢子と連絡が取れた。
「動画のコピーは届いた?」
「見たよ。君の大殊勲だ。あとで何が起ころうとこれが決定的な反証になる」
「ところでちょっと」
有嶺はここで初めて敵の首魁オジキのことを聞いた。
オジキは有嶺達の高校の校長夢沢十志夫氏に歳、風貌ともに似ているらしい。
久し振りに思い出したせいか、夢沢校長はその日有嶺の夢の中に出てきた。
彼は夢劇団を主宰し座長をしている。
醜女たちが躍っている中で有嶺を柱に縛り火あぶりの刑にするという。
夢沢座長が寄ってきてニンマリ笑う。
いつのまにか演劇ではなく本物の処刑になっていた。
何とかしなければ、と思って夢沢座長に何度も頭突きをくらわすと目が覚めた。
横のタンスに頭をぶつけていた。これは老化の兆候、有嶺は少し気落ちした。
計画通り彼等のボスの家で録画データの一部を都合よく切り出して事実と違う印象を与えるように編集し、記者発表や訴訟を有利にするつもりだった。
おそらく比良野が眠っている間の弓美子の秘術と、目覚めたあとで比良野が名人芸で検査・処置したシーンはカットするのだろう。
いきなりぶっ倒れて眠ってしまい、短い眠りから覚めたら勝手に中止を決め処置もせずいきなり機器を片付けて患者を退出させ、そこで恐竜のごとく助手の若い美しいナースの体にむさぼりついたと見えるように編集するのだろう。
美矢子によると十一月始めの弓美子の検査翌日からの彼らの様子は以下のようであったという。
オリジナル動画は、検査翌日にはオジキの家で直ちに厳格に管理された。
新たに買ったパソコンにデジタルファイルとしてコピーされた。
作業をしていない保存中は特定の管理者以外そのファイルが見えないように、また他人がコピーできないようにファイル属性が変更された。
管理者パスワードはボスのオジキだけが知っている。
撮影したカメラの記録媒体は破壊された。
それから最大の難関である編集作業に着手した。
シーンの繋ぎ部分の状況次第では高度な手作業でデジタル編集する。
偽の時刻表示もスーパーインポーズしなければならない。
うっかり壁の時計が写り込んでいないか……
やりはじめてあまりに時間が掛かることに皆驚いた。
少しパソコンが解る者が調べると主記憶使用率が百パーセントに張り付いている。
そうか、メモリーを増設すればいいんだ。
追加メモリーの到着を待っているうちに数日を費やした。
再会すると多少はマシになったがやっぱり時間が掛かりすぎてとても間に合いそうもない。
CPU使用率が百パーセントに張り付いているのに気づいた。
いろいろ情報を当たるとグラフィップロセッサがあればいいとわかった。
今度は発注してから届くまでに一週間掛かった。
作業が完了したと思うたびに些細な見落としが見つかって何度も時間を掛けて作り直した。
結局徹夜突貫工事は何やかやで当初の予定から半月遅れて十一月末にやっと完成した。
予想の何倍もの期間がかかったことに皆が驚いた。
当時は偽動画を作ることは大そう困難で、ゆえに動画の証拠能力は絶対的と思われていたのでオジキ達は頑張って偽動画を作りあげた。
その間十一月中旬に既に選挙は終わり、布沢は落選していた。
「でもなんか変なの。布沢君が落選したのに皆平然としていて誰も落胆していないの」
「何かプランがあるな。それを教えないということは、君は疑われているかもしれない。早く逃げないとバレて恐ろしいことになる。だがここに最後の頼みがある。これこそ切り札だ。何とかやり遂げて欲しい」
検査日のあとからずっと考えていた有嶺はある方法を思いついていた。
美矢子にあるソフトを仕込んだメモリー媒体と手順を書いたメモを渡した。
「これでコピー禁止に設定された動画ファイルでもコピーできる」
「やるわ!」
美矢子がチャンスを窺っていると十二月初めになってやっとパソコンが空いた。
普通ならOS立ち上がり途中でオジキが管理者パスワードを入力するので、オジキ以外はパソコンを立ち上げできない。
ところがそこより前のBIOS段階で美矢子は有嶺から渡された小さな媒体に入った別種のOSに切り替えて立ち上げてしまった。
そのOSではオジキが隠したファイルも丸見えになった。
コピー禁止ガードも外され、オリジナル無編集動画ファイルが何の問題も無くコピー出来てしまった。
直ちに美矢子から例の高級宝飾店の女店長を通して渡された。
女店長は少女のようににこにこしていた。
有嶺は自重して、色気たっぷりのきゃしゃな首とうなじを舐めるように見ただけですぐ帰って動画を調べた。
後日、美矢子と連絡が取れた。
「動画のコピーは届いた?」
「見たよ。君の大殊勲だ。あとで何が起ころうとこれが決定的な反証になる」
「ところでちょっと」
有嶺はここで初めて敵の首魁オジキのことを聞いた。
オジキは有嶺達の高校の校長夢沢十志夫氏に歳、風貌ともに似ているらしい。
久し振りに思い出したせいか、夢沢校長はその日有嶺の夢の中に出てきた。
彼は夢劇団を主宰し座長をしている。
醜女たちが躍っている中で有嶺を柱に縛り火あぶりの刑にするという。
夢沢座長が寄ってきてニンマリ笑う。
いつのまにか演劇ではなく本物の処刑になっていた。
何とかしなければ、と思って夢沢座長に何度も頭突きをくらわすと目が覚めた。
横のタンスに頭をぶつけていた。これは老化の兆候、有嶺は少し気落ちした。
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