婚約破棄令嬢ですが、公爵様が溺愛してくださいます!

安奈

文字の大きさ
19 / 26

19話 お寿司のお店 その3

しおりを挟む
 お寿司のお店で聞こえて来る噂話……? じゃなくて、明らかに聞き覚えのある声の正体を私は考えていた。いえ、普通に考えれば答えは一つしかないんだけれど、信じた私がバカだったというか……はあ。


「ライジング公爵、お食事中失礼かとは思いますが……」

「どうした、ファリーナ?」


「あの……先ほどから聞こえて来る、非常に聞き覚えのある声の主を突き止めたいと思いまして……」


 私は昼食の席に水を差すようで悪い気はしていたけれど、気になって仕方ないのでライジング公爵に伝えてみた。




-------------------------------



「いや~~~ファリーナちゃんのことが心配でな~~~! これも親心ってやつやで?」


「お父様……ライジング公爵の御前ですよ……?」


 私に内緒で尾行をしていたお父様。とりあえず、軽い罰としてライジング公爵を引き合いに出してみた。


「ああ……それは、叶わんな、ファリーナちゃん……」


 普段は陽気なお父様も、流石にライジング公爵の前では静かになっていた。それから、メイサとシルの二人にも私は睨みを利かせる。


「ひっ……!」


「わ、私達もファリーナが心配で……!」


 私も別に怒っているわけではなかったけれど、とりあえずメイサとシルには無言の圧力を掛けておいた。私のことを心配してくれたのは事実だろうけど、楽しんで行っていたのも事実だろうし……。


「ははは、ファリーナ。なかなか面白い知り合いが多いな貴殿には。この関係は大切にされた方が良いと思うぞ?」


 ライジング公爵自身はとても上機嫌だった。お父様やメイサ、シルが尾行していたことを咎めるつもりは一切ないらしい。まあ、ライジング公爵が怒ることではないのは確かかもしれないけれど……。私はとりあえず、お父様たちを睨んでしかめっ面をしてみせた。


「いや、ほんまに堪忍やて、ファリーナちゃん……」

「ファリーナ、ごめんなさい……」

「ホントにゴメン……」


 神妙な態度の3人。私は内心では特に怒っていなかったのだけれど、3人とも本当に反省しているようなので、こういう態度を取って正解だったわね。やっぱり、なあなあになってもおかしいし。


「わかったわ……今回の件については許します……次はありませんけどね?」

「ひいっ!」


 最後に3人はとても狼狽した表情を見せていた……。


--------------------------


 それから話は一段落し、お父様たちは帰るのかと思いきや……


「そういえば、ライジング公爵。お話しがあるんですが……」

「バロンド・オルスト伯爵自ら、私にですか……? なんでしょうか?」


 ライジング公爵は本来はお父様よりかなり上の存在にはなるはずだけれど、私の父親という観点からか、敬語で話していた。二人はその後、店から出て行く……。

「えっ? 一体なんなの……?」

「ファリーナこれって……」

「ただごとじゃないわよね……」


 メイサとシルも二人が出て行ったことに心配の表情を浮かべていた。私も一抹の不安が頭をよぎった瞬間でもあった。


 
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました

鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」 そう言ったのは、王太子アレス。 そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。 外交も財政も軍備も―― すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。 けれど功績はすべて王太子のもの。 感謝も敬意も、ただの一度もない。 そして迎えた舞踏会の夜。 「便利だったが、飾りには向かん」 公開婚約破棄。 それならば、とレイナは微笑む。 「では業務も終了でよろしいですね?」 王太子が望んだ通り、 彼女は“確認”をやめた。 保証を外し、責任を返し、 そして最後に―― 「ご確認を」と差し出した書類に、 彼は何も読まずに署名した。 国は契約で成り立っている。 確認しない者に、王の資格はない。 働きたくない公爵令嬢と、 責任を理解しなかった王太子。 静かな契約ざまぁ劇、開幕。 ---

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

家出を決行した結果

恋愛
フィービーの婚約者ミゲルには大切な幼馴染がいる。病弱な幼馴染をいつも優先するミゲルや母が亡くなって以降溝が出来てしまった父と兄との関係にフィービーは疲れていた。 デートの約束をしてもいつも直前になって幼馴染を理由にキャンセルされ、幼馴染にしか感情を見せないミゲルを、フィービーを見ようとしない父や兄を捨てる決心をしたフィービーは侍女や執事の手を借りて家出を決行した。 自分を誰も知らない遠い場所へ行ったフィービーは、新しい人生の幕開けに期待に胸を躍らせた。 ※なろうさんにも公開しています。

「お前を愛することはない」と言われたお飾りの妻ですが、何か?

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することはない!」「そんな事を言うために女性の寝室に押し入ったのですか? もう寝るつもりで化粧を落として髪をほどいて寝着に着替えてるのに! 最っ低!」 仕事大好き女が「お飾りの妻最高!」と恋愛感情無しで結婚したらこうなるよね、というお話。

崖からポイ捨てされた不運令嬢ですが、銀髪イケメン竜王に『最愛の伴侶』としてスカウトされました!

有賀冬馬
恋愛
不作も天災も、全部わたしのせい!? 「不運な女」と虐げられ、生贄として崖から捨てられたわたし、ミラ。 でも、落ちた先で待っていたのは、まぶしいほど綺麗な銀髪の竜王・アルベルト様でした! 「君がいたから、この国は守られていたんだよ」 えっ、わたしって実はすごい聖女だったの!? 竜宮城で贅沢三昧&溺愛生活スタート! そんな中、わたしを捨てて大ピンチになった元婚約者が「ミラ、戻ってきて!」と泣きついてきて……。

投資の天才”を名乗る臣民たちよ。 その全財産、確かに受け取った。 我が民のために活かそう』 〜虚飾を砕く女王の経済鉄槌〜

しおしお
恋愛
バブルに沸くアルビオン王国。 「エルドラド株」を持たぬ者は時代遅れ―― そう嘲笑いながら、実体のない海外権益へ全財産を注ぎ込む貴族たち。 自らを“投資の天才”と称し、増税に苦しむ民を見下す日々。 若き女王リリアーナは、その狂騒を静かに見つめていた。 やがて始まる王室監査。 暴かれる虚偽契約。 崩れ落ちる担保。 連鎖する破綻。 昨日まで「時代の勝者」を気取っていた特権階級は、一夜にして無一文へ。 泣きつく彼らに、女王はただ微笑む。 ――“皆様の尊いご投資、確かに受け取りましたわ” 没収された富は国庫へ。 再配分された資源は民へ。 虚飾を砕き、制度を再設計し、王国を立て直す。 これは復讐譚ではない。 清算と再建の物語。 泡沫の王国に、女王の鉄槌が下される。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

処理中です...