婚約破棄されたけど、妹と幼馴染が優しすぎる件

安奈

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16話 婚約発表 その2

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 ラーナとウイング王太子殿下の婚約発表は、まさかのタイミングで行われることになった。周囲の貴族、及びセドルやシャズナなど……驚いていない人は居ないといっても過言ではないわね。


「王太子殿下と、ラーナ子爵令嬢が……!?」

「婚約……!?」


「凄い身分差というか……階級差と言えばいいのかな?」


「敢えて階級の離れている者を選ぶ王太子殿下の度量が伺えるな……素晴らしい!」


「おめでとうございます~~~~!!」


 様々な反応があるようだけれど、意外にも好意的な意見が多いようだった。周囲の貴族たちは一斉に盛り上がっている。拍手喝采といったところかな?


「なんだか、凄いことになってますね……これは意外でした……」


「ホンマやな……もっと、悪い反応になるかと思ってたけれど……」


 言葉が出て来ていないセドル、シャズナを無視した状態で、二人は周囲の大歓声に応えるように大きく手を振っていた。そして、婚約が嘘ではないと知らせる、熱いキスまで交わして見せる。私は傍らでそんな二人を見ながら、恥ずかしさで視線を逸らしてしまっていた。


 だって、私とルークもほら……ゴニョゴニョなんだし……。


「ウェルナ……お前、知っていたのか……?」

「そ、そうよ……! こんな事実を隠していて……さぞ、優越感に浸っていたんでしょうね!」

「え……? なんですか、急に……」


 先ほどまで固まっていたセドルとシャズナの二人は、どうやら私に焦点を絞ったみたい。そりゃそうよね、妹のラーナは将来、国王陛下の正妃になる身なんだし、何も言えないわよね。

 でも、無理矢理、私に当たっているものだから、最早、支離滅裂……全く正しくないし、そもそも怒っている内容もずれている。


「いえ、意味がわからないんですけど……」

「優越感か、なるほどな……。お前は凄くはないが、王太子殿下を手に入れた妹の影に隠れて、俺達を見下していたわけか……! ふはははは、これは滑稽だ」

「ええ、本当に滑稽ね。まあ、セドルに捨てられた子爵令嬢如きだと、そうして自我を保つのが精一杯でしょうけれど。あはははははっ!」


 二人は高笑いをして、私を恫喝している。いやいやいや、私を見下したのはどっちなのよ……。自分たちのことを棚に上げ過ぎていて、反論する気力も失せてくるわ……。


「おい、お前の婚約者とやらを見せてみろよ、どうせ大したことない人物だろうが見てやるからよ」

「この子、婚約者出来たの? あはははは、あんたに捨てられた後なんだから、よっぽどの売れ残りしか興味は示さないと思うわよ?」

「売れ残りか、あはははははっ!」


 ……ここまで見下されたのは、生まれて初めてだわ。流石に我慢の限界ってところかしら? 鉄拳制裁でも加えてやろうかと考えていた時、私の前に颯爽と現れる人影が……ちょっと格好良すぎるんだけど……このタイミングで現れるわけ?


「初めまして、売れ残りのルーク・アランドラになります。アランドラ公爵の息子です」


 私の幼馴染で、愛しき婚約者のルークが立っていた。
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