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15話 婚約発表 その1
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「なんで俺のせいなんだよ! 俺はただ正義を執行しようとしてだな!」
「嘘つくんじゃないわよ! 鼻の下だら~~~~~って伸ばしちゃってさぁ。どうせ、あのメイドの外見が好みだったとかその辺でしょ!? よくよく考えたら、あんたに貴族としての正義なんてあるわけないし……!」
「シャズナ! 誰に向かって口を聞いているんだ!」
「何を言っているのよ、私だって伯爵令嬢なんだし、同じランクでしょうが! なにあんた、上から目線でしゃべっているわけ!?」
こんな風に、非常に醜い罵り合いが延々と続いていた。シャズナの方も流石にわかっていたみたいね……あれは、セドルの単なる趣味だってことを。私も聞き入れたことはないけれど、変な衣装を着せられそうになったことは何度かあったし……。
「セドル君は変態……その一言に尽きそうやな」
「そうですね……」
ウイング王太子殿下とラーナは、うるさく騒いでいる二人に冷たい視線を送っていた。どんどん墓穴を掘ってるわよね、セドルとシャズナって……。しかし、喧嘩を始めた二人だけれど、ラーナの言葉はちゃんと耳に届いているみたい。揃って鋭い視線を彼女に向けていた。
「先ほどから失礼な態度が目立つな……」
「そうね……そっちの子。ラーナ、だっけ?」
「あれ……?」
私は漫才でも見ているのかしら? セドルとシャズナの怒りの矛先が、お互いから急にラーナに移行したような……。
「俺とシャズナの二人は伯爵家の者だ。子爵令嬢であるウェルナの妹が尊大な態度じゃないか……」
「そうね……公共の場じゃなくて、裏手の辺りで教育が必要かしら?」
「……」
セドルとシャズナの言葉に、ラーナは無言を貫いていた。おそらく呆れを通り越しているんだとは思うけれど、二人としては、怒りのはけ口が欲しいんでしょうね。でも、その選択は最悪の選択肢だわ……。
「セドル、俺の婚約者に何をしたいんや? ん?」
「ええっと、裏の方で教育を……えっ? 婚約者……?」
セドルは本音を漏らしていたけれど、途中でウイング王太子の妙な言葉に気づいた。もう遅いけどね……。
「この子はラーナ・バーク……王太子殿下こと俺の婚約者やで?」
「ウイング王太子殿下の……婚約者!!?」
衝撃の事実……ウイング王太子はサラっとした口調で言ってのけたけど、周囲の男爵、子爵階級の人々は大いにざわついていた。セドルとシャズナの二人に至っては口元がだらしなく開いたままになっている。
本当なら、会場の中央で堂々と宣言するはずだった事実。ラーナとウイング王太子殿下の婚約はそれほどに凄いことを意味しているのね。……私とルーク公爵令息の婚約発表もあるんだけれど、セドルとシャズナの意識は持つのかしら? 心配になってきたわ……。
「嘘つくんじゃないわよ! 鼻の下だら~~~~~って伸ばしちゃってさぁ。どうせ、あのメイドの外見が好みだったとかその辺でしょ!? よくよく考えたら、あんたに貴族としての正義なんてあるわけないし……!」
「シャズナ! 誰に向かって口を聞いているんだ!」
「何を言っているのよ、私だって伯爵令嬢なんだし、同じランクでしょうが! なにあんた、上から目線でしゃべっているわけ!?」
こんな風に、非常に醜い罵り合いが延々と続いていた。シャズナの方も流石にわかっていたみたいね……あれは、セドルの単なる趣味だってことを。私も聞き入れたことはないけれど、変な衣装を着せられそうになったことは何度かあったし……。
「セドル君は変態……その一言に尽きそうやな」
「そうですね……」
ウイング王太子殿下とラーナは、うるさく騒いでいる二人に冷たい視線を送っていた。どんどん墓穴を掘ってるわよね、セドルとシャズナって……。しかし、喧嘩を始めた二人だけれど、ラーナの言葉はちゃんと耳に届いているみたい。揃って鋭い視線を彼女に向けていた。
「先ほどから失礼な態度が目立つな……」
「そうね……そっちの子。ラーナ、だっけ?」
「あれ……?」
私は漫才でも見ているのかしら? セドルとシャズナの怒りの矛先が、お互いから急にラーナに移行したような……。
「俺とシャズナの二人は伯爵家の者だ。子爵令嬢であるウェルナの妹が尊大な態度じゃないか……」
「そうね……公共の場じゃなくて、裏手の辺りで教育が必要かしら?」
「……」
セドルとシャズナの言葉に、ラーナは無言を貫いていた。おそらく呆れを通り越しているんだとは思うけれど、二人としては、怒りのはけ口が欲しいんでしょうね。でも、その選択は最悪の選択肢だわ……。
「セドル、俺の婚約者に何をしたいんや? ん?」
「ええっと、裏の方で教育を……えっ? 婚約者……?」
セドルは本音を漏らしていたけれど、途中でウイング王太子の妙な言葉に気づいた。もう遅いけどね……。
「この子はラーナ・バーク……王太子殿下こと俺の婚約者やで?」
「ウイング王太子殿下の……婚約者!!?」
衝撃の事実……ウイング王太子はサラっとした口調で言ってのけたけど、周囲の男爵、子爵階級の人々は大いにざわついていた。セドルとシャズナの二人に至っては口元がだらしなく開いたままになっている。
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