婚約破棄されたけど、妹と幼馴染が優しすぎる件

安奈

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14話 ウイングVSセドル その2

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 ここにきての、まさかのセドルの行いの正当化……それは、私としても意外なことだった。メイドに尻叩き100回……それを公共の場で行うだけでもおかしいのに。

「私は礼装を汚され、慌てふためきました。とても謝るだけでは許されることではない、と」

「ふむふむ。で?」


 ウイング王太子殿下も頭ごなしには否定せずに、セドルの言葉に耳を傾けているわ。時間の無駄だと思うけど、王太子殿下も楽しんでいるのかしら?

「先ほどのメイドが他で阻喪をしないようにするには、仕置きが必要と判断しました。確かに、少々手荒な仕置きであったことは理解しております……しかし……」


「自分の行った行動は間違ってない……そう言いたいんやな?」

「さすがは王太子殿下……素晴らしい洞察力でございますね。その通りです」


 はっきりとした口調でセドルはウイング王太子に言った。なぜか、先ほどまでの焦りの色は消えていたけれど、もしかして彼って裏表激しいのかしら……? よく、こんなにすぐに感情の入れ替えが出来たわね。私は不本意ながらも、セドルに感心していた。


 さて、どうなるかしら? ウイング王太子殿下、ラーナ共に無言を貫き通しているわ。セドルも少し緊張しながら二人を見守っているみたいね。私もなんだか緊張してきた……ところで、ルークはどこに行ったのよ、本当に……。


「メイドのスカートをたくし上げさせて、100叩きするのが仕置きなんでしたら、貴族は闇討ちに遭っても文句を言えませんね」

「ぬっ……!?」


 ラーナの鋭い突っ込みに、セドルはたじろいだような声を上げた。予想外の人物が反論してきたから、驚いているのかしら? ラーナは子爵令嬢だけれど、ウイング王太子殿下の婚約者でもあるのよ? 後からその事実をセドルが知ったら、どんな顔をするのかしら?


「そうやな、せめて誰も見てないところでするんならともかく……」

「殿下……なにかおっしゃりましたか?」

「いえ、なんでもありません……」


 ラーナはウイング王太子殿下の浮気とも、セクハラとも取れる言葉を見逃していなかった。即座に突っ込みを入れる。……これは将来、ウイング王太子殿下は尻に敷かれるかもしれないわ……。

「まあ、とにかくや、セドル。お前のやったことは、俺の用意したメイドに対する反逆行為にも等しいで」

「は、反逆行為……!? 私はそんなことは一度も……!」


 反逆行為と言われ、セドルの焦りは戻ってきた。自分の主張が通らなかった焦りもあるんでしょうけど。そもそも、あんな主張通るわけないでしょ……。

「黙れ……貴族の権威を失墜させるようなこと、しやがってからに……!」

 独特な口調だけれど、ウイング王太子殿下は相当に怒っているようだった。普段の陽気な顔つきとは似ても似つかないくらいに。

「ユイファに負わせた心の傷の慰謝料は請求するのは当然として……お前とお前の家系にも罰が必要やな。元老院とじっくり相談して決めることにするわ」

「な、なんと……!」

「ちょっと、あんたは!! あんたが素直に認めないから、こっちにまで飛び火してきてるじゃない!」


 今まで黙っていたシャズナだけれど、ここにきてセドルに切れだした。気持ちはわからなくはないけれど、セドルが素直に認めてたら罪が軽くなると思ってる辺り、彼女も同じ穴の狢かもね……。
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