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22話 お出かけ その2
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私とラーナの二人はウイング王太子殿下とルーク公爵令息に会う為に、宮殿に向かっていた。セドルやシャズナにどんな罰が下るのかも気にはなるところね。
馬車で向かい、国王陛下もいらっしゃる宮殿の入り口に到着した。
「ラーナ・バークと申します……あの、王太子殿下はいらっしゃいますでしょうか?」
「王太子殿下でございますね? 少々、お待ちいただけますか」
「はい、畏まりました」
「……」
宮殿の前を守る兵士との、随分と軽い挨拶に私は驚いてしまった。流石は才色兼備のラーナといったところかしら? 時期国王である、ウイング王太子殿下と婚約関係になっているだけはあるわね。本当に良く出来た妹……ちょっとだけ、嫉妬しちゃいそうなくらい。
「どうしたの、姉さん?」
「いいえ、なんでも。流石にラーナは宮殿への出入りは慣れているわねって言いたいだけ」
「うん、まあね。何度も王太子殿下に会いに行っているし」
そう言えば、私がセドルに振られた時も、王太子殿下に会いに、宮殿に向かっていたんだっけ。でもよくよく考えると、ウイング王太子殿下はともかく、ルークは居ないんじゃ……ラーナが前に会ったのも偶然だろうし。
私は嫌な予感を感じていたけれど、その時丁度、兵士が戻ってきた。
「ウイング王太子殿下から許可をいただきました。どうぞ、お入りください。それから……ルーク公爵令息様もお待ちのようでございます」
「ありがとうございます」
よかった、ルークも居るみたいね。ラーナは相変わらずの余裕の態度を出しながら、そのまま宮殿へと入って行く。だからすごいわね、この子は……ルークと婚約したばかりの私は、ラーナの後に付いて行くのが精一杯だった。
----------------------------------------------
「おお、ラーナやんけ。こっちやこっち。ウェルナも入ってきいや」
「ウイング王太子殿下、それにルークも……」
「やあ、ウェルナ。こんなところで会うとは、奇遇だね」
「本当にそうね……一応、あなたに会いに来たんだけれど」
応接室に通された私達。ウイング王太子殿下は相変わらずの陽気さだった。ラーナはもうすっかり慣れているのか、そんな王太子殿下の隣に座る。私もルークの隣のソファに腰を掛けた。
「しかし、なかなか良いタイミングで来てくれたな。これから、君らのところにも行こうかって話をしていたんや」
「……なにかあったのですか?」
私の質問にルークが代弁するかのように答えた。
「セドルとシャズナの件について……少々、不味いことが起こっているんだ」
「セドルとシャズナ……?」
不味いこと……? 一体なにかしら……。私はルークが次に話す内容を予想することは出来なかった。だって、不味いことなんて起こるわけないと思っていたから……。
馬車で向かい、国王陛下もいらっしゃる宮殿の入り口に到着した。
「ラーナ・バークと申します……あの、王太子殿下はいらっしゃいますでしょうか?」
「王太子殿下でございますね? 少々、お待ちいただけますか」
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「……」
宮殿の前を守る兵士との、随分と軽い挨拶に私は驚いてしまった。流石は才色兼備のラーナといったところかしら? 時期国王である、ウイング王太子殿下と婚約関係になっているだけはあるわね。本当に良く出来た妹……ちょっとだけ、嫉妬しちゃいそうなくらい。
「どうしたの、姉さん?」
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「うん、まあね。何度も王太子殿下に会いに行っているし」
そう言えば、私がセドルに振られた時も、王太子殿下に会いに、宮殿に向かっていたんだっけ。でもよくよく考えると、ウイング王太子殿下はともかく、ルークは居ないんじゃ……ラーナが前に会ったのも偶然だろうし。
私は嫌な予感を感じていたけれど、その時丁度、兵士が戻ってきた。
「ウイング王太子殿下から許可をいただきました。どうぞ、お入りください。それから……ルーク公爵令息様もお待ちのようでございます」
「ありがとうございます」
よかった、ルークも居るみたいね。ラーナは相変わらずの余裕の態度を出しながら、そのまま宮殿へと入って行く。だからすごいわね、この子は……ルークと婚約したばかりの私は、ラーナの後に付いて行くのが精一杯だった。
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「おお、ラーナやんけ。こっちやこっち。ウェルナも入ってきいや」
「ウイング王太子殿下、それにルークも……」
「やあ、ウェルナ。こんなところで会うとは、奇遇だね」
「本当にそうね……一応、あなたに会いに来たんだけれど」
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