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25話 セドルとシャズナのその後 その3
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「つまり!」
「私達を救っていただける手立てはあるはずなんです! お願いいたします、何でもいたしますから、ご慈悲を……!」
セドルとシャズナの二人は見事にハモっていた。ここだけはとても仲が良さそうに見えるのが不思議だわ。二人の言い分はこうね、私やラーナが同じような罪を犯した場合に、ウイング王太子殿下やルークは必死で減刑を望むでしょう? ということ……。
まあ、王太子殿下とルークなら元老院にも影響を与えることはできるだろうけど。まず、私達が罪を犯すのが前提になっているのが腹立たしいわ。あなた達と同じようなことなんて絶対にしないわよ! もちろんラーナもね。
まったく……どうやれば、こんなにねじ曲がった性格になれるのかしら……。
「私も姉さんも、まず罰を受けるようなことは致しませんので、前提が間違っていますね」
あ、流石は次期王妃様。はっきりとした口調で私が考えていたことをセドルとシャズナに伝えた。王太子殿下やルークも同じように頷いている。
「ここに無断で侵入した罪と、不敬罪の追加……さらに、僕と王太子殿下の婚約者を侮辱した、侮辱罪辺りも上乗せになりそうですね」
「そうやな……元老院に再び掛け合ってみるか。二人もそれを望んでいるみたいやし」
「ええっ!?」
先ほどまでは元老院に掛け合ってくれ! と頼んでいたセドルとシャズナ。しかし、ここに来て態度を一変させていた。もちろん、罪が重くなると悟ったからだ。
「い、いえ……結構です! 罪が軽くなるならあれですが……重くなるようなら、その……!」
「なにを言っとるんや? 今まさに罪を増やしておいて、重くなるなら結構です? お前らのことなんて知るかいな。俺は単に、部屋に無断で入って来た盗賊を元老院に突き出そうとしとるんやで」
「と、盗賊……!? そ、そんな……私達は伯爵家の……!」
「元伯爵令息と令嬢ですね。今の二人の肩書きは賊でしかありません……私が敬語を使う必要もないかな」
「うぇ、ウェルナ……!」
私はセドルとシャズナに立場が完全に逆転したことを伝えた。そう、王太子殿下やルークの婚約者という立場を除いても、私とラーナの方が上の立場になってしまったのよね。
平民という立場だけで、蔑まれるわけはないけれど、この二人は蔑まれて生きて行った方が良いと思える。それが二人の今後にも繋がってくるだろうし……。まあ、犯罪を犯している者だしね。
「少々、予定が狂っているけど、今から元老院を招集しよか。それが、セドルとシャズナの望みやからな」
「そうですね、では公爵家系の者達には僕から言っておきます」
「頼むわ~」
「ま、待ってください、王太子殿下、ルーク様……! 本当に、罰の加算だけは許して……!!」
「うわぁぁぁ! まだ死にたくねぇよぉぉぉぉ……!!」
失望どころの話しではない。セドルとシャズナはここに来て、とんでもない程の生き恥を晒していた。泣きじゃくっている二人は、護衛の者たちに取り押さえられている。
タイミング的に、私とラーナも元老院招集に立ち会うことになった。公爵や侯爵家系で構成される意思決定機関にして助言機関としての役割を持つ、王国の元老院……セドルとシャズナはまたそこに立たされるわけね。
「私達を救っていただける手立てはあるはずなんです! お願いいたします、何でもいたしますから、ご慈悲を……!」
セドルとシャズナの二人は見事にハモっていた。ここだけはとても仲が良さそうに見えるのが不思議だわ。二人の言い分はこうね、私やラーナが同じような罪を犯した場合に、ウイング王太子殿下やルークは必死で減刑を望むでしょう? ということ……。
まあ、王太子殿下とルークなら元老院にも影響を与えることはできるだろうけど。まず、私達が罪を犯すのが前提になっているのが腹立たしいわ。あなた達と同じようなことなんて絶対にしないわよ! もちろんラーナもね。
まったく……どうやれば、こんなにねじ曲がった性格になれるのかしら……。
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あ、流石は次期王妃様。はっきりとした口調で私が考えていたことをセドルとシャズナに伝えた。王太子殿下やルークも同じように頷いている。
「ここに無断で侵入した罪と、不敬罪の追加……さらに、僕と王太子殿下の婚約者を侮辱した、侮辱罪辺りも上乗せになりそうですね」
「そうやな……元老院に再び掛け合ってみるか。二人もそれを望んでいるみたいやし」
「ええっ!?」
先ほどまでは元老院に掛け合ってくれ! と頼んでいたセドルとシャズナ。しかし、ここに来て態度を一変させていた。もちろん、罪が重くなると悟ったからだ。
「い、いえ……結構です! 罪が軽くなるならあれですが……重くなるようなら、その……!」
「なにを言っとるんや? 今まさに罪を増やしておいて、重くなるなら結構です? お前らのことなんて知るかいな。俺は単に、部屋に無断で入って来た盗賊を元老院に突き出そうとしとるんやで」
「と、盗賊……!? そ、そんな……私達は伯爵家の……!」
「元伯爵令息と令嬢ですね。今の二人の肩書きは賊でしかありません……私が敬語を使う必要もないかな」
「うぇ、ウェルナ……!」
私はセドルとシャズナに立場が完全に逆転したことを伝えた。そう、王太子殿下やルークの婚約者という立場を除いても、私とラーナの方が上の立場になってしまったのよね。
平民という立場だけで、蔑まれるわけはないけれど、この二人は蔑まれて生きて行った方が良いと思える。それが二人の今後にも繋がってくるだろうし……。まあ、犯罪を犯している者だしね。
「少々、予定が狂っているけど、今から元老院を招集しよか。それが、セドルとシャズナの望みやからな」
「そうですね、では公爵家系の者達には僕から言っておきます」
「頼むわ~」
「ま、待ってください、王太子殿下、ルーク様……! 本当に、罰の加算だけは許して……!!」
「うわぁぁぁ! まだ死にたくねぇよぉぉぉぉ……!!」
失望どころの話しではない。セドルとシャズナはここに来て、とんでもない程の生き恥を晒していた。泣きじゃくっている二人は、護衛の者たちに取り押さえられている。
タイミング的に、私とラーナも元老院招集に立ち会うことになった。公爵や侯爵家系で構成される意思決定機関にして助言機関としての役割を持つ、王国の元老院……セドルとシャズナはまたそこに立たされるわけね。
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