婚約破棄されたけど、妹と幼馴染が優しすぎる件

安奈

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29話 食事の誘い その2

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「こ、これはこれは……! ルーク様ではりませんか!」

「ああ、料理長……そのままで構わないよ」

「いえ、そういうわけには参りません……!」


 貴族街にあるスーパーゴールデンポークを取り扱っている料理店。貴族街に於いてもトップクラスであろうその店内でのルークの扱いは、流石と言えるものだった。公爵令息なわけだから当然と言えるかもしれないけれど、やっぱり料理長が直々に出て来るレベルなのね。

 子爵令嬢である私だとこうは行かないわ。そもそも、子爵級の貴族ではなかなか入れないお店だけれど……。


「ウェルナ、もしかして緊張しているかい?」

「ま、まあ少しは……ほら、貴族街でも特別に高級店だし」


 内装に使われている物も、豪華なものばかりね……照明のシャンデリアはいくらするのかしら?


「僕と結婚したら、将来的にウェルナは公爵夫人になるわけだし、こういう所も慣れていた方がいいだろう?」

「た、確かにそうよね……そっか、私公爵夫人になるんだ……」


 ルークとの婚約がこのまま続き、結婚すればそのようになるのは必然ね。ルークが公爵になることは決定済みなんだし……。う~ん、公爵夫人か……セドルやシャズナとの階級差がとても開くことになるのよね。人生ってわからないものだわ。


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「す、すごい……! これが、スーパーゴールデンポーク……!」

「はい、ウェルナ様。最高級の豚の肉……金色のオーラという別名もある程でございます」


 金色のオーラ……この王国ならではの呼び方らしいけど、美味しそうな言い方ではないわよね……。他の国では知らないけれど、私の国では貴重なスーパーゴールデンポーク……とても美味しそうだわ。

 こんなお店に余裕で私を連れて来れるルークは流石ね……こういうのも、公爵家の嗜みとして重要なんだろうと思えるわ。


「どうだい、ウェルナ? 味の方は……」

「ええ、とても美味しいわ! もう、びっくりするくらいに……」


 初めて食べたスーパーゴールデンポークの味に私は感動していた。こんなに美味しい豚肉があるなんて……そして、この素晴らしい味付けは料理長たちの技術なんだと思うと、さらに感動するわね。


「ルーク、ありがとう……こんなお店を紹介してくれて」

「とんでもないさ、ウェルナ。喜んでくれて、とても嬉しいよ」


 私とルークはお互いの顔を見て笑い出した。二人に流れる恋人同士の空気を察知したのか、いつの間にか料理長の姿は消えている。でも、デートの初めがスーパーゴールデンポークで大丈夫かしら……これ以上のインパクトってなると……その、二人きりになれる場所に行かないと駄目なんじゃ……。
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