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1話 婚約破棄されたポーションメーカー その1

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 私の名前はレミュラ・ミセット 17歳。職業はポーションを作り、国家に提供すること。実は私はスキルと呼ばれる特殊能力で、回復薬であるポーションを作れる。

 その能力が見込まれ、ポーションメーカーという名称で呼ばれ、国家の重要ポストに就くことができた。
 
 それから、王子殿下とも知り合いになり、なんと公爵様との婚約話まで来たの!

 辺境の街から出て来た私にとっては大出世よね! 恋愛的な意味では、私はサウス王子殿下に惹かれていたんだと思う。でも、その想いが通じるわけはないと、私は公爵様との婚約を了承したの。


 でも……


「ご用件はなんでしょうか? ルデルテ公爵……」


「よく来てくれたな」


「いえ、とんでもないです」


 私は10歳年上のルデルテ・バーン公爵様の元を訪れていた。内容自体は聞いていないので質問したけど、彼の表情は重たい。一体、どうしたのかしら?


「レミュラ……お前との婚約はなかったことにしてもらおう」

「えっ……? どういうことですか?」


 私は意味が分からず、聞き返していた。いきなり婚約解消って言われても……困るんだけど。でも、ルデルテ様は全く悪びれている様子がない。嫌な予感がするわ……。


「やはり辺境の街出身のお前と結婚などあり得ない。お前は本日限りで婚約破棄……それから、クビだ。ジールテン宮殿からも出て行ってもらおうか。もちろん貴族街への出入りも禁止だ」

「そ、そんな……!」


 私はポーションメーカーとして、国王陛下や王子殿下が住んでいるジールテン宮殿で寝泊まりをしていた。確かに製造したポーションはルデルテ公爵が管理しているけれど、こんな簡単にクビに出来るものなの?


「ポーション製造はどうなるのですか……? 供給が途絶えると、サウス王子殿下たちにご迷惑がかかります……!」

「それは心配するな。我が配下の調合部門の者達がポーション製造のノウハウを会得したからな。これも、お前の精製スキルのおかげだよ、ありがとう」


 調合部門がポーション製造のノウハウを獲得? そんなことって可能なのかしら……? 調合でポーションを作り出すことは非常に難しいと言われているけれど……。


「とにかくお前はもう必要ない。私は平民が貴族街や宮殿を出入りすることは反対だったんだ、さっさと出て行け!」

「ルデルテ公爵……!」


 私は反論の余地もないままに追い出され、貴族街からも追放されてしまった。今までポーションメーカーとして働いて来たのに……こんな酷い仕打ちってあるかしら? サウス王子殿下への挨拶も認められず、最低限の荷物や賃金だけを持たされて、城下町へと下ることになる……。


 ポーション精製に関しては、本当に心配ないのかしら? いえ、そんなことよりも明日からどうやって生活しようかしら……。

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