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15話 お助けの王子様 その3

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「サウス王子殿下のおっしゃる通り、ルデルテ公爵のご命令になります……」


「やはりそうか……」


 マルクスはとうとう観念したのか、素直にサウス王子殿下に従っていた。私だったら立場的に弱いので、マルクスから本音を聞き出すことは出来なかったと思う。と、いうよりも立場的には強引に物事を進められても不思議ではない状況だったし。


 サウス王子殿下には感謝しても仕切れないかもしれない。私は彼と目が合ったので、とりあえず無言で会釈をしておいた。ミオナ達も軽く頭を下げている。ちゃんとしたお礼は後からでも遅くないしね。


「それで、粗悪品であることも分かっているんだな?」

「は、はい……」


 マルクスはサウス王子殿下と目線を合わせていない。最早、自分の今後を悟って諦めがついているのかもしれない。ルデルテ公爵はともかく、マルクス達役人は素直に認めればそこまでの罰にはならない気もするけれど。よく言えば、役人はクビにならず、生活を脅かされる心配まではしなくて良いってこと。


 私なんていきなりクビになって、国家機関から追い出されたんだから……雇ってくれたミオナには感謝しないとね。


「ううん、正直に言うと、ポーションメーカー様のおかげで売り上げも爆上がりだし……感謝したいのはこっちの方ですよ」

「な、何……!」


 ミオナがいきなり話しかけて来て、私は驚いてしまった。


「声に出ていたから。うふふ、そういう風に思ってくれてたんだ」

「ま、まあ……」


 しまった……心の声を表に出していたなんて、迂闊だったわ……気を付けないと。変な人に思われちゃうかもしれないし。



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「粗悪品の精製率が50%だと……?」

「え、ええ……研究部門からはそのように聞いております……。しかし、ルデルテ公爵は各店舗にはいつも通りの価格で売るように、と……」


 マルクスから出て来る真相は私の予想を超えるものだった。まさか、この紫のポーションが50%もの高確率で生まれているなんて……私を追放しても、調合部門が同じポーションを作れるなら問題ないと言っていたのは、間違いだったってことね……。


「国家として雇っているレミュラを追放した時点で懲罰に掛けるべきだったか……。全く同じポーションをより効率的に生み出せると聞いていたので、追放だけではルデルテ公爵を叱責するのは難しかったのだが……」


 なんだか嬉しい言葉がサウス王子殿下から聞こえて来る。私の為に、色々と動いてくれたんだ、と再認識させられるし。


「レミュラ、この紫のポーションの効力が低いことは間違いないな?」

「はい。証拠ということでしたら、機械に掛ければ確実かと思います」


 おまけに副作用が出るかもしれないポーション……明らかに一般販売なんて出来ない代物ね。


「これが世間一般に広まる前で助かったと言えるか……よし、本格的にルデルテ公爵を追い詰めるとしようか」


 サウス王子殿下の攻勢が始まろうとしている……ルデルテ公爵は本当に大変になりそうね……。
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