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22話 ルデルテ公爵は…… その2(ルデルテ公爵視点)
しおりを挟む私の両腕には頑丈な手錠が掛けられている……くそ、この私に錠を掛けた奴、顔は覚えたぞ。後に投獄処分にしてやるからな。
いや、そんなことよりも、今はレミュラとサウス王子殿下だ。この二人の会話は私にとって不愉快な方向へと舵を切りだしている。なんとか、元に戻さなければ……。
「ルデルテ公爵の調合部門を残すというのか?」
「はい、いけませんでしょうか? ルデルテ公爵が推進していたポーション量産体制そのものは、とても素晴らしいことだと思うので……」
「確かに、そうかもしれないが……」
ほう、レミュラの奴、分かっているじゃないか。まあ、当然だがな。私が発案し、議会を通して承認された機関なんだ。素晴らしいに決まっている。貴様なんぞに褒めてもらわなくともな。
「元々は国の一つの機関として成立している物だったんだ。それをルデルテ公爵が私物化をしたという流れだな」
私物化だと……? 何を言っているんだ王子殿下は。この調合、研究部門は私の発案だと言っているだろうが。それなのに、それを私が私的に利用して何が悪いというのだ。
まあ、紫のポーションの作成に関しては完全に誤算だったが……だが、成功しているポーションのおかげで、国家の財政も潤っていく予定だった。そもそもの話として、サウス王子殿下が私を咎めることがお門違いというものだ。
国民に多少の被害が出るのがなんだというのだ、まったく……国家間の戦争になれば、もっと大きな被害が出るというのに……。
「もし許していただけるなら、私が調合部門に入ります。作業工程を少しでも良くする手助けができれば……。それに、どこでもポーションメーカーとしての仕事は出来ますし」
「なるほど、それは確かにありがたいが……しかし、君の負担が増えることになるぞ。構わないのか?」
「はい、大丈夫です。サウス王子殿下にはお世話になりましたので……少しでも恩返しできたら、と思います」
「レミュラ……ありがとう、前向きに検討してみるよ」
二人は笑い合っている……この二人、もしかすると出来ているのか? 平民の女と王子殿下が? この間までは、私と婚約関係にあったくせに、ずいぶんと尻軽な女だな……。
私はレミュラを見ながら怒りの感情が芽生えていることに気付いていた。いや……違う、決して嫉妬なのではない!
「さて、話は聞いたな、ルデルテ公爵? 其方の罪については、議会を通して判断されることになるが……相当な刑になることを覚悟しておけ。それこそ、バーン家そのものが没落しかねない程のな」
「サウス王子殿下……ご冗談を……」
「いや、冗談はあまり好きではないんだが」
サウス王子殿下の表情に変化はない。ははは、一体、何を言っているのか。この王子は世間知らずなのか? 議会には私の息の掛かった者達も多い。その者たちが私に対して、大きな罪を課すことなどあり得ないわけで……。
「余裕そうだな、ルデルテ公爵。先ほどまでの態度は演技だったのか?」
「いえいえ、何のことかはわかりませんが……私の罪、ですか。事実上、免責にならなければ良いですな」
「免責だと? 貴様、自らの罪を自覚していないのか?」
「免責……? 国民にも被害を出しておいて、そんなことあり得るわけないと思いますよ?」
おっと、流石に怒らせてしまったかな。「免責」という言葉は使う場面ではなかったな。だが、既に事態を知った私の影は放っている。議会に話を通し、最小限での罪となるように取り計らいが行われるだろう。
私は程なくして釈放され……この二人の驚きの顔が目に浮かぶよ。ふはははははははっ!
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