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魔物襲来
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「どういうことじゃ! 洞窟にいる魔物は、近づかなければ手は出してこないはずではなかったのか!」
「わ、わかりません」
魔物が手を出して来ない? そんなことがあるのか?
魔物は本能的に人間を襲うため、そのような考えはないはずだけど。
唯一例外なのは聖女の力が働いている場合だ。しかし聖女の力があれば、むしろ今この場にリリアがいるため、魔物は近寄って来ないはずだ。
もしかして聖女の力が効かないのか、聖女の力が及ばない強力な魔物がいるのか、それとも他に原因があるのか、何にせよ嫌な予感しかしないな。
「とりあえず村人の避難が優先じゃ。後は魔物をどうするかだが⋯⋯」
「俺が行きますよ」
「本当か!」
「ええ、任せて下さい」
魔物を村に入れると、それだけリリアや村人達に危険が迫ってしまう。出来れば魔物は村の外で迎撃したい。しかし⋯⋯
「私も行きます」
「リリアも?」
予想外のことで少し驚いたけど、俺の側にいた方がリリアを直接守れるからその方がいいかもしれない。それに盗賊達を刺した奴がまだ近くにいる可能性もあるしな。
「よろしいでしょうか」
「わかった。だけど絶対に俺の側から離れないでくれ」
「はい!」
良い返事だ。どうやらリリアは魔物に臆していないようだ。
「それで洞窟はどっちにあるんですか?」
「南東方面です」
「わかりました」
今は時間が惜しい。村に接近を許せば、それだけ被害は大きくなる。
俺とリリアは村長の家を急ぎ飛び出し、魔物がいる方角へと向かうのであった。
「聖女の力が効かなかったのでしょうか⋯⋯」
魔物の所へ向かっている最中に、リリアが呟いた。
「リリアも気になっていたのか。どういうことかわかる?」
「いえ、そもそも自分で意識して使っている力ではないので」
確かに以前もそのようなことを言っていたな。これはやはり直接確かめるしかないのか。
「ちなみにリリアはどんな魔法が使えるのかな? 差し支えがなかったら教えてくれないか」
潰れた腕を治すくらいだから、回復魔物が得意なのはわかるけど、他のことはわからない。
魔物と戦う上で戦力を把握しておいた方がいいだろう。
「私が使えるのは光魔法で、回復魔法は比較的得意な方です。後は状態異常の回復魔法と結界魔法を使うことが出来ますが、低レベルのものしか使用できません」
リリアのように魔法を使う者は魔法使いと呼ばれている。魔闘士は自分の武器に魔力を込めて戦うが、魔法使いは六つの精霊、火、水、風、土、光、闇の力を借りて奇跡を起こす。ちなみに聖女は聖の属性の魔法が使えるらしいが、俺にはよくわからない。
「わかった。それじゃあリリアは結界魔法で自分の身を守ってくれ。そしてもし俺が傷を負った時は、回復魔法を頼む」
「わかりました」
やはり俺としてはリリアの身の安全が一番大事なので、これで余程の魔物が現れない限り、敵に集中出来そうだ。
「そろそろ村の外に出るぞ」
ここに来るまで魔物に遭遇することはなかった。
とりあえず村への侵入を許していなかったので、安堵する。
しかしほっとしたのもつかの間だった。
前方からグレーの色をした集団が迫っていたからだ。
「あれは⋯⋯ネズミさんですか」
こちらに迫ってくる魔物は、リリアの言う通りネズミに見える。しかし家の中にいるネズミとは決定的に違うものがある。
「あんなに大きなネズミさんは初めて見ました」
そう。通常のネズミと比べて、体躯が十倍以上はあるのだ。
「あれはポイズンラット。名前の通り毒を持つ魔物だ」
「ポイズンラット?」
「噛まれたら毒を食らうから気をつけて」
「わかりました」
だがこちらとは相性がいい魔物だ。万が一噛まれてもリリアが魔法で治してくれるからな。
「毒の治療は出来る?」
だが状態異常は苦手なように言っていたので、念のために確認はしておく。ポイズンラットに噛まれて、毒を治すことが出来なかったら洒落にならないからだ。
「猛毒でなければ大丈夫です」
「もしもの時は頼む」
猛毒は放っておくと数分で死に至る毒だ。ポイズンラットは猛毒ではないので、万が一の時も問題なさそうだ。
「それじゃあリリアは、危なくなったら結界魔法で自分を守ってくれ」
「わかりました」
俺はリリアに指示を出しながらポイズンラットに向かう。
初の魔物との実戦だ。
「大丈夫。獣ならこれまで何匹も狩ったことがある。その強化版とイメージすれば問題なく倒せるはずだ」
俺は高鳴る心臓を言葉で落ち着かせ、剣に魔力を込めてポイズンラットへと向かうのであった。
「わ、わかりません」
魔物が手を出して来ない? そんなことがあるのか?
魔物は本能的に人間を襲うため、そのような考えはないはずだけど。
唯一例外なのは聖女の力が働いている場合だ。しかし聖女の力があれば、むしろ今この場にリリアがいるため、魔物は近寄って来ないはずだ。
もしかして聖女の力が効かないのか、聖女の力が及ばない強力な魔物がいるのか、それとも他に原因があるのか、何にせよ嫌な予感しかしないな。
「とりあえず村人の避難が優先じゃ。後は魔物をどうするかだが⋯⋯」
「俺が行きますよ」
「本当か!」
「ええ、任せて下さい」
魔物を村に入れると、それだけリリアや村人達に危険が迫ってしまう。出来れば魔物は村の外で迎撃したい。しかし⋯⋯
「私も行きます」
「リリアも?」
予想外のことで少し驚いたけど、俺の側にいた方がリリアを直接守れるからその方がいいかもしれない。それに盗賊達を刺した奴がまだ近くにいる可能性もあるしな。
「よろしいでしょうか」
「わかった。だけど絶対に俺の側から離れないでくれ」
「はい!」
良い返事だ。どうやらリリアは魔物に臆していないようだ。
「それで洞窟はどっちにあるんですか?」
「南東方面です」
「わかりました」
今は時間が惜しい。村に接近を許せば、それだけ被害は大きくなる。
俺とリリアは村長の家を急ぎ飛び出し、魔物がいる方角へと向かうのであった。
「聖女の力が効かなかったのでしょうか⋯⋯」
魔物の所へ向かっている最中に、リリアが呟いた。
「リリアも気になっていたのか。どういうことかわかる?」
「いえ、そもそも自分で意識して使っている力ではないので」
確かに以前もそのようなことを言っていたな。これはやはり直接確かめるしかないのか。
「ちなみにリリアはどんな魔法が使えるのかな? 差し支えがなかったら教えてくれないか」
潰れた腕を治すくらいだから、回復魔物が得意なのはわかるけど、他のことはわからない。
魔物と戦う上で戦力を把握しておいた方がいいだろう。
「私が使えるのは光魔法で、回復魔法は比較的得意な方です。後は状態異常の回復魔法と結界魔法を使うことが出来ますが、低レベルのものしか使用できません」
リリアのように魔法を使う者は魔法使いと呼ばれている。魔闘士は自分の武器に魔力を込めて戦うが、魔法使いは六つの精霊、火、水、風、土、光、闇の力を借りて奇跡を起こす。ちなみに聖女は聖の属性の魔法が使えるらしいが、俺にはよくわからない。
「わかった。それじゃあリリアは結界魔法で自分の身を守ってくれ。そしてもし俺が傷を負った時は、回復魔法を頼む」
「わかりました」
やはり俺としてはリリアの身の安全が一番大事なので、これで余程の魔物が現れない限り、敵に集中出来そうだ。
「そろそろ村の外に出るぞ」
ここに来るまで魔物に遭遇することはなかった。
とりあえず村への侵入を許していなかったので、安堵する。
しかしほっとしたのもつかの間だった。
前方からグレーの色をした集団が迫っていたからだ。
「あれは⋯⋯ネズミさんですか」
こちらに迫ってくる魔物は、リリアの言う通りネズミに見える。しかし家の中にいるネズミとは決定的に違うものがある。
「あんなに大きなネズミさんは初めて見ました」
そう。通常のネズミと比べて、体躯が十倍以上はあるのだ。
「あれはポイズンラット。名前の通り毒を持つ魔物だ」
「ポイズンラット?」
「噛まれたら毒を食らうから気をつけて」
「わかりました」
だがこちらとは相性がいい魔物だ。万が一噛まれてもリリアが魔法で治してくれるからな。
「毒の治療は出来る?」
だが状態異常は苦手なように言っていたので、念のために確認はしておく。ポイズンラットに噛まれて、毒を治すことが出来なかったら洒落にならないからだ。
「猛毒でなければ大丈夫です」
「もしもの時は頼む」
猛毒は放っておくと数分で死に至る毒だ。ポイズンラットは猛毒ではないので、万が一の時も問題なさそうだ。
「それじゃあリリアは、危なくなったら結界魔法で自分を守ってくれ」
「わかりました」
俺はリリアに指示を出しながらポイズンラットに向かう。
初の魔物との実戦だ。
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俺は高鳴る心臓を言葉で落ち着かせ、剣に魔力を込めてポイズンラットへと向かうのであった。
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