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ユートVSボーゲン(4)
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「リ、リリア!?」
さすがに突然背中から抱きつかれ、俺は狼狽えた声を上げてしまう。
だがリリアの行動に驚いたのは俺だけではなかった。
「何をなさっているのですか」
ボーゲンはリリアの動作が理解出来ず、動きを止めていた。
「なるほど。死ぬ時は二人一緒にというわけですか。わかりました。そのまま二人もろとも私の剣で貫いていてあげましょう」
そしてボーゲンが勝手な解釈を行い、再び剣を構える。
もちろんリリアは死ぬことを選んではいないだろう。
だけど後ろから抱きつかれた状態では、ボーゲンの剣を凌ぐことは出来ない。
このままだと殺られる!
俺は背中にいるリリアに離れるよう促そうとしたその時。
「これが今の私にできる精一杯の想いです! 受け取って下さい!」
リリアが思いの丈を叫ぶと突如俺の身体が、いや剣が光輝き始めた。
「これは⋯⋯」
これがリリアの魔法!? こんな魔法見たことも聞いたこともないぞ。
武器に影響を与えるなんて⋯⋯もしかしてこれが聖女の魔法なのか。
「ほう⋯⋯おもしろいですね」
こちらに向かっていたボーゲンは、俺の剣を見て後方へと下がった。
「武器が輝くとは⋯⋯これが聖女の力という訳ですか」
ボーゲンは俺の背後にいるリリアに問いかける。
しかしリリアからの返事はない。
「リリア?」
俺は心配になり後ろを振り向くと、リリアはその場に座り込んでしまった。
「ユ、ユート様⋯⋯その剣なら⋯⋯魔族を⋯⋯」
魔力の使いすぎなのか、聖女の力を使ったからなのかわからないが、明らかにリリアの顔色が悪い。
最後の力を振り絞って、力を使ってくれたのか。
それならその想いを無駄にしないためにも、今はリリアを介抱するよりボーゲンを倒す!
「リリアありがとう。後は俺に任せてくれ」
俺は光輝く剣をボーゲンへと向ける。
「くっくっく⋯⋯ようやく私が望む展開になりましたか。その光輝く剣を破り、我が主へ聖女の力は恐れる程ではなかったと報告させてもらいますよ」
「大口を叩いてもいいのか? この剣は魔族であるお前を容易に滅することが出来るぞ」
リリアに魔法をかけてもらったことが影響しているのか、この剣は聖なる力を有していることが俺にはわかる。きっと今のボーゲンを消滅させることが出来るはずだ。
「それはおもしろい。出来るならぜひやってみて下さい。ですが⋯⋯⋯⋯私はまだ本気を出していませんよ」
ボーゲンが不敵な笑みを浮かべると、突然身体が黒く光出した。
「な、何だそれは⋯⋯」
「私のような上級魔族は、もう一段力を解放できるということです」
聖女の力を見せろと舐めた態度を取っていたが、まだ隠した力があったからなのか。
先程までのボーゲンも脅威であったが、ここからさらに強くなるのはかなり厄介だ。
「この魔気を纏った私は、力やスピードが上がり、そして耐久力が飛躍的に上昇します。虫けらであるあなた方では、私に傷一つつけることが出来ませんよ」
もう再生する必要すらないということか。
「お、お母様が⋯⋯魔気を纏った魔族は⋯⋯一人で⋯⋯街一つ滅ぼすと⋯⋯言っていました」
リリアがか細い声で、ボーゲンの正体を口にする。
「街を一つ滅ぼす!? とんでもない奴だな」
「どうしました? 恐れているのですか? 聖女を置いていくと言うならあなたは見逃してあげてもいいですよ」
「そんなこと死んでもごめんだ。どうな奴が相手だろうと必ずリリアは俺が守る」
「ユート様⋯⋯」
確かに今のボーゲンは強いだろう。だが俺はリリアにもらった力を信じるだけだ。それに⋯⋯
「俺を見逃すなんてずいぶんサービスがいいな。本当はその魔気に欠点でもあるんじゃないのか?」
「何を言って⋯⋯」
「例えばその状態では消耗が激しくて長時間戦うことが出来ないとか」
「なっ!」
「図星か」
特に欠点がなければ、最初からこの魔気というもの使ってもいいはずだ。それなのに温存しているということは、やはり使い放題という訳ではないということか。
「虫けらめ⋯⋯いい気にならないでください。望み通り聖女と共に殺して差し上げましょう」
来る!
ボーゲンがものすごいスピードでこちらに迫ってきた。
だがまだ目で追うことが出来る。俺はこれ以上のスピードを持つ相手と戦ったことがあるため、対応出来ないことはない。
「死になさい!」
ボーゲンは上段から剣を振り下ろしてきた。
これも先程より剣速が速い。おそらく威力も上がっていることだろう。
俺は迫ってくる攻撃に対して、下から上に斬り払う。
すると俺とボーゲンの剣が重なりそして⋯⋯
さすがに突然背中から抱きつかれ、俺は狼狽えた声を上げてしまう。
だがリリアの行動に驚いたのは俺だけではなかった。
「何をなさっているのですか」
ボーゲンはリリアの動作が理解出来ず、動きを止めていた。
「なるほど。死ぬ時は二人一緒にというわけですか。わかりました。そのまま二人もろとも私の剣で貫いていてあげましょう」
そしてボーゲンが勝手な解釈を行い、再び剣を構える。
もちろんリリアは死ぬことを選んではいないだろう。
だけど後ろから抱きつかれた状態では、ボーゲンの剣を凌ぐことは出来ない。
このままだと殺られる!
俺は背中にいるリリアに離れるよう促そうとしたその時。
「これが今の私にできる精一杯の想いです! 受け取って下さい!」
リリアが思いの丈を叫ぶと突如俺の身体が、いや剣が光輝き始めた。
「これは⋯⋯」
これがリリアの魔法!? こんな魔法見たことも聞いたこともないぞ。
武器に影響を与えるなんて⋯⋯もしかしてこれが聖女の魔法なのか。
「ほう⋯⋯おもしろいですね」
こちらに向かっていたボーゲンは、俺の剣を見て後方へと下がった。
「武器が輝くとは⋯⋯これが聖女の力という訳ですか」
ボーゲンは俺の背後にいるリリアに問いかける。
しかしリリアからの返事はない。
「リリア?」
俺は心配になり後ろを振り向くと、リリアはその場に座り込んでしまった。
「ユ、ユート様⋯⋯その剣なら⋯⋯魔族を⋯⋯」
魔力の使いすぎなのか、聖女の力を使ったからなのかわからないが、明らかにリリアの顔色が悪い。
最後の力を振り絞って、力を使ってくれたのか。
それならその想いを無駄にしないためにも、今はリリアを介抱するよりボーゲンを倒す!
「リリアありがとう。後は俺に任せてくれ」
俺は光輝く剣をボーゲンへと向ける。
「くっくっく⋯⋯ようやく私が望む展開になりましたか。その光輝く剣を破り、我が主へ聖女の力は恐れる程ではなかったと報告させてもらいますよ」
「大口を叩いてもいいのか? この剣は魔族であるお前を容易に滅することが出来るぞ」
リリアに魔法をかけてもらったことが影響しているのか、この剣は聖なる力を有していることが俺にはわかる。きっと今のボーゲンを消滅させることが出来るはずだ。
「それはおもしろい。出来るならぜひやってみて下さい。ですが⋯⋯⋯⋯私はまだ本気を出していませんよ」
ボーゲンが不敵な笑みを浮かべると、突然身体が黒く光出した。
「な、何だそれは⋯⋯」
「私のような上級魔族は、もう一段力を解放できるということです」
聖女の力を見せろと舐めた態度を取っていたが、まだ隠した力があったからなのか。
先程までのボーゲンも脅威であったが、ここからさらに強くなるのはかなり厄介だ。
「この魔気を纏った私は、力やスピードが上がり、そして耐久力が飛躍的に上昇します。虫けらであるあなた方では、私に傷一つつけることが出来ませんよ」
もう再生する必要すらないということか。
「お、お母様が⋯⋯魔気を纏った魔族は⋯⋯一人で⋯⋯街一つ滅ぼすと⋯⋯言っていました」
リリアがか細い声で、ボーゲンの正体を口にする。
「街を一つ滅ぼす!? とんでもない奴だな」
「どうしました? 恐れているのですか? 聖女を置いていくと言うならあなたは見逃してあげてもいいですよ」
「そんなこと死んでもごめんだ。どうな奴が相手だろうと必ずリリアは俺が守る」
「ユート様⋯⋯」
確かに今のボーゲンは強いだろう。だが俺はリリアにもらった力を信じるだけだ。それに⋯⋯
「俺を見逃すなんてずいぶんサービスがいいな。本当はその魔気に欠点でもあるんじゃないのか?」
「何を言って⋯⋯」
「例えばその状態では消耗が激しくて長時間戦うことが出来ないとか」
「なっ!」
「図星か」
特に欠点がなければ、最初からこの魔気というもの使ってもいいはずだ。それなのに温存しているということは、やはり使い放題という訳ではないということか。
「虫けらめ⋯⋯いい気にならないでください。望み通り聖女と共に殺して差し上げましょう」
来る!
ボーゲンがものすごいスピードでこちらに迫ってきた。
だがまだ目で追うことが出来る。俺はこれ以上のスピードを持つ相手と戦ったことがあるため、対応出来ないことはない。
「死になさい!」
ボーゲンは上段から剣を振り下ろしてきた。
これも先程より剣速が速い。おそらく威力も上がっていることだろう。
俺は迫ってくる攻撃に対して、下から上に斬り払う。
すると俺とボーゲンの剣が重なりそして⋯⋯
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