異世界を裏から支配する~表舞台は信頼できる仲間に任せて俺は無能を装って陰で暗躍する~

マーラッシュ

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怪しい殺害現場

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「オルタンシアさんのお父さんであるダイン様が、執務室でお話していたの。それでキルド様のご子息である長男のクーソ様と、次男のアーホ様が部屋に向かったら、キルド様は胸から血を流して、ダイン様の手には短剣が握られていたみたい」

 酒場で聞いた話と

「カレンお姉ちゃんも一緒に行かなかったの?」
「私はお二人に呼ばれてから行ったのよ。あの光景は今でも忘れられないわ」
「確か現場には、バカダ家の人とカレンお姉ちゃんが向かったって聞いていたけど」
「私も後から行ったから間違いじゃないわね」

 噂とは途中で変化するものだ。
 だが兄弟が先に執務室に行ったなら、父親殺しの細工をすることが出来そうだな。

「ダイン様は気絶していたって本当?」
「そうよ。私が行った時には倒れていたわ」
「クーソ様とアーホ様が一緒にいたと証言されてましたか?」
「してないわ。気づいたら意識がなくなっていたって」

 もし気絶した時、クーソとアーホが部屋にいたならそう証言するはずだ。
 たが違った。それなら二人が来る前に意識を失ったというわけか。

「何かその日に変なことがあったとか、いつもと違っていたとか変わったことがなかったかな」
「まるで衛兵さんみたいなこと聞くのね」
「そ、それは衛兵さんごっこをよくやっていたから」

 色々聞きすぎたか。子供にしては少しおかしいと思われたかもしれない。

「そうなの? 今は変な遊びが流行っているのね」
「けっこう人気あるんだよ」
「ふ~ん」

 とりあえず乗り切ったか。この後はもっと子供をイメージした言動を心掛けた方が良さそうだ。

「それで変わったことだっけ? そうね⋯⋯執務室にお茶をお持ちしようとした時、クーソ様が自分が持っていくと言ったことかしら。日頃私達メイドのことをものすごぉぉぉく見下してるから驚いたわ」

 何だかすごく気持ちがこもっていたな。カレンはクーソのことが嫌いだということがわかった。

「だから私、聞き直しちゃったわ。そしたら怒鳴られて本当に腹が立⋯⋯何でもないわ」

 それは怪しいな。
 これはその飲み物の中に、意識を失う薬を入れた可能性が高くなった。

「それとあの日、ダイン様がキルド様を訪ねて来られたのは、クーソ様とアーホ様の行動に苦言を呈するためだったみたい」
「苦言?」
「色々⋯⋯悪いことをしていたから。それにキルド様から次に問題を起こしたら家から追放するって言われていたのよ」

 益々怪しくなってきたな。
 ダインがクーソ達の素行の悪さをキルドに伝えに来たとしたら、二人を排除する理由は十分にある。実際に検分した者にクーソが手を回していたら、ダインを陥れるのは容易なことだろう。

「ごめんなさい。全然関係ないことを話しちゃったわね」
「ううん。他に何かキルドさんのことで気になることはあるかな?」
「後はねえ――」

 この後、カレンは色々語ってくれたが、特に気になる内容はなかった。そして俺はカレンにお礼を述べてこの場を立ち去る。

 検分をした衛兵については、自分で探すのは難しいだろう。ここはせっかくだから使
 そして俺は闘技場へ向かい、その後宿へと戻るのであった。


「ただいま戻りました」

 やることを終え、部屋でゆっくり休んでいるとフローラが訪ねてきた。

「大盛況だったな」
「見ていたんですか? おかげさまで冷蔵庫は全て購入して頂けるようになりました」
「それなら明日は暇ということか」
「まだ冷蔵庫以外の商品が残っていますが、それはトムさんとジェリさんで大丈夫ですけど⋯⋯はっ! まさか!」
「明日は神武祭だ。闘技場に行くぞ」
「や、やっぱり!」

 フローラは自分の予想が当たったことに、何故か声をあげる。

 翌日。
 俺は外套を着てフードで顔を隠し、フローラと共に街の中央にある闘技場へと向かった。

「嫌です! 私はか弱い13歳の少女ですよ!」

 フローラは闘技場までの道のりで、何やら叫んでいる。
 少し恥ずかしいが、面白いのでこのまま向かうとしよう。

「無理です! 絶対に私は神武祭に出ません!」
「ほら、受付が見えてきたぞ」
「私が出ても一回戦負け確実です!」

 対戦相手次第だが一回戦は勝てるんじゃないか。だが今のフローラには俺の声は届かないだろう。

「受付にいくぞ」
「ユウトさん本気ですか!?」
「本気だ」
「うぅぅ⋯⋯」

 俺が歩きだすと、唸りながらだがフローラが後ろに続く。
 何だかんだ言って俺の命令には従うようだ。
 これは俺への忠誠心が根づいている証拠だな。
 だがその忠誠心は嬉しいが、フローラの予想通りにはならない。

「こちらは本日行われる神武祭の受付で~す。事前に登録されている方のみが参加することができます」

 若い女性二人が、通る人達に向かって声をあげる。

「それじゃあいくぞ」 
「は、はい」

 そして神武祭の受付へと向かい、登録を済ませるのであった。
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