異世界を裏から支配する~表舞台は信頼できる仲間に任せて俺は無能を装って陰で暗躍する~

異世界転生⋯⋯まさか自分が体験することになるとはな。
俺はユウト。前世では財閥の跡取り候補として何不自由なく過ごしていた。
そしてある日、俺は父に呼び出されて後継者に任命される。
これでようやく俺の目標を達成することができると心を踊らせていた。
今の社会は一部の権力者だけが至福を肥やし、一般の人々は税金をむしりとられ、満足な生活が出来ていないのが現状だ。
しかし財閥のトップになれば、政治家達は支援している俺の声を無視することが出来ないはず。
誰もが幸せになる世界などありえないことはわかっている。だが幸せになる人を増やすことはできるはずだ。

そして公の場で後継者を発表する日がついにきた。

しかし父は殺された⋯⋯俺の従兄弟に。
俺はその現場を目撃したが従兄弟に⋯⋯いや、従兄弟の派閥の手によって犯人にしたてられ、そして殺された。
従兄弟は自分が財閥の後継者に相応しいと常々口にしていたので、俺が後継者に任命されたことが気にくわなかったのだろう。

腸が煮えくり返る思いだが、死んでしまった今、前世の世界に関与することはできない。
転生した世界は、前世より差別がひどいし貧富の差が激しい。
せっかく前世の記憶を持って生まれ変わることが出来たんだ。前世では出来なかった目標を達成してみせる。
だが俺の生まれた場所は――

支配者、もしくはそれに準ずる身分だとまた命を狙われる危険がある。それに万が一悪巧みに気づいても、地位が邪魔して強行手段に出れないかもしれない。
それなら自分と同じ志を持つ者を陰から支援し、裏から異世界を支配する。それがこの世界で俺がやるべきことだ。
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